2012年10月19日 (金) 掲載
80年代という、Jポストモダニズムの時代感覚の極点を記録する作品。映画も音楽もテレビ番組もCMもマンガもみな似た様な色彩になるのはデイケイドの属性だが、全く同質だった、という狂った季節の産物。海外だけでなく国内にも紹介したい。
黒澤映画の中で最も日本エキゾチズム成分の低い=アメリカの映画ヲタが一番喜ばない作品。異様なまでに広く設定された画面構成の連続は、アメリカに対する屈折したメッセージ。黒澤のアメリカ映画は「トラ!トラ!トラ!」ではなくこちら。
I
侮辱にならないように慎重に書くが、本作は観ていない(=観れない)、余りに恐ろしいからである。実際は「ホラー全部」としたいのだが、唯一タイトルを記憶している本作にした。いかに我が国の怪談の伝統があろうとも完全に超歴史的な怖さだと思う。
韓流ファンが、韓国芸能史を遡って60年代に達する、という事は無いらしい。ジャパンクール言うまでもなく、様々な日本ヲタ外人がいる中、日本戦後芸能史に食らいつき、ナベプロの悲願だったラスヴェガス進出まで辿り着く者はいないだろう。
「ダウン症だが音楽の才能がある人物がいて、アフリカンパーカッションのマスターになる」という要約から類推されてしまう感動の質量を遥かに超える孤高の作品。障害者へのいたずらな神聖視など無縁の、ロックンローラーのような新倉タケオを捉えるキャメラ。
菊地成孔
音楽家、文筆家。1984年にサックス奏者としてプロデビューし、現在は文筆家、作詞家、作曲家、評論家、ラジオやテレビのナビゲーター、映画やドラマの音楽監督、パーティープロデューサーなど多彩な活動を展開する。2004年からは東京大学、東京芸術大学、慶應義塾大学などで教鞭を執り、主にジャズに関する講義を担当。数々のバンドへの参加を経て、現在は菊地成孔ダブ・セクステット、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENの3バンドのリーダーを務める。
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