映画『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』レビュー

イランの架空の町を舞台にしたヴァンパイア映画

(C)Shahre Bad Picture, LLC.
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『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』タイムアウトレビュー

イランのテヘランを舞台にしたヴァンパイア映画は、デヴィッド・リンチや、ジム・ジャームッシュファンも楽しめる作品だ。

映画『トワイライト〜初恋〜』を経て、映画に登場する吸血鬼はゴスなイメージになりつつある。ジム・ジャームッシュ監督が手がけた映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』に続いて、アナ・リリ・アミリプールは初監督作『ザ・ヴァンパイア 〜残酷な牙を持つ少女〜』を完成させた。彼女はロサンゼルスを拠点に活動する映画監督だが、今作にはデヴィッド・リンチの影響、マカロニウェスタン、男女間の政治闘争の要素が詰まっている。

物語の舞台は、奇妙な人々ばかりが住みついている「バッド シティ」と呼ばれる、ある種オルタナティブなテヘランの町だ。主に描かれるのは、父親の借金を受け継いだヒップスターのアラシュ(アラシュ・マランディ)と、本作のタイトルにもなっている残酷な牙を持つ少女(シェイラ・ヴァンド)が古風な感じで惹かれ合う関係だ。暗い色の唇をした少女は、その歯で噛みつく衝動を抑制するためには十分なほど孤独だった。プロットに見られる無気力さを、作品のスタイルが温め上げている。全体的に見ると、不気味なホラーと80年代ポップの融合によって陶酔感漂わせる仕上がりになっており、観客を引き付けることに成功している。

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『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』

2015年9月19日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督:アナ・リリー・アマポアー
製作総指揮:イライジャ・ウッド
出演:シェイラ・バンド、アラシュ・マランディ、マーシャル・マネシュ、モジャン・マーノ、ドミニク・レインズほか
配給:ギャガ・プラス
(C)Shahre Bad Picture, LLC

『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』公式サイトはこちら

原文 ジョシュア・ロスコフ
翻訳 小山瑠美
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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