心に残る青春映画 50 後編

The 100 best teen movies of all time』と題して、タイムアウトニューヨークで100本の映画が紹介された。タイムアウト東京ではその中から50本を選び紹介する。ここで選ばれているのは、青春映画の定番と言える作品から、近年公開された作品まで。どんな青春を過ごしたかは人それぞれだが、この特集で選ばれた映画のように、良くも悪くも忘れられない時代を過ごしたのではないだろうか。昔を振り返って懐かしさに浸ってみては。

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26『ナポレオン・ダイナマイト』(2004)


監督:ジャレッド・ヘス
出演:ジョン・ヘダー、アーロン・ルーエル、ジョン・グリースほか
名ゼリフ:「女の子はヌンチャク、猟り、コンピューターのハッキングとか、スキルを持った男じゃないとダメなんだ」
名シーン:ナポレオンがリサイクルショップで買ったVHSテープで練習したキャンド・ヒートのクールなダンスを披露して、ペドロの生徒会長立候補のスピーチを応援するシーン

オンライン映像配信サービス『ネットフリックス』で大人気を博した低予算映画。主人公のナポレオン(ジョン・ヘダー)は、アイダホ出身の変わり者で、なぜかミルクテスターの専門家や、FFAのメンバーになったりもする。この異色作は、青春映画の要素をすべて含んでいる。—Sara Fay


27『さらば青春の光』(1979)


監督:フランク・ロダム
出演:フィル・ダニエルズ、レスリー・アッシュ、スティングほか
名ゼリフ:「誰とも同じようになりたくないんだ。だからモッズなんだ、わかるだろ」
名シーン:モッズとロッカーズのブライトンビーチでの争いシーン

イギリスのロックバンド、The Whoのロックオペラアルバム『Quadrophenia(四重人格)』をもととした、60年代モッズ文化を描いた青春映画。新人であったフィル・ダニエルズが主役を務めた。ロンドンの労働者階級の若者ジミー(フィル・ダニエルス)が、モッズの一員になり、周りからの扱いに躍起になる物語である。この映画は自身のアイデンティティ、親、自分の心との闘争を描いている。ハイライトは、休日のブライトンビーチで起きたモッズとロッカーズの暴動事件である。ミュージカル映画ではないが、The Whoの楽曲がしっかりと存在感を現している。—Dave Calhoun


28『ヴァージン・スーサイズ』(2000)


監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルステン・ダンスト、ハンナ・ホール、ジェームズ・ウッズほか
名ゼリフ:「あなたはとてもセクシーね」
名シーン:地下室でのパーティーシーン

ソフィア・コッポラ初監督作は、ジェフリー・ユージェニデスの1993年の小説の映画化であり、感情的な苦痛を伴う視点から悲劇が語られ、70年代の少女期を詳細までつぶさに描いている。カラーのステッカー、トッド・ラングレンのレコード、編みこんだ髪、ピーチシュナップスの一気飲み、謎めいた沈黙。監督のノスタルジーに溢れているが、Airの繊細なサウンドトラックとあいまって、性の目覚めと言葉にならない孤独感という深い感情を引き起こさせる作品である。そして、思春期独特の憂鬱な空気が描かれている。—Joshua Rothkopf


29 『今夜はトーク・ハード』(1991)


監督:アラン・モイル
出演:クリスチャン・スレーター、サマンサ・マシス、アニー・ロスほか
名ゼリフ:「誰も聞きたくないひどい秘密っていうのは、死んだ時より若い時のがつまらないことがあるってことさ」
名シーン:スレイター演じる横着な若いDJが、1人のリスナーの自殺を止めることができなかったことを悔やみ、リスナーの生徒たちに命を大事にして、思い切って生きることを促すシーン

学校、親、人生の孤独感に対する冒涜的な不満を持った1人の不安に満ちた高校生というコンセプトは、ソーシャルメディアの時代に育った若者には古く映るかもしれない。しかし、内気な転校生のマーク・ハンター (クリスチャン・スレーター)が海賊放送を通して、もう1人の自分を発見する部分については、大いに満足できる。ハッピー・ハリー・ハードオン(ビンビン野郎ハリー)は、自分の心にあることを発し、苦悩の中で1人ではないことを知る自由を与え、その番組は若者であるということの普遍的な苦しみを表現することで、世間を席巻することになる。—Jessica Johnson


30 『魔女は16才(シックスティーン)』(1989)


監督:ドリアン・ウォーカー
出演:ロビン・ライヴリー、ダン・ゴーシャー、ジョシュア・ミラーほか
名ゼリフ:「彼はなんてファンキーなの」
名シーン:Top Thatのラップのシーン

映画『キャリー』がジョン・ウォーターズ脚本で、ディズニーチャンネル製作であれば、安っぽい高校で起こるどたばた劇のように、球場内の大きな混乱に終わったかもしれない。話は本質的には同じである。ある日赤毛の少女が、超能力を持っていることに気づき、いじめに対抗するためにその力を使い人気者になってしまうストーリーだ。本作は深夜映画に欠かせないものとなり、ミュージカル劇場版にも影響を与えた。—Tom Huddleston


31 『ランブルフィッシュ』(1983)


監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:マット・ディロン、ミッキー・ローク、ダイアン・レインほか
名ゼリフ:「君はクールというより優しい」
名シーン:伝説の男がタイミング良く戻ってくるシーン

フランシス・フォード・コッポラ監督のS・E・ヒントン原作2作目は、少年から男への成長の物語である。若者のテストステロンが別の世代からどのように影響を受けるかのモノクロのコラージュであり『ランブル・フィッシュ』はそのいずれにも属さなかったアメリカの数十年間を取り入れている。しかし、ラスティ・ジェームズとモーターサイクル・ボーイ(口が開いたタフガイを演じるマット・ディロンと燃え尽き症候群の兄を演じるダイアン・ルーク)は、その時の世界の外側にいるように感じられ、自らの道を見つけるための闘争の物語は古さを感じさせない。―David Ehrlich


32 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)


監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、リー・トンプソンほか
名ゼリフ:「どこへ行くにも、道は必要ない」
名シーン:30年前の母親がタバコを吸い、酒を飲み、若い男と楽しそうに車を停めるところをマクフライが目撃するシーン

マーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)は偶然にも、両親が自分と同世代であった30年前にトリップ。自分を生むことになる若い2人のキューピッド役を演じることを強いられ、マーティは女性との話し方やいじめっ子との闘い方について若い頃の父親を指導するという大変な役割を強いられる。—Jessica Johnson


33『プリティ・ブリンセス』(2001)


監督:ゲイリー・マーシャル
出演:アン・ハサウェイ、ジュリー・アンドリュース、ヘクター・エリゾンドほか
名ゼリフ:「慌てる前に、ティアラをつけてみるわ」
名シーン:ミアがビーチパーティーでパパラッチに追われているシーン

今作をシンデレラストーリー以上のものにしたのは、アン・ハサウェイ演じるミア・サーモポリスの不格好な独りよがりである。冴えない高校生のミアがジェノヴィアの王女であることが明らかになり、事実を知った彼女は、ケイト・ミドルトンのような大変身を気に入らず反発する。そして、パパラッチなどからひどい批判を浴びるが、彼女は祖母(ジュリー・アンドリュース)を味方につけ王女として成長していく。—Kate Lloyd


34『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』(2003)


監督:キャサリン・ハードウィック
出演:ホリー・ハンター、エヴァン・レイチェル・ウッド、ニッキー・リードほか
名ゼリフ:「頭の中でワーワーワーって、音が聞こえる」「脳の細胞が弾けてるんでしょ」
名シーン:ヒステリックに笑いながら、トレイシーとイーヴィが互いをののしり合うオープニングシーン

もしオープニングのシーン(13歳のトレイシーとイーヴィが顔を殴り合う描写)でその後のひどい成り行きを想起しなくても、続きで描かれている。1年のうちに、トレイシーは優等生からドラッグや自傷行為、窃盗、セックスに逃避するような、反抗的な少女へと変わってしまう。この変化の原因は、トレイシーの母親(ホリー・ハンター)さえも操ってしまう、人気者で情緒不安定なクラスメイトのイーヴィの存在がある。本作は、13歳であることがどれほど難しいことかについて、現実的な一面が描かれていた。—Erin Kuschner


35 『トワイライト〜初恋〜』(2008)


監督:キャサリン・ハードウィック
出演:クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、ビリー・バークほか
名ゼリフ:「君と離れるなら死んだ方がましだ」
名シーン:ロマンスが始まるきっかけとなる、エドワードが接近してきた車からベラを守るシーン

人間の少女ベラ・スワン(クリステン・スチュワート)とヴァンパイアの少年エドワード・カレン(ロバート・パティンソン)の恋愛関係は完全に現実味がないが、ステファニー・メイヤー(『トワイライト』シリーズの著者)が描く登場人物は、普通の若者のカップルと同じように妄執や激しさを経験する。劇中では、狂気のヴァンパイアが登場する『マトリックス』のような戦闘シーンもあり、手に汗握るストーリー展開である。—Elizabeth Darke


36 『ザ・クラフト』(1996)


監督:アンドリュー・フレミング
出演:ロビン・タニー、フェアルーザ・バーク、ネーブ・キャンベルほか
名ゼリフ:「変な奴らに気を付けるんだよ」「私たちが変な奴らなのよ、おじさん」
名シーン:4人の少女たちが魔力を使い、砂浜一面に稲妻の矢を降らせ、何百ものサメを海岸に打ち上げたシーン

今作が教えてくれることがあるとすれば、惚れ薬を使って誰かを落とそうとするのは、コックリさんで遊ぶのと同じくらい危険だということだ。新しい学校に転校してきたサラ(ロビン・タニー)は「学校の魔女」と呼ばれる女子グループと親しくなり、互いの魔力を試す魔女集会を開いて学校生活で災いの種となるような生徒や好きな相手に魔法をかける。しかし、ナンシー(フェアルザ・バルク)が魔力を邪悪な目的に利用し始め、サラは自らを救うため、魔力に取りつかれた集団と戦うことになる。—Erin Kuschner


37 『KIDS/キッズ』(1995)


監督:ラリー・クラーク
出演:レオ・フィッツパトリック、クロエ・セヴィニー、ジャスティン・ピアースほか
名ゼリフ:「俺はセックスのことしか頭にない。俺からそれを取ったら、何も残らない」
名シーン:若者たちが夕暮れのマンハッタンをうろつくシーン

ラリー・クラーク監督の映画『KIDS/キッズ』ほど予想を裏切り、成功した映画はほかにないだろう。劇中ではドラッグやセックスに溺れきったティーンたちの荒廃とした姿とクールさを同時に描いていた。19歳で初の脚本を執筆したハーモニー・コリンの、凄じい洞察力に満ち、高揚感を感じられる、ニューヨークの悪ガキたちの日常を描いた不穏な作品だ(特にラストシーンは)。しかし、キッズたちは大丈夫だろう。—Tom Huddleston


38 『アウトサイダー』(1983)


監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:C・トーマス・ハウエル、ラルフ・マッチオ、マット・ディロンほか
名ゼリフ:「輝きつづけろポニーボーイ、輝きつづけるんだ」
名シーン:ソッシュとグリースが夜更けの公園で対決するシーン。

S・E・ヒルトン原作の『アウトサイダー』は、富裕層グループと、街の反対側に住む貧困層グループの、テリトリーと女をめぐる対立に、田舎町のヒロイズムと悲劇が混ざった定番とも言える青春ドラマ。映画館のスクリーンの中で、80年代を代表する若手俳優たち(モリー・リングウォルドのことには触れないでおこう)は、多くの学校で8年生の課題図書にもなっていたこの古典的作品に命を吹き込んだ。ラルフ・マッチオ、ロブ・ロウ、パトリック・スウェイジは輝きに満ちた若々しい表情を見せ、後に10代の若者たちの憧れとなった。—Sara Fay


39 『ドニー・ダーコ』(2001)


監督:リチャード・ケリー
出演:ジェイク・ギレンホール、ジェナ・マローン、メアリー・マクドネルほか
名ゼリフ:「それがスマーフでいることの非論理的なところさ。アソコがない人生なんて考えられるか」
名シーン:ワームホールが歪みながらパーティーを通り抜け最終的にグレッチェンの胃で終わる幻覚のシーン

病的で陰気なドニー・ダーコは、郊外に住むティーンとしての感傷的な一面を深く探求する。しかし、今作は単にこの主人公が自身の存在を問うことに焦点を当てているだけではなく、パラレルワールドやいじめ、精神病を描き、さらに、80年代のキラーチューンが盛り込まれている。恋人のグレッチェン(ジェナ・マローン)が殺害され、ドニーが時間をさかのぼって愛する人を救おうとする過程では、最初から彼が「選ばれた者」で、不幸な運命を背負っていたのかとも思わせられる。—Erin Kuschner


40『アメリカン・グラフィティ』(1973)


監督:ジョージ・ルーカス
出演:リチャード・ドレイファス、ロン・ハワード、ポール・ル・マットほか
名ゼリフ:「もし脳がダイナマイトだとしても、鼻はぶっ飛ばせないさ」
名シーン:ポール・ル・マットが、ベビーシッターは契約内容よりも大変な仕事だと悟ったシーン

アメリカ映画史上最大の費用対効果の高い映画となった本作は、監督ジョージ・ルーカスがカリフォルニアで過ごした青春時代の切ない思い出を描いている。そして、青春群像を描いた作品の草分け的存在となった。しかし、映画『アメリカン・グラフィティ』は単に青春をとらえただけではない。洞察力に満ちた脚本と愛のこもった撮影手法に、映画史上最も充実したサウンドトラックが加わることにより、哀愁溢れる鋭い作品となったのだ。—Tom Huddleston


41 『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)


監督:ガス・ヴァン・サント
出演:リヴァー・フェニックス、キアヌ・リーブス、ジェームズ・ルッソほか
名ゼリフ:「愛してる、だから金は払わないで」
名シーン:リバー・フェニックスが通りで意識を失い倒れたシーン(ナルコレプシーは最もクールな病気となった)

ガス・ヴァン・サントが監督したこの傑作は、思春期の少年たちらしい「世界なんてくそくらえ」的ロマンティシズムや、一種の青臭さを感じさせてくれる。映像美も素晴らしく、キアヌ・リーブスとリヴァー・フェニックスはこれ以上ないほどに幻想的であった。—Tom Huddleston


42 『バトル・ロワイアル』(2000)


監督:深作欣二
出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、北野武ほか
名ゼリフ:「自分のために戦わなきゃ駄目なんだよ。誰も助けてくれない、人生ってそういうものでしょ」
名シーン:感情のない転校生桐山が、目から血を流しながら爆発の中から現れ、頭部を吹っ飛ばされるシーン

バス旅行中の中学3年生がガスで眠らされた状態で島に連れてこられ、大人たちの監視のもと極めて暴力的なゲームの中で互いに殺し合うことを強要される。歪んだファンタジーとも言える作品だが、生徒同士の人間関係や中学3年生というものを豊かに描写している。クエンティン・タランティーノが『ハンガー・ゲーム』を監督したらこのような作品になるのではないだろうか。双方とも世代的不安を描いたホラー的寓話から自由な思想を取り入れているのだから、それも不思議ではない。—Brent DiCrescenzo


43『クライ・ベイビー』(1990)


監督:ジョン・ウォーターズ
出演:ジョニー・デップ、エイミー・ロケイン、スーザン・ティレルほか
名ゼリフ:「いい子でいるのに疲れたのよ」
名シーン:カーレースのシーン

「悪趣味映画の帝王」と呼ばれるジョン・ウォーターズが高校を舞台にしたロマンチックムービーを作れるとは誰も思わなかったはずだ。『クライ・ベイビー』は1950年のボルティモアを舞台に、スクールギャングの闘争が夢のようにセクシーに描かれている。ジョニー・デップが演じた、片方の眼から一粒の涙をポロっとこぼすテクニックを持った、不良グループ「ドレイプス」のロカビリーに夢中な若者の姿は、少女たちの胸をギュッとわしづかみにしたことだろう。デップは、お嬢様のアリソンと恋に落ちる。ティーン同士の許されない恋愛と苦悩というありきたりなストーリー展開が続くが、他の映画と違うのは「レザー」と「ヘアスプレー」が多用されていることだろうか。—Sonya Barber


44『サマースクール』(1987)


監督:カール・ライナー
出演:マーク・ハーモン、カースティ・アレイ、ディーン・キャメロンほか
名ゼリフ:「アルコールは脳細胞を殺すんだ、あと1つでも失ったらおまえは喋るサルだな」
名シーン:感傷的な、教師とともに迎えるエンディングシーン

この作品はオリジナリティや、秀逸さで賞を受賞することはないかもしれないが、ただ気楽に楽しみたいだけなら最適な1本だ。映画タイトルから中身は推測できるだろうが、マーク・ハーモン演じる教師が夏休みの間、落ちこぼれたちの補習授業を教えるはめになるという物語だ。約90分間で登場人物たちは愛を知り、永遠に幸せに暮らすのだ。—Tom Huddleston


45 『ウェルカム・ドールハウス』(1995)


監督:トッド・ソロンズ
出演:ヘザー・マタラッツォ、エリック・メビウス、ブレンダン・セクストン・Jrほか
名ゼリフ:「自分のこと熱いウンコだと思ってんだろ、でも君は本当は冷たい下痢なんだ」
名シーン:ドーンの学校の男子たちが、時間を指定してドーンをレイプすると脅すシーン

ドーン・ウィーナ(ヘザー・マタラッツォ)は、トッド・ソロンズ監督の陰険な創造物だ。イケてない主人公ドーンは、観ている者を一瞬だけ腹立たしい気持ちにさせ、その後ひどく罪悪感を感じさせるだろう。ドーンは被害者だが同時に悪夢でもある。ソロンズ監督は2004年に発表された2作目『おわらない物語~アビバの場合~(Palindromes)』で一瞬だけドーンを登場させており、3作目の話も出ている。—Dave Calhoun


46 『アメリカン・ビューティー』(1999)


監督:サム・メンデス
出演:ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチほか
名ゼリフ:「世界にはたくさんの美がある。僕は圧倒されて、心がボロボロに打ちのめされそうだった」
名シーン:若者が、風に舞うビニール袋に思いを打ち明けるシーン

この作品の評判は第一印象の息切れ感のせいで若干評判を落とした。物語は痛々しいほどに明白で皮肉に満ちており、娘の同級生に恋する中年男レスター・バーナムを通して見た時それは際立つ。映画『ゴースト・ワールド』で主演を演じたソーラ・バーチが、ビデオオタクの少年ベントリーと束の間の関係を築いていく。幸福感と同情に満ち、逃亡を切望する彼ら2人の悲劇的な絆はこの作品最大の見どころだ。—Joshua Rothkopf


47 『ぼくのエリ 200才の少女』(2008)


監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、ペール・ラグナーほか
名ゼリフ:「私は12歳よ、でも長いことずっと12歳なの」
名シーン:吸血鬼のやり方で、エリがプールで苛められるオスカーを救い出すシーン

トーマス・アルフレッドソン監督は、不吉な北欧を舞台にした恋愛映画の中で、初恋の持つ、世界と対立するような二人だけの感情を美しく描いた。1980年代初期のストックホルムに住むオスカー(カーレ・ヘーデブラント)はベッドのマットレスの下にナイフを隠し持つような少年だ。そして、彼は隣に越してきたエリ(リーナ・レアンデション)という名の幼い少女と友達になる。外気の氷のような寒さを感じない彼女は、実は吸血鬼だったのだ。今作は恋愛を描く青春映画だろうか。それともホラー映画だろうか。いずれにせよ、13歳の頃にソウルメイトに出会った時に感じる胸の痛みを見事にとらえている。—Cath Clarke

48 『ラストサマー』(1997)


監督:ジム・ギレスピー
出演:ジェニファー・ラブ・ヒューイット、サラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップほか
名ゼリフ:「何を待ってるのよ、一体何を待っているのよぉぉぉ」
名シーン:ミスコンの女王が目覚めた時、何者かが髪をカットしたことに気づいたシーン

ティーンエイジャーは、自分は無敵ではないと気が付く瞬間がある。こういった悟りはそれぞれ違うタイミングで訪れるが『ラストサマー』では、鍵爪の男を車でひくことにより、この悟りに至るプロセスを促進させた。1997年に公開されたジム・ギレスピー監督による、ホラー映画はポスト『スクリーム』の時代精神を利用するために急いだ感がある。しかし少女たちが、行動には結果が伴うことを学んだ瞬間を明確にとらえた映画として、いまだに象徴的な作品だ。—David Ehrlich


49 『理由なき反抗』(1955)


監督:ニコラス・レイ
出演:ジェームス・ディーン、ナタリー・ウッド、サル・ミネオほか
名ゼリフ:「僕をバラバラにするのか」
名シーン:混乱した親たちが、怒りに燃え、荒れるティーンと警察署で対立するシーン

ディーンが『理由なき反抗』の中で見せた演技は、思春期独特の鬱屈を表現した重要なキーとされている。立てた襟、反抗的で鋭い視線、ポケットに突っ込んだ手など、そのすべてがナイーブな心理状況を表している。少年院生のチャーリー・シーンが登場する『フェリスはある朝突然に』など、その後に作られた青春映画の大半はディーンに影響されている。ディーンの死からわずか1ヶ月後、、1955年に公開された本作は、ドラッグレースや不器用な親との関係は古臭いとしても、そのリアルさは永遠に色褪せない。ーJoshua Rothkopfh

50 『25年目のキス』(1999)


監督:ラージャ・ゴスネル
出演:ドリュー・バリモア、デヴィッド・アークエット、ジョン・C・ライリーほか
名ゼリフ:「私はもうキモいジョジーじゃないのよ」
名シーン:ジョジーがピッチャーマウンドでサムからのファーストキスを待っているシーン

10代の実態レポートをするよう命じられ、覆面記者になったジョージ・ゲラー(ドリュー・バリモア)は、自分が卒業した高校に生徒として潜入したが、以前経験した高校生活の不安な日々の延長のように感じていた。しかし姉を助けるために同じ高校に潜入した弟のロブ(デヴィッド・アークエット)の手助けのおかげでジョジーは人気者グループの仲間入りをすることに。2度目の高校生活を送るチャンスを与えられたジョジーは、彼女を本当の高校生と思い込む英語教師サム・コールソン(マイケル・ヴァルタン)と恋に落ちる。—Ramona Saviss

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原文 タイムアウトニューヨーク編集部
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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