映画『ジュラシック・ワールド』レビュー

ついにあのテーマパークが完成した

Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment
ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment
Universal Pictures and Amblin Entertainment

『ジュラシック・ワールド』タイムアウトレビュー

映画『ジュラシック・パーク』シリーズの4作目が、14年ぶりに公開。今回の『ジュラシック・ワールド』では、ついにテーマパークが完成し、愚かな科学者たちが先見の明なしにDNA鎖からクローンの恐竜を産み出す。

物語の舞台となるイスラ ヌブラル島は、大勢の来場者で賑わい、スターバックス、恐竜の赤ん坊とのふれあいコーナー、ギフトショップなど設備が整い、観光名所として繁盛している。観客としては、たとえばアメリカ人の太った子どもが恐竜に食べられるなど、長く待たずに何かの間違いが起こるのを期待するだろう。しかし、恐ろしい「鳥類」による人々を掴み取るような空中攻撃は展開されるが、群集に対してはほとんど報復が振り掛からない。

むしろ、今作を手がけたコリン・トレボロウ監督(映画『Safety Not Guaranteed(原題)』)は、哀れな男による映画『エイリアン』を描き、冷淡なパークの最高責任者クレア(ブライス・ダラス・ハワード)が勇猛な母親へと変貌を遂げる姿に、彼が「リプリー」像を見出すこと。そして、肩が剥き出しになるなど、全体的にわざとらしいアクションシーンを演出し、極端に肥大したヴィンセント・ドノフリオによって不道徳な軍事目的を描き出すことで満足している。

巧妙に楽しませてくれる作品であるが、初代監督のスティーヴン・スピルバーグの威光を傷付ける最大の過失も見られる。映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で主演を務めたクリス・プラットが、トレーラー生活を送る冗談好きな飼育員を演じ、ヴェロキラプトルを従順な犬のように飼い慣らす(クラシック映画に対する愚行だ)。そして、ジョン・ウィリアムズによるトランペットのファンファーレが、空高くそびえるアパトサウルスを目にする場面ではなく、パーク自体のテーマソングとして転換され、劇中ですっかり多用されているのだ。本作が微妙に称賛しているのは、科学ではなく金銭であり、本シリーズの絶滅に屈従することに対する断固たる拒絶である。


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『ジュラシック・ワールド』

2015年8月5日(水)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開
監督:コリン・トレボロウ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、トーマス・タル
出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ヴィンセント・ドノフリオ、タイ・シンプキンス、ニック・ロビンソン、オマール・シー、B・D・ウォン、イルファーン・カーン
配給:東宝東和


『ジュラシック・ワールド』公式サイトはこちら

原文 ジョシュア・ロスコフ
翻訳 小山瑠美
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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