2015年06月27日 (土) 掲載
『The 100 best teen movies of all time』と題して、タイムアウトニューヨークで100本の映画が紹介された。タイムアウト東京ではその中から50本を選び紹介する。ここで選ばれているのは、青春映画の定番と言える作品から、近年公開された作品まで。どんな青春を過ごしたかは人それぞれだが、この特集で選ばれた映画のように、良くも悪くも忘れられない時代を過ごしたのではないだろうか。昔を振り返って懐かしさに浸ってみては。
監督:マーク・ウォーターズ
出演:リンジー・ローハン、レイチェル・マクアダムス、アマンダ・セイフライドほか
名ゼリフ:「グレッチェンって言わないでよ、もううんざり」
名シーン:学校の生徒たちが野生動物のように見え、カフェテリアが戦場と化していたシーン
12年間アフリカで暮らしていた、主人公のケイディー・ヘロン(リンジー・ローハン)は16歳になり、アメリカに戻ることになる。それまで自宅学習の経験しかなかったケイディーにとって、細かいルールや習慣がある学校生活はスムーズに行かなかった。最終的にケイディーは、いまいちイケていない、ジャニスとダミアンのグループか、レジーナ・ジョージ(レイチェル・マクアダムス)率いる人気グループ「プラスティックス」のどちらに所属するかと迫られる。原作は、ロザリンド・ワイズマンの『女王蜂たちとなりたがり屋さんたち』。ーRoman Tagoe
監督:エイミー・ヘッカリング
出演:アリシア・シルヴァーストーン、ステイシー・ダッシュ、ブリタニー・マーフィほか
名ゼリフ:「なんであなたの言うことを聞かなきゃいけないの、運転もできないバージンのくせに」
名シーン:憂鬱な買い物の後、ショッピングセンターの噴水の前でシェールがジョシュに恋していることに気付いたシーン
映画『クルーレス』は、いまだに青春映画の定番なのは間違いない。本作の見どころは、ファッションやジョーク、サウンドトラック、脇役だけではない。主人公シェールが軽薄で自己中心的な一面を認識し、確かな自分へと成長を遂げていく過程も楽しめる。ヘッカリングの脚本は鋭くありながら甘さもあり、全キャストはこの映画の中で輝いていた。シェールの父親をダン・ヘダヤが演じ、軽いユーモアを言うという点でも、見るべき映画の1つと言えるだろう。また、時代を超えて90年代のポップカルチャーを感じられる点にも注目してほしい。—Kate Wertheimer
監督:ジョン・ヒューズ
出演:エミリオ・エステベス、 ジャド・ネルソン、モリー・リングウォルド、アリー・シーディほか
名ゼリフ:「大人になったら心は死んじゃう」
名シーン:ダサかったアリソンが変貌を遂げていくシーン(彼女の濃いアイライナーとゴスファッションはとってもクール)
高校を舞台にしたベストムービーを決めるとしたら、『ブレックファスト・クラブ』は間違いなくランクインするだろう。土曜日に罰として、登校を命じられた5人の生徒が図書館に閉じ込められ、それまで人生で犯してきた過ちを振り返る。スポーツマン(エミリオ・エステベス)、ゴスガール(アリー・シーディー)、プロムクイーン(モリー・リングウォルド)、不良(ジャド・ネルソン)、化学オタク(アンソニー・マイケル・ホール)の5人はそれぞれ違った高校生活を送っている。学校でのタイプは違うが、「友達関係や親からの期待に悩むティーン」という共通点を持っていた。ある週末を舞台にしたジョン・ヒューズの脚本は現実のティーン同様に真摯で誠実だ。新しい友情は月曜日朝の休憩時間までしかもたないかもしれないが、『ブレックファスト・クラブ』は永遠だ。—Cath Clarke
監督:マイケル・レーマン
出演:ウィノナ・ライダー、クリスチャン・スレイターほか
名ゼリフ:「チェーンソーで優しくファックして」
名シーン:ジョックの葬式のシーン
このランキングの中でも本作は、ダークでとげとげしく、腹にパンチを食らった気分になる。冷血な殺人とそれに続く悲惨な結末を描いたこの映画は、権力欲が強く、錯乱した毒ヘビのような高校生を描いたことが衝撃的なのではない。ありがちなヒーローぶる変わり者が、自己評価に問題を抱え、悲観的で殺人願望のあるサイコな負け犬だったと分かり、ゆっくりと皮を脱ぎ捨てて本性をむき出しにする姿が見どころなのである。ウィノナ・ライダー演じるベロニカが、転校してきた反逆児のJD(クリスチャン・スレイター)の協力を得て、アウトカーストからインサイダーとなり、ティーンの女王としての階段を上る。—Tom Huddleston
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、オリヴィア・ウィリアムズほか
名ゼリフ:「僕はラテンを救ったんだ、君は今までに何をしたことがある」
名シーン:祝いのディナーの席でマックスがいかに洗練されているかに気づかされるシーン
エンター・マックス・フィッシャー(ジェイソン・シュワルツマン)はティーン映画の歴史の中で最も面白く、不思議で、様々な表情を見せる、素直で愛すべきキャラクターだ。養蜂から劇団演出(彼が手がけた『セルピコ』は即座にクラシックになった)まで、取りつかれたかのごとく様々なことに興味を持つ彼は、平均的な高校生より遥かに先を行っており、バカで平凡なチアリーダーより、教師に好意を持つようになる。1998年に公開され即座に名作となった『天才マックスの世界』は独特な輝きを微塵も失っていない。—Tom Huddleston
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ジェイソン・ロンドン、ウィリー・ウィッギンス、ミシェル・バークほか
名ゼリフ:「分かった、分かった」
名シーン:どんちゃん騒ぎの中で女の子たちが香辛料まみれになるシーン
リチャード・リンクレイター監督は印象的な作品を産み出す、アメリカの映画界で現在も活躍する監督となり、『6歳のボクが、大人になるまで』や『ビフォアシリーズ』といった長期間にわたってストーリーが展開する作品を発表している。しかし、テキサスにある高校の卒業最後の日を一分の隙もなく描いたこの作品こそが、彼の最高傑作だと言う人もいる。サッカーをするかどうか、ハイになるかどうか、女の子と甘い会話をする時が来るのだろうかなど、様々な想いが交差する。出演者は皆驚くほどリラックスしており、リンクレイター監督は、この映画を愛おしい夏の始まりの戯れのような仕上がりにしている。—Joshua Rothkopf
監督:ペイトン・リード
出演: キルスティン・ダンスト、エリザ・ドゥシュク、ジェシー・ブラッドフォードほか
名ゼリフ:「それはスピリットフィンガーじゃない……これがスピリットフィンガーだ。しかもゴールドだ」
名シーン:トーランスとクリフが一緒に歯を磨いているシーン
ランチョカルネ高校のチアリーディング部「トロス」の新しいキャプテンに選ばれたトーランス(キリスティン・ダンスト)。ある日、チームの一員が練習中に怪我をしたため、不愛想なミッシー(エリザ・ドゥシュク)と風変りな弟が新しいメンバーとして加わる。しかし、チームの演技はすべて、隣接するコンプトン地域で活動するアイシス(ガブリエル・ユニオン)率いるチーム「クローバーズ」からの盗作だったという事実が発覚する。トーランスはチームを良くし、「クローバーズ」との関係を正そうとする。出演者の確かな演技力と、タイミング良くちりばめられたジョークの数々、チアリーディングをテーマにコメディ的な部分と大会に挑むシリアスな部分のバランスが完璧に取れた作品である。—Kate Wertheimer
監督:グレッグ・モットーラ
出演: ジョナ・ヒル、マイケル・セラ、クリストファー・ミンツ=プラッセほか
名ゼリフ:「知ってるか、ホップの含有量が(声がうわずる)増えるらしいぞ」
名シーン:未成年のマクラビンンは偽の身分証明書を手に酒を買おうとするが、顔面パンチを受け、警官に追いまわされるシーン
本作では、別々の大学に進学する男子3人が童貞から卒業しようと奮闘する姿を描く。男同士の親密さや、2人組の警官と繰り広げる連行劇も笑えるが、1番笑えるのは高校の廊下から聞こえてきそうな下品なジョークだろう。この映画はティーン(特に男子)が、いかにバカバカしいことをしてしまうかを完璧に描き出している。登場する3人は、アルコールを手に入れようとして失敗し、呼ばれていない他人のパーティーに紛れ込み、女子とも上手くいかず、男性のシンボルのスケッチに奇妙に固執したりするのだ。—Michael Juliano
監督:ランダル・クレイザー
出演: ジョン・トラボルタ、オリビア・ニュートン=ジョン、ストッカード・チャニングほか
名ゼリフ:「オーケー、手袋を投げたら、そろそろ行くぞ」
名シーン:ダンスコンテストのシーン(それぞれのドレス、ヒップシェイキンキングや、ハンドジャイブ、ブルーム―ニングは見もの)
恋に落ちたダニー(ジョン・トラボルタ)とサンディ(オリビア・ニュートン=ジョン)は、ひと夏の恋で終わったはずだったが、予期せず高校で再会することになる。サンディは「ピンクレディース」とつるみ、グリースを塗ったダニーは「Tバーズ」の不良グループのリーダーであった。ダニーは、リーダーのイメージを壊さないよう振る舞うところから、事態は思わぬ方向に進んでいく。ライバルグループ「スコーピオンズ」とのカーレースも見どころ。不良たちは卒業前に決着をつけることができるのだろうか。—Kate Wertheimer
監督:アラン・モイル
出演:リヴ・タイラー、アンソニー・ラパリア、トビー・マグワイア、レニー・ゼルウィガーほか
名ゼリフ:「クヨクヨしてられないよ、今日だけはね。今日はレックス・マニングが来る日なんだから」
名シーン:レックス・マニングの『セイ ノーモア』のビデオが流れるシーン
今作を見たら、今すぐ仕事を辞めてインディ系レコードショップに転職したいと思うだろう。強盗の失敗、偽の葬式、安っぽいロックスターのサイン会、愛の告白、会社を取り戻すための試行錯誤など数々のハプニングが24時間の間に起こる。1990年代のデラウェアを舞台にした、エンパイアレコードで働く愛すべき面々の1日を追いかければ、彼らを身近に感じられるだろう。—Sonya Barber
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェニファー・ガーナーほか
名ゼリフ:「ゼウスはたくさんの女性と関係を持っていたけど、ジュノが唯一の妻であったことは間違いない。彼女はとても美しいけど、ダイアナ・ロスみたいに意地悪だ」
名シーン:ジュノは中絶するつもりで病院に向かうが、同級生に「赤ちゃん、もう爪だって生えてるわよ」と言われたシーン
16歳の少女が妊娠したと聞くと、未成年であることから不安に駆られる話が思い浮かぶ。実際には、幼いバンド好きな少女が、里親探しのためにフリーペーパー『Penny Saver』の掲載に応募し、彼女の子供を養子として受け入れようとするカップル(ジェニファー・ガーナーとジェイソン・ベイトマン)の揺れ動く心の変化に対処していく姿を見ることになる。重いテーマのストーリーでありながら、小気味いいオルタナティブなサウンドトラックやシャレの利いた脚本、心を和ませるクセのある登場人物により明るく彩られている。—Ashleigh Arnott
監督:リチャード・ドナー
出演:ショーン・アスティン、ジェフ・コーエン、コリー・フェルドマンほか
名ゼリフ:「時間が来た、トロイのバケツに乗る2回目の機会だ」
名シーン:挙げればきりがないが、冷凍庫内で若い男性が死んでいるシーン
物語のアイディアは、製作総指揮のスティーブン・スピルバーグによるもので、スピルバーグのほかの作品に比べ、尖っており、下品で、攻撃的である。コリー・フェルドマンがスペイン人家政婦をののしるシーンは、陰湿さという意味で優れている。そして、海賊船が登場する場面からは、ポップムービーのマジックが溢れていた。—Tom Huddleston
監督:エミール・アルドリーノ
出演:パトリック・スウェイジ、ジェニファー・グレイ、ジェリー・オーバックほか
名ゼリフ:「ベイビーを隅に置くことはできない」
名シーン:ベイビーとジョニーの「ラヴァーボーイ」を想わせる演出が、遮られるシーン
大人への転換期であれば、家族に嘘をつき、「ダーティー ダンシング(マンボ)」を覚え、スイカを運ぶだろう。そして、ある時、両親が常に正しいわけではないことに気づき衝撃を受けるが、パトリック・スウェイジの汗まみれで筋肉質の腕に抱かれれば衝撃は薄れるだろう。『ダーティ・ダンシング』は、夏のノスタルジアに佇む初恋の苦悩などを描いた(特に女性が)うっとりするような成長の物語である。—Kate Wertheimer
監督:ジェローム・ロビンス、ロバート・ワイズ
出演:ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマーほか
名ゼリフ:「いつまで続けるんだ、世間が悪くなってるのはお前らのせいだ」
名シーン:アニタ、ロザリア、シャークスの女たちの『America』のシーン(素晴らしい楽曲と映画史上最高の振り付けである)
映画『ウェストサイド物語』のもととなっているのは、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をニューヨークの街角に移した、レナード・バーンスタインとスティーヴン・ソンドハイムによるブロードウェイミュージカルである。モンタギュー家とキャピュレット家が、今作では対立するストリートギャング「ジェッツ」と「シャークス」である。不運な恋に落ちてしまう2人として、シャークスのリーダー、ベルナルドの妹マリア(ナタリー・ウッド) とジェッツの元リーダーのトニー(リチャード・ベイマー)が登場する。—Cath Clarke
監督:ジョン・ヒューズ
出演:モリー・リングウォルド、アンソニー・マイケル・ホール、ポール・デューリーほか
名ゼリフ:「信じられない、私の誕生日を忘れるなんて」
名シーン:ジェイクがサマンサに16本のキャンドルを灯したピンク色のケーキを渡し、願い事をするように言うラストシーン
80年代の青春映画の巨匠といえるジョン・ヒューズのデビュー作。16歳の誕生日を迎えたサマンサ。しかし、姉の結婚式を翌日に控えた家族はそのことをすっかり忘れていた。そして、サマンサは高校で1番人気の、上級生ジェイク・ライアン(マイケル・シューフリング)に心を奪われる。そして、自称オタクのリーダー、ジム(マイケル・ホール) に付きまとわれるが、サマンサとジムは最終的に自分の抱える不安について話し合い、ある種の友情が芽生えていく。最終的には、「自分の存在すら知らない」と思っていた人物、ジェイクとともに幸せに包まれながらキャンドルを吹き消すのであった。—Ramona Saviss
監督:バズ・ラーマン
出演:レオナルド・ディカプリオ、クレア・デーンズ、ジョン・レグイザモほか
名ゼリフ:「平和、平和…世界が嫌いだ、地獄が嫌いで、モンタギュー家が嫌いだ」
名シーン:たくさんのキャンドルとネオンの光が飛び交う、葬儀のシーン
アメリカの高校生にシェイクスピアをクールに伝えたければ、ラーマンに任せればいい。今作は、原作のセリフをいかしており、何度聴いても飽きることがないサウンドトラックのように印象深い。色彩に満ちたシェイクスピアの最も有名な戯曲の撮影の中で、レオナルド・ディカプリオの声は断続的に変わり、彼がまだ少年であることを思い出させる。10代の頃には、くだらないことが重要であり、すべてのことが愛と憎悪、黒と白、生と死のように感じられる。10代から熱狂的に愛される映画だ。—Kate Wertheimer
監督:テリー・ツワイゴフ
出演:ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソン、スティーヴ・ブシェミほか
名ゼリフ:「これは良くない、前は良かったけど、また悪くなった」
名シーン:イーニドとシーモアが、本物のブルースを求めてスポーツバーに向かう途中に「1日中綿を摘むんだ」と叫ぶ、白人少年たちを目の当たりにするシーン
ロサンゼルス郊外の退屈な町に住む、レベッカ (スカーレット・ヨハンソン)とイーニド(ソーラ・バーチ)は大人を動物園に居る生き物のように悲しい習性を持つものとして観ている。ブルースレコードコレクターのシーモア(スティーヴ・ブシェミ)や、コーヒーショップで無料のドリンクを貰うためにグーグルで答えを調べる下衆な大人などだ。ポイントはレベッカとイーニドが、自分たちもそうなるのではないかと薄々感じている所だ。最終的に、レベッカは自立を目指し、イーニドは成人であることの忘却に逃れ、終わりのないループに入りこむ。—Brent DiCrescenzo
監督:ハワード・ドイッチ
出演:モリー・リングウォルド、アンドリュー・マッカーシー、ジョン・クライアーほか
名ゼリフ:「彼らに邪魔することができないのを分かってほしい」
名シーン:断続的なダンスムーブや、メンフィスのアティチュードを揺さぶる、オーティス・レディングの『Try a Little Tenderness』のリップシンクのシーン
本作は、ブラットパック ムーブメントから生じた、最も魅力的な映画であり、変わった親友 (ジョン・クライアー)、まぬけな恋人(アンドリュー・マッカーシー)や、プロムに出席するのに協力する、優しい父親 (ハリー・ディーン・スタントン)といった欠かせない要素が詰まっている。また、映画史上に残る名曲が使われ、悩みを抱える世代の若者がザ・サイケデリック・ファーズやオーケストラル・マヌヴァーズ・イン・ザ・ダークに興味を抱いた。—Joshua Rothkopf
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャン=ピエール・レオ、パトリック・オーフェー、アルベール・レミーほか
名ゼリフ:「僕はたまに嘘をつくと思う。ときどき本当のことを話すけど、彼らは信じないから、嘘をつこうと思うんだ」
名シーン:アントワーヌが脱走を企て、鑑別所を逃れる有名なラストシーン
フランソワ・トリュフォー監督による自伝的映画。生意気さやカリスマ性のある、14歳のジャン=ピエール・レオを非行少年役として起用し、成功した作品だ。フランソワ・トリュフォーが彼を求めた理由がよく分かる。本作は両親、教師からの誤解、周りの環境との闘いという、10代の若者とは何かということを表現した素晴らしい映画である。ジャン=ピエール・レオはその後、同じキャラクターを3つの作品で演じている。—Cath Clarke
監督:ジョン・ウォーターズ
出演:トニッキー・ブロンスキー、ジョン・トラボルタ、ミシェル・ファイファーほか
名ゼリフ:「トレイシー、ヘアスタイルについては言ったはず。10代の悪女みたいに髪を持ち上げて」
名シーン:めかしこんだトレイシーと母親が、ふくよかな女性向けの服屋Hefty Hideaway Storeを後にするシーン
あからさまな差別や偏見があった60年代のアメリカを舞台としたコメディ映画。「明るくふくよかな」10代のトレイシー・ターンブラッドが、『コーニー コリンズ ショー』でスターとなり、『リトル ミス パーフェクト』のスターであるアンバー・フォン・タッスルと敵対していく。トレイシーの出演していた番組には人種差別規定があり、納得できない彼女は抗議運動をはじめる。ほぼ完璧な青春映画となった今作は、B級映画監督であるジョン・ウォーターズ唯一のメジャー作品。ウォーターズ映画のミューズであるディヴァインが、時代遅れのポリエステルのハウスコートを着てトレイシーの母親を演じる、ゴージャスなパフォーマンスにも注目してほしい。—Cath Clarke
監督:ピーター・ウィアー
出演:ロビン・ウィリアムズ、ロバート・ショーン・レナード、イーサン・ホークほか
名ゼリフ:「ああ、先生、私の先生」
名シーン:生徒全員がキーティングの支持を示して机の上に立つシーン
『いまを生きる』は喜びに溢れていながらも切ない名作だ。そして、ロビン・ウィリアムズの死後それはなおさらである。1950年代後半、超名門校であるウェルトン アカデミー学院に赴任してきた教師ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムズ)が、厳格な規則に縛られている学生たちの心に自由な考え方を教えていく物語。スローガンである「その日を摘め」には時代を感じるが、キーティングのエネルギーに興奮しない方が難しい。—Dave Calhoun
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、エイミー・アーヴィングほか
名ゼリフ:「みんなに笑われるだろう」
名シーン:幸せに包まれたプロムパーティーのベストカップルのダンスが血まみれの悪夢へと変わってしまうシーン
本作のスティーヴン・キングによる原作小説の誕生は、ごみ箱に捨てられた原稿を妻によって拾われたことがきっかけだ。映画『キャリー』は、単に思春期の不安のみならず、女性になることの深い心の混乱が描かれている。ブライアン・デ・パルマ監督は、キャリーの超能力のパートに時間を割いたが、決して演技を見失わなかった。そして、本当のモンスターは学校に潜んでおり、笑いながらその時を待っているということだ。—Joshua Rothkopf
監督:ゲイリー・ロス
出演:トビー・マグワイア、リース・ウィザースプーン、ジョアン・アレンほか
名ゼリフ:「プレザントヴィルの外はどうなってるの」
名シーン:ベティ・パーカーの初の自慰行為がきっかけとなり、外の木が自然と燃え始めるシーン
映画『ハンガー・ゲーム』で暴力を用いるずっと以前に、作家であり映画監督のゲイリー・ロスは、ある双子が1950年代の白黒テレビドラマの世界に入り込むという物語を作っていた。彼らの存在と外の世界の知識により、物や人間がモノクロームからカラーへと変化し、プレザントヴィルの人々の間に波紋を起こす。少々扱いがたい話だが、観ていて美しいものでもある。—Jessica Johnson
監督:ポール・ワイツ
出演:ジェイソン・ビッグス、クリス・クライン、トーマス・イアン・ニコラスほか
名ゼリフ:「今回こそ、バンド合宿で……」
名シーン:ジムが作りたてのパイを見つけ、台所のカウンターの上で自慰行為を始めるが、そこに父親が歩いて近づいてくるシーン
4人の10代の若者が卒業までに童貞を卒業するという約束を交わす、思春期の下品なコメディ映画。ジムは憧れの留学生のナディアにアタックするが、興奮したあまり早漏、その様子が学内のインターネットサイトに流れ、笑い者になってしまう。ついにクラスメイトを相手に童貞を卒業するが、驚くべきことに彼女が彼 (と視聴者)にセックスについて教えてくれる。本作を通してユーモアを学ぶことができる。そこには、「MILF("Mom I'd Like to Fuck"の頭字語で、性的に魅力的な年上の女性を意味する)」というスラングも含まれている。『アメリカン・パイ』は続編が望まれる青春映画の人気作となった。—Ramona Saviss
監督:ロブ・ライナー
出演:ウィル・ウィトン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマンほか
名ゼリフ:「でかいやつをぶち込んでやる、安物め」
名シーン:キャンプファイヤーでの会話のシーン(アネット・ファニセロの胸の話からグーフィーのミステリアスな起源にまで及ぶ)
映画『スタンド・バイ・ミー』は、10代の頃の友人たちとのひと夏の物語である。本作で注目すべきことは、懐かしさや、男らしいストーリーライン、そしてポップカルチャーが詰め込まれた脚本ではなく、その演技である。ウィル・ウィトンは完全に落ち着いた主役であり、リヴァー・フェニックスの演技は良くはないが (しかし、彼の森での場面には心が痛む)、その中でも素晴らしかったのはテディ役を演じたコリー・フェルドマンだ。—Tom Huddleston
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