レビュー:『モンスターズ / 地球外生命体』

ロマンスとロードムービーとモンスター映画の完璧な融合

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レビュー:『モンスターズ / 地球外生命体』

Whitney Able star as Samantha Wynden in Magnolia Pictures' Monster. Photo courtesy of Magnolia Pictures

監督: ギャレス・エドワーズ
キャスト: ホイットニー・エイブル、スクート・マクナリー
タイムアウトの評価:

イギリスの映画監督ギャレス・エドワーズが「低予算でありながら見る人を虜にしてしまうSF映画を産み出した」という話題ばかりが先行して、この映画の持っている、ロマンスとロードムービーとモンスター映画の見事な組み合わせという側面についてはあまり語られていないのが、少々残念だ。グアテマラ、ベリーズ、メキシコでゲリラ的に撮影された映像には、2人の俳優と、その土地土地の素人達による、即興だが自然な会話が映されている。この映画『モンスターズ』は、形に囚われない柔らかい構造を用いて、近未来世界へと観客を引き込んでゆく。その世界のメキシコ人達は、巨大なイカ状のエイリアンによる破壊好意に食傷気味だ。

数年前に、NASAの探査機が(太陽系内の地球外生命体の可能性を発見しサンプルの収集に成功するが)地球に帰還する際にメキシコに墜落。その後、墜落エリア一帯(メキシコの半分)が絶対立入禁止区域として設定され、それはメキシコからアメリカ国境まで広がっているというのがこの映画の基本設定。スクート・マクナリーが演じるフォトジャーナリスト、アンドリュー・コールダーは、会社の上司の命令により、ホイットニー・エイブルが演じる娘サマンサを連れ戻すよう危険な任務を負わされることになる…。聞いただけで疲れそうなこのトリップには、電車やらピックアップトラックやらボートやら、不吉な音楽が鳴り渡るジャングルやら、何でもあり。

次の『第9地区』や『クローバーフィールド』だと評されているにも関わらず、デジタル的に強調された雰囲気満点の『モンスターズ』の質感からは、クリーンでとんがった人工的なものよりも、甘くナーバスなリアリティが感じられてくる。モンスター映画としての注目すべきクライマックスはもちろんだが、ベストシーンを選ぶとしたら、やりたい放題のモンスター(のニュース映像)が白黒のテレビに映された怪しげなホテルの部屋で、コールダーとサムがしんみりとイチャついている人間らしいシーン。

望まれていないエイリアン達をアメリカから追い出すために設置された国境の壁や米軍による爆撃など、政治的なメッセージが感じられるシーンもあって面白い。


『モンスターズ / 地球外生命体』は7月23日(土)から、シアターN渋谷、ほか全国ロードショー
公式ウェブサイト:www.monsters-movie.com/



By ナイジェル・フロイド
翻訳 西村大助
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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