映画『ジュピター』レビュー

ウォシャウスキー姉弟が完全オリジナルストーリーで描く、新次元のSFアクション

(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
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『ジュピター』タイムアウトレビュー

中途半端なことはしない、ラナ、アンディのウォシャウスキー姉弟に敬意を表すべきだ。近作『クラウド・アトラス』では、ディストピア的な世界で繰り広げられるSF、時代劇、上品な残酷劇と、ありとあらゆるものをミックスした、時間を自由自在に超える、凶暴なまでのスペースオペラを作りあげた。

今作『ジュピター』には、『マトリックス』の救世主、『スピード・レーサー』のビジュアルの強烈さ、そして『クラウド・アトラス』の刺激的な要素がある。言うまでもなく、『デューン/砂の惑星』、『ファウンデーション』、『フラッシュ・ゴードン』、『バーバレラ』、『未来世紀ブラジル』の要素も随所に見られる。これらが渾然一体となって織り込まれ、「自分は一体何を観ているんだ?」と頭を混乱させられるような、壮大な銀河系ファンタジーを創り出している。ウォシャウスキー姉弟の映画人としてのキャリアがそれで終わってしまいそうな勢いを感じる、もの凄い作品だ。

ミラ・クニス演じるジュピター・ジョーンズは、現代のシカゴに住むロシア人の移民。彼女が、宇宙の最高位の黒幕を演じるエディ・レッドメインのターゲットになったとき、ありふれた日常がすっかり変わってしまう。雇われハンターを演じるチャニング・テイタムによって助けられたジュピターは、自身が「銀河宇宙の女王」の遺伝子上の生まれ変わりだと知る。そして、その称号を得た者は、ある理由によって、無限の富と人々を支配する力が与えられるのであった。

今作は最初から最後まで狂気的な混乱を呈しており、空を飛ぶ恐竜や、呪いのマスクをしたロボット、追って行くのが難解な筋書き、奇妙に無表情な対話などが詰め込まれている。その純然たる野心を無視できないし「楽しい」感覚は病み付きになる。自分が正気かどうか心配になるかもしれないが、観終わったときには笑顔になれるだろう。


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『ジュピター』

2015年3月28日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

監督:アンディ・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー
製作:グラント・ヒル、ラナ・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー
製作総指揮:ロベルト・マレルバ、ブルース・バーマン
出演:チャニング・テイタム、ミラ・クニス、ショーン・ビーン、エディ・レッドメイン、ダグラス・ブース
配給:ワーナー・ブラザース映画
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テキスト トム・ハドルストン
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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