映画『TOKYO TRIBE』レビュー

世界初、バトルラップミュージカル映画が誕生

(C)2014 INOUE SANTA / "TOKYO TRIBE" FILM PARTNERS
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『TOKYO TRIBE』タイムアウトレビュー

園子温監督の最新作『TOKYO TRIBE』はロッキーホラーショーもビックリの、バトルラップミュージカル。監督は舞台挨拶で「劇場に何度も足を運んで歌詞(セリフ)を覚えて映画に合わせて歌っちゃいましょう。」と言っていた。実際に、アメリカでミッドナイトムービーが流行していた1970年代当時、ロッキーホラーショーが上映される時は、出演者のコスプレをして劇場で映画に合わせて歌うというムーブメントが起こっていたので、2014年の日本でもその様なことが起こったら本当に面白い。

アジアの繁華街の様に雑多な近未来のトーキョーを舞台に「ブクロWU-RONZ」のトップに君臨するメラ(鈴木亮平)と「ムサシノSARU」に所属する出口海(YOUNG DAIS)を取り巻く人々の一大抗争を描く。原作は、90年代ストリートカルチャーとファションを牽引した、累計250万部超えの井上三太による伝説的コミック『TOKYO TRIBE2』。

劇中、大半のセリフがラップとなり、ストーリーテラーとなるMC SHOW(染谷将太)のけだるいラップ、現在のストリートシーンで活躍するラッパー(MC漢、D.O、ANARCHY、SIMON、KOHHなど)によるラップバトルも繰り広げられる。それに加え、YOUTUBEオーディションで役を勝ち取った面々も多数出演し、ベテラン俳優陣だけでは出せない味を出している。ほぼ全編スタントなしという迫力のアクションシーンも見所だ。そして、映画『時計仕掛けのオレンジ』のモロコバーのような、生身の人間を家具としてコレクションしている、ンコイ(窪塚洋介)の部屋は印象的だった。

園監督と聞くとインパクトの強い作品が頭に浮かぶ。今回の作品もオープニングから過激で、卑猥。そして、園映画の要素である、テンションが高く、笑える部分が多く引き出されていた。ラストシーンのWU-RONZのアジトで戦うシーンは石井岳龍監督の『爆裂都市 BURST CITY』を思い起こされ、スクリーンから勢いと熱が伝わってくる。このテンションに引き込まれたら、劇場を後にする頃にはラップを刻んでいるかもしれない。


『TOKYO TRIBE』

2014年8月30日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
原作:井上三太「TOKYO TRIBE2」(祥伝社刊)
監督 脚本:園子温
出演:鈴木亮平、YOUNG DAIS、清野菜名、佐藤隆太、染谷将太、でんでん、窪塚洋介、竹内力ほか
配給:日活
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テキスト 平塚 真里
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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