TIFFで観るべき25の映画

自然派ドキュメンタリーから話題の監督の新作まで、第25回東京国際映画祭でチェックしたい作品

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TIFFで観るべき25の映画

© medient 2012


檻の中の楽園
natural TIFF | 10月22日19時50分〜、10月25日17時10分〜
ナレーションフリーの本作品は、ドゥニ・コテ監督(代表作『all that she wants』で知られるカナダ人)によるドキュメンタリー。動物園、剥製師、絵画教室などで撮影された動物たちの姿を通じて、人間と動物の不思議な関係を描き出す。


目隠し
アジアの風 | 10月20日17時40分〜、10月22日13時50分〜
インドネシアのベテラン映画監督ガリン・ヌグロホは、一般人を多く起用した低予算のドラマともいえる本作品で、これまでのミュージカル作品『Opera Jawa』などの作風から一変し、イスラム原理主義集団による新兵徴収のための拉致を取り上げる。


ブワカウ
アジアの風 | 10月23日10時50分〜、10月26日20時20分〜
フィリピン本国で予想以上のヒット作となった『ブワカウ』は、アカデミー賞外国語映画部門でフィリピンの代表作品に選ばれた。フィリピンの名優エディ・ガルシアが偏屈なゲイの独居老人を園児、野良犬ブワカウとの間の心の交流を描く。


©2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE
マリー・アントワネットに別れを告げて
特別招待作品 | 10月22日17時05分〜
ある意味、大河ドラマのエキスパートともいえるブノワ・ジャコー監督だが、本作品はソフィア・コッポラの退屈な『マリーアントワネット』に対する解毒剤といってもいい映画。王妃に仕える朗読係の目線で、陥落前のヴェルサイユを捉えている。本作品は、ベルリン国際映画祭のオープニング作品でもあった。


老人ホームを飛び出して
アジアの風 | 10月25日 14時20分〜、10月27日 16時40分〜
老人ホーム版『フルモンティ』を見たい人にはおすすめ。というのも、それがビタースイートな人情派コメディ映画となっている本作品のインスピレーションの源となっているように見受けられるから。人気仮装番組に出演するため、古ぼけたバスに乗ってテレビ局をめざす老人たちを描いた作品だ。しかし、実際のところフルモンティ(素っ裸)にはならないのであしからず。


© Heimatfilm
ハンナ・アーレント(原題)
コンペティション | 10月21日 11時00分〜、10月26日 16時15分〜
マルガレーテ・フォン・トロッタ監督が、複雑かつ高尚なテーマに取り組んだ作品。ドイツ系ユダヤ人の哲学者、ハンナ・アーレントの信念を描いている。アーレントは、ナチス高官だったアドルフ・アイヒマンの裁判に際し、『悪の陳腐さの報告』と題したレポートを著したことで知られる。


© Nordisk Film 2012
シージャック
コンペティション | 10月20日10時45分〜、10月22日17時50分〜
デンマークのトビアス・リンホルム監督は、長編作品2本目となる本作品で、海賊にシージャックされる商戦を舞台に、商戦の本社と海賊の間で繰り広げられるスリリングな交渉を通じ、船員たちの間で精神的緊張感が高まっていく様をリアルに描いている。予告編を見ただけでも本作品はかなり期待できそうな内容となっている。


©2012 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
インポッシブル
ワールドシネマ | 10月21日16時50分〜、10月24日18時35分〜
J.A.バヨナ監督が、2004年に起きたスマトラ沖大地震による巨大津波を描いた本作品を、昨年の東日本大震災を経た日本の観客がどう受け止めるのか、その反応が気になる作品。ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーが、休暇を過ごしていたタイで津波の被害に遭い、離ればなれになってしまったスペイン人夫婦を演じている。


©2011 AfterImage Public Media
南の島の大統領 沈みゆくモルディヴ
natural TIFF | 10月22日16時15分〜、10月26日17時10分〜
30年に及ぶ独裁政治に終止符をうって、30歳の若さで大統領に就任したモハメド・シナード。海面上昇により国土消失の危機に瀕する祖国モルディヴのために奮闘する姿を描いた本作品は、一見の価値がある。ナシードが大統領職を辞したことがなんとも残念ではあるが。
『南の島の大統領 沈みゆくモルディヴ』のタイムアウトレビューを読む


JAPAN IN A DAY
特別招待作品 | 10月20日11時15分〜
リドリー・スコット監督が製作総指揮をつとめた本作品は、昨年の3月11日からまる一年が経過した2012年3月11日に、世界各地で撮影された動画を集めたもの。実際に被災地にいた人々にとってはカタルシスとなりうるが、予告編を見るかぎりではちょっと甘ったるくまとめすぎている感もある。


特別オールナイト コーマン魂
特別上映 | 10月27日 23時00分〜
インディペンデント映画の巨匠として、映画ファンから支持を集めるロジャー・コーマン監督を本年度の映画祭審査員に迎えるとは、なかなかユニーク。コーマンの代表作『レッドバロン』(1971年)、『ピラニア』(1978年)、『モンスター・パニック』(1980年)をオールナイトで堪能できる。


© FABULA
NO
コンペティション | 10月25日 18時30分〜、10月27日 11時30分〜
パブロ・ラライン監督による、ピノチェト独裁政権を暑かった三部作の最後にあたる本作は、まさにシリーズの最後を飾るにふさわしい出来。ガエル・ガルシア・ベルナルが演じる広告代理店役員の視線を通じて、ピノチェト政権の終焉を捉えた作品は、本年度のコンペティション部門でも際立っている。本作品は、カンヌ国際映画祭でアート・シネマ賞を受賞した。


© Rapsodie Production - Cité Films
もうひとりの息子
コンペティション | 10月20日 17時45分〜、10月26日 19時35分〜
昨年度の東京国際映画祭で観客からの支持を集めた『ガザを飛ぶブタ』に続いて、本年度もイスラエルとパレスチナ間の衝突を描いた作品が登場。本作品は、イスラエル人とパレスチナ人、2人の青年が、互いの出生が入れ替わって事実を知った後に、双方の家庭が大きく揺れ動く様を描いたヒューマンドラマ。事前レビューによれば、説教じみることなく、絶妙な演技が光る作品との下馬評がされている。


© Fandango - Archimede - Le Pacte Garance Capital
リアリティー
ワールドシネマ | 10月21日10時20分〜、10月23日15時15分〜
マッテオ・ガローネ監督は、イタリアのマフィア社会をドライに描いた「ゴモラ」(2008年)の時と同様に、本作品でもイタリアの現代社会を、今回はテレビのリアリティショーという舞台を通じて描いている。カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門でグランプリを獲得した作品。


©2012 Company Films, LLC
サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ
ワールドシネマ | 10月26日18時00分〜
プロダクション関係のごたごたのせいか、いまだ公開未定のままとなっている『47RONIN(原題)』の主演をつとめるキアヌ・リーブスが、その待ち時間をうまく使うことに成功したようだ。タイムリーかつ非常に意義深い内容でもある、映画業界におけるデジタルシネマの台頭に関するドキュメンタリーをプロデュースしたのだ。マーティン・スコセッシ、ジェームズ・キャメロン、デビッド・リンチをはじめとする顔ぶれによる証言とともに、映画の未来を考えている。


あれから
日本映画・ある視点 | 10月21日18時20分〜、10月24日13時50分〜
本年度の映画祭では多くの作品が3.11後の余波を描いているが、本作品もそのひとつ。篠崎誠(代表作『東京島』)は、東京在住の女性と、震災後、心のバランスを崩してしまった被災地在住の恋人との関係に焦点を当てた。榎本憲男による『何かが壁を越えてくる』との二本立てで上映する。


©MOCUSHURA
眠れぬ夜
アジアの風 | 10月23日21時25分〜、10月27日19時40分〜
2009年のデビュー作『虹』があたたかいレビューとともに受け入れられた後も、脚本家/監督のチャン・ゴンジェは自信が得意とする、静かで抑制のきいた調子で、若い夫婦の生活を描いている。


© 2011 MK2 SA / France 3 Cinéma © Carole Bethuel
5月の後
ワールドシネマ | 10月24日12時40分〜、10月28日19時50分〜
オリヴィエ・アサイヤスは、高評価を得た2010年の作品『カルロス』の流れを受け、本作品でも、フランスで学生運動が政治活動的色合いをみせはじめた1970年代を舞台に、運動に参加していた学生グループを取り上げている。反辞典的な作品でもあり、ヴェネツィア映画祭では脚本賞を受賞している。


© Muse Film – Radar Pictures
スプリング・ブレイカーズ
ワールドシネマ | 10月21日21時35分〜、10月24日21時35分〜
清楚な女優としてのイメージがあったセレナ・ゴメスとヴァネッサ・ハジェンスが、ハーモニー・コリンによる本作品で、ビキニ姿で馬鹿騒ぎをするティーンエイジャーを演じている。本年度の映画祭では、ロジャー・コーマン作品を差し置いて、いちばんお下品な作品といってもいいかもしれない。コーンローにギラギラの銀歯が光るドラッグディーラーの役をジェームズ・フランコが演じているのも見所。
『スプリング・ブレイカーズ』タイムアウトレビューを読む


©2013『横道世之介』製作委員会
横道世之介
特別招待作品 | 10月27日16時35分〜
昨年度の映画祭で審査員賞を獲得した沖田修一による本作品は、高良健吾×吉高由里子というキャスティングで、青春小説の金字塔『横道世之介』を映画化した作品。


©2012 映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』製作委員会
すーちゃん まいちゃん さわ子さん
特別招待作品 | 10月24日17時45分〜
益田ミリ原作のコミックの映画化。柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶというキャスティングで、御法川修監督がメガホンをとった作品。


©2012フジテレビジョン 東宝 アルタミラピクチャーズ
終の信託
特別招待作品 | 10月24日13時30分〜
周防正行監督が、「Shall we ダンス?」以来久々の競演となる草刈民代と役所広司の2人とタッグを組んだ作品。医師と末期患者の関係を通じて、終末医療に関する問題や愛と死を描いている。他に浅野忠信、大沢たかおなどのキャストが脇を固める。


©2012 Block 2 Pictures Inc. All rights reserved.
光にふれる
アジアの風 | 10月22日16時50分〜、10月26日14時00分〜
実在する盲目のピアニストが、作中でも本人のまま視覚障害をもつピアニストを演じた作品。台湾が来年度のアカデミー賞外国語映画部門を狙っている作品でもある。


愛のゆくえ(仮)
日本映画・ある視点 | 10月22日20時05分〜、10月25日11時30分〜
昨年の大晦日に出頭したオウム真理教の元幹部、平田信、そして彼と17年間にわたって逃亡生活を送っていた女性を取り上げた作品。低予算ながらも、昨年末の事件をこの早さで取り上げているところが興味深い。


©medient 2012
イエロー
コンペティション | 10月21日13時40分〜、10月22日11時15分〜
ニック・カサヴェテスは、この『イエロー』をもってして、ジョン・カサヴェテスの陰から脱して新境地にたどり着いた。妻でもあるヘザー・ウォールクィストが、現実から目を背けて生きる代理教員を演じる。控えめにいうと、評価は別れるところ。

・各作品の前売りチケットはチケットボードで発売中(一部売り切れあり)
・第25回東京国際映画祭のイベント情報はこちら

By ジェイムズ・ハッドフィールド
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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