映画へ行こう 2月後半公開作品

岩井俊二、ナタリー・ポートマン監督の短編など公開続々

映画へ行こう 2月後半公開作品

『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』 Copyright 2007: RAI FICTION – TITANIA PRODUZIONI – INSTITUT DEL CINEMA CATALA’- EOS ENTERTAINMENT – GTM PRODUCTIONS

ある天才画家の生涯を描いた映画『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』。この2010年で没後400年を迎える。カラヴァッジョは16世紀のイタリアに、光と影をまとって現れた天才画家。ルネサンス文化が終焉した時代、徹底した写実描写、光と影による劇的なコントラストや感情表現で、バロックという絵画革命を起こした人物である。この作品中は、レンブラント、ルーベンス、ベラスケス、そしてフェルメールなど多くの芸術家に影響を与えた彼の、38年という短い生涯を振り返る。

この映画は冒頭から魅せられる。カラヴァッジョの代表作がまるでコラージュされているかのように、スクリーンいっぱいに次々と映し出されるのだ。『聖マタイの召命』『果物かごをもつ少年』『洗礼者ヨハネの斬首』など20点以上が登場し、作中ではその中のいくつかの名画が誕生するまでの秘密が明かされる。当時は絵画が信仰を広めるための有効手段とされ、カトリック教会が画家たちのパトロンだった。しかし、想像ではなく必ずモデルを用意していたカラヴァッジョは、聖人や聖母を描くにも庶民や娼婦をモデルに起用し、度々教会から非難を受けていた。このモデルになった女性たちとの愛のドラマを全編に散りばめることで、より多くの客層が入り込めるよう仕上がっている。時に自身の信念を貫くために筆を剣に持ち替える情熱的な一面と、幼い頃のトラウマで死に対する恐怖心に悩み続ける人間的弱さ、その反面で死を描くために自ら積極的に処刑場に足を運ぶなど、死が放つ闇の部分にも魅了されていく。バロック絵画の巨匠カラヴァッジョ。その人生は彼の描いた作品同様、光の部分は限りなく美しく、影の部分は果てしなく罪深い。

この複雑な役を見事に演じているのは、イタリアの名優アレッシオ・ボーニ。監督はアンジェロ・ロンゴーニ、撮影監督には『地獄の黙示録』『ラストエンペラー』でオスカー受賞歴のあるヴィットリオ・ストラーロが担当している。現在、東京都美術館では「ボルゲーゼ美術館展」が開催されている。日本初公開となる、カラヴァッジョの代表作『洗礼者ヨハネ』が展示されている。映画と併せて足を運んでほしい。

以下、新作公開情報をリスティング。

『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』

2007年イタリア、フランス、スペイン、ドイツ

原題:CARAVAGGIO
日本公開:2010年2月13日
配給:東京テアトル
ウェブ:caravaggio.eiga.com/
スタッフ: アンジェロ・ロンゴーニ(監督)
キャスト: アレッシオ・ボーニ、ジョルディ・モリャ、エレナ・ソフィア・リッチ、パオロ・ブリグリア

『恋するベーカリー』

2009年アメリカ

原題:IT'S COMPLICATED
日本公開:2010年2月19日
配給:東宝東和
ウェブ:koibake.com/
スタッフ:ナンシー・マイヤーズ(監督・製作・脚本)
キャスト:メリル・ストリープ、アレック・ボールドウィン、スティーヴ・マーティン

『コララインと魔法のボタン 3D』

2009年アメリカ

原題:CORALINE
日本公開:2010年2月19日
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
ウェブ:coraline.gaga.ne.jp
スタッフ:ヘンリー・セリック
キャスト(声の出演):ダコタ・ファニング、テリー・ハッチャー、ジョン・ホッジマン

『パレード』

2009年日本

日本公開:2010年2月20日
配給:ショウゲート
ウェブ:www.parade-movie.com/
スタッフ:行定勲(監督・脚本)
キャスト:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遺都、小出恵介

『海の沈黙』

1947年フランス

原題:LE SILENCE DE LA MER
日本公開:2010年2月20日
配給:クレスト・インターナショナル
スタッフ:ジャン=ピエール・メルヴィル(監督・脚本)
キャスト:ハワード・ヴァーノン、ニコール・ステファーヌ、ジャン=マリー・ロバン

『しあわせの隠れ場所』

2009年アメリカ

原題:THE BLIND SIDE
日本公開:2010年2月27日
配給:ワーナー・ブラザース映画
ウェブ:www.kakurebasho.jp
スタッフ: ジョン・リー・ハンコック(監督・脚本)
キャスト: サンドラ・ブロック、ティム・マッグロウ、クィントン・アーロン、キャシー・ベイツ

『バッド・ルーテナント』

2009年アメリカ

原題:CORALINE
日本公開:2010年2月27日
配給:プレシディオ
ウェブ:www.bad-lieutenant.jp
スタッフ:ヴェルナー・ヘルツォーク(監督)
キャスト:ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ヴァル・キルマー

『しかし それだけではない。 加藤周一 幽霊と語る』

2009年日本

日本公開:2010年2月27日
配給:スタジオジブリ /ウォルト・ディズニー・ジャパン
ウェブ:www.ghibli.jp/kato/
スタッフ: 鎌倉英也(監督)
キャスト: 加藤周一

『ニューヨーク、アイラブユー』

2009年アメリカ

原題:NEW YORK,I LOVE YOU
日本公開:2010年2月27日
配給:IMJエンタテインメント /マジックアワー
ウェブ:www.ny-love.jp/
スタッフ:岩井俊二、ファティ・アキン、イヴァン・アタル、アレン・ヒューズ、ジョシュア・マーストン、シェカール・カプール、ナタリー・ポートマン、ブレット・ラトナー、ミーラー・ナーイル、チアン・ウェン、ランディ・バルスマイヤー(監督)
キャスト: オーランド・ブルーム、ヘイデン・クリステンセン、ナタリー・ポートマン、クリスティナ・リッチ、ロビン・ライト・ペン、アンディ・ガルシア、シャイア・ラブーフ、イーサン・ホーク、レイチェル・ビルソン

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テキスト 粕谷みさを
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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