6月に観るべき映画 5

『クロエ』『ゲンスブールと女たち』『アトムの足音が聞こえる』ほか

6月に観るべき映画 5

『クロエ』

(C) 2009 StudioCanal All Rights Reserved.


カナダ映画界の鬼才、アトム・エゴヤン監督が、主役にジュリアン・ムーアを迎えて初めてハリウッドで撮った最新作。夫の浮気を疑う女医、キャサリンは、売春婦のクロエを雇い、夫を誘惑させて、夫がどんな反応をするのか報告させようとする。ところがクロエは魔性の魅力を発揮、次第にキャサリンを追いつめていく。クロエを演じるのは、出演作の公開が相次ぐ注目の新人、アマンダ・セイフライド。本作ではコケティッシュな魅力を発揮していて、ジュリアンとのラヴ・シーンも話題だ。妄想、不安、そして、オブセッションが絡み合ったサスペンスフルな物語は、ロマン・ポランスキーの名作『反撥』の熟女版といった趣も。

公開:5月28日(土)
劇場:TOHOシネマズ シャンテ ほか全国順次公開
出演:ジュリアン・ムーア、リーアム・ニーソン、アマンダ・セイフライド
監督:アトム・エゴヤン『スウィート ヒアアフター』『秘密のかけら』
ウェブ:www.chloe-movie.jp/


『マイ・バック・ページ』

(C) 2011映画『マイ・バック・ページ』製作委員会


妻夫木聡(『悪人』)、松山ケンイチ(『ノルウェイの森』)が初共演。そして、監督は山下敦弘(『リンダ リンダ リンダ』)という、日本映画の新世代を代表する顔ぶれが集結して、実際にあった事件をもとにドラマ化した話題作。1971年、駆け出しの雑誌記者、沢田(妻夫木)は、「必ず行動を起こす」と息巻く過激派の学生、梅山(松山)と出会って奇妙な友情で結ばれる。そして、ある日、梅山が起こした自衛官殺人事件の知らせが……。理想に満ちた60年代からニヒリスティックな70年代へ。移ろいゆく時代を背景に、そこに浮かび上がる二人の若者の青春と挫折は、まるでニュー・シネマのようなナイーヴな手触りだ。

公開:5月28日(土)
劇場:新宿ピカデリー、丸の内TOEI ほか全国ロードショー
出演:妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、石橋杏奈、韓英恵、中村蒼
ウェブ:mbp-movie.com/
ツイッター:twitter.com/MyBackPage_528


『ゲンスブールと女たち』

(C)2010 ONE WORLD FILMS-STUDIO37-UNIVERSAL PICTURES INTERNATIONAL FRANCE - FRANCE 2 CINEMA - LILOU FILMS - XILAM FILMS


ミュージシャン、作家、俳優、映画監督など、さまざまな顔を持つセルジュ・ゲンスブールの生涯を映画化。パリのユダヤ移民の家庭に育ち、自分が〈ユダヤ人の醜男〉だということにコンプレックスを抱いた少年が、やがて音楽の才能を開花させて美女たちと愛し合うようになる。そんな〈成り上がり伝説〉を独創的な演出で描き出したのは、フレンチ・コミックの人気作家ジョアン・スファールで、みずからデザインしたマペットやアニメを織り交ぜながらゲンスブール世界とコラボレート。また、ゲンスブールを演じたエリック・エルモスニーノが驚くほどゲンスブールの雰囲気をとらえていて、映画初主演にして見事、セザール賞の最優秀主演男優賞を受賞した。

公開:5月21日(土)
劇場:Bunkamuraル・シネマ、新宿バルト9 ほかにて公開中
出演:エリック・エルモスニーノ、ルーシー・ゴードン、レティシア・カスタ
監督・脚本:ジョアン・スタール
ウェブ:www.gainsbourg-movie.jp/


『アトムの足音が聞こえる』

(c)シネグリーオ 2010


TVや映画で陰ながら大きな役割を果たしている音響効果のパイオニアであり、日本の電子音楽の歴史におけるキーパーソン、大野松雄を追ったドキュメンタリー。50年代、演劇青年だった大野は、演劇の音響を手伝ううちに才能を開花。やがて電子音楽と出会い、シンセサイザーを使った新しい音響を生み出して行く。国産アニメ第一号『鉄腕アトム』の音響効果はいまや伝説だ。映画の前半では大野を軸に音響効果の歴史を紹介、後半では今の大野の活動に密着しているが、専門教育を受けず直感的なアイデアで音を生み出す大野は、アカデミズムとは無縁の自由奔放さがある。そんな異才を追いかけるのは、日本映画界の若き異才、冨永昌敬。

公開:5月21日(土)
劇場:ユーロスペースにて公開中、ほか全国順次公開
出演:大野松雄 柴崎憲治 竹内一喜 大和定次 杉山正美
監督:冨永昌敬
ウェブ:www.atom-ashioto.jp/


『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』

(c)2010「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」製作委員会


新婚、といっても、長い同棲生活の挙げ句、なしくずしに結婚した大木夫婦は早くも倦怠期に突入。そんな2人が不思議な占い師に紹介されたのは、一泊二日の“地獄旅行”だった。演劇界の鬼才、前田司郎の小説を映画化した本作は、竹野内豊と水川あさみが夫婦役でコメディ初挑戦。2人を地獄に案内する占い師役に樹木希林と片桐はいり、そのほか荒川良々、柄本明など個性派役者が、シュールな笑いに満ちた地獄巡りを案内してくれる。地獄温泉に浸かり、地獄甘えびを食べ、地獄のナイトマーケットで買い物しているうちに、たるんだ愛もリフレッシュ。

公開:5月14日(土)
劇場:新宿バルト9 ほか、全国ロードショー
出演:竹野内豊 水川あさみ、樹木希林 片桐はいり、荒川良々、でんでん、山里亮太(南海キャンディーズ)、橋本愛、柄本明
監督:本田隆一
ウェブ:ookike.gaga.ne.jp/

テキスト 村尾泰郎
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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