映画『ぼくを探しに』レビュー

『ベルヴィル・ランデブー』のシルヴァン・ショメ監督、実写初長編作が誕生

(C)2013 EUROWIDE FILM PRODUCTION-PATHE PRODUCTION FRANCE 3 CINEMA-APPALOOSA DEVELOPPEMENT
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『ぼくを探しに』タイムアウトレビュー

フランスのアニメショーン作家、シルヴァン・ショメ監督の作品はどれもサウンドトラックが印象深い。監督初の長編実写映画となる今作『ぼくを探しに』でもジョークのちょうどいいタイミングや主人公が深く眠っていた記憶を呼び覚ますきっかけのシーンなどで、記憶に残る音楽が流れていた。

主人公ポール (新人俳優 ギョーム・グイ)は、2歳の時に両親の死を目撃したショックにより、言葉を話すことができないまま大人になったピアニスト。ある日、同じアパートに住む風変わりな女性マダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)に出会い、無理やり記憶を呼び起こす魔法のハーブティーを飲まされる。すると、ミュージカルやダンス、不思議なカエル楽団などが登場する独創的な夢の世界へと迷い込んでいくこととなる。しかし、それと同時に、抑圧されていた恐怖とも対峙することとなるのであった。

ショメのアニメーションのファンは、『ベルヴィル・ランデブー』のブラックユーモアや魅力的で奇妙なキャラクターたちから、今作と多くの共通点を感じ取るだろう。そして、ジャン=ピエール・ジュネやミシェル・ゴンドリーの作品を思い起こすのは、個性的な音楽やアニメーションに溢れているからだ。しかし、キャラクター作りなどに志向をこらし、詰め込みすぎているような印象が強く、自身の主題を重要視しているように感じられる。その結果、ハリーポッターの「ペンシーブ」(魔法道具の1つで、ダンブルドア校長の記憶が保存してある水盆、ハリーはこの中に吸い込まれる)をパロディ化したものと思えてしまう。監督の表現する世界は愉快だが、人々に受け入れられるかが問題だろう。

原文へ(Time Out Paris)


『ぼくを探しに』

2014年8月2日(土)よりシネマライズ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
監督・脚本:シルヴァン・ショメ
音楽:シルヴァン・ショメ、フランク・モンバレット
出演:ギョーム・グイ、アンヌ・ル・ニ、ベルナデット・ラフォン、エレーヌ・ヴァンサン ほか
配給:トランスフォーマー
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
(C)2013 EUROWIDE FILM PRODUCTION-PATHE PRODUCTION FRANCE 3 CINEMA-APPALOOSA DEVELOPPEMENT
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テキスト Alex Dudok de Wit
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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