映画『ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス』レビュー

独裁国家パネムに対抗する組織に加わったカットニスの壮絶な運命を描く

TM&(C)2015 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.
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『ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス』タイムアウトレビュー

映画『ハンガーゲーム』の最終章の前編となる本作は、あらゆる物事が悪い方向に進んでいった。2部構成の前編ということで、ドラマよりも伏線が描かれるべきで、キャッシュマシーンのエピソードは、来年の大々的なフィナーレに向けたものとなる。今作では、アクションシーンは確実に抑えられており、より深く、暗く、物語が描かれていた。その暗さは、プロザック(抗うつ剤の名称)とポップコーンを一緒に与えるか、トラウマを抱えた13歳の子どもにカウンセリングを申し出なければならないほどである。

ストーリーは、反乱軍を抱えた第13地区から始まる。前作の終盤で、記念大会として特別に開かれた「ハンガー・ゲーム」の競技場から主人公カットニスを救出した人物は、同地区の指導者だった。反乱軍による暴動はいくつかの地区で発生しており、第13地区を治める冷淡なアルマ・コイン首相(ジュリアン・ムーアが恐ろしい横分けスタイルで演じている)は、カットニスに革命のシンボルになるように持ちかける。今回は、命を落とすまで戦うゲームは登場せず、地味なアクションシーンがわずかにある程度だ。しかし、主人公カットニスを演じるジェニファー・ローレンスが放つ矢や、彼女の感情こもった嵐のように荒れ狂う演技は、本作における最大の見どころとなった。

この最終章では、カットニスの成熟が描かれ、全体主義の首都キャピトルとの武装闘争における自身の役割と格闘している。第13地区の人々は良心的かもしれないが、カットニスは、アルマ・コイン首相と、ゲームメイカーのプルターク・ヘブンズビー(晩年の演技が素晴らしいフィリップ・シーモア・ホフマンが演じている)に疑心を抱く。彼女が戦場に向かう際に、ある人物が「あなたが死んだらどうすればいい?」と尋ねると、彼女は「カメラに映っているか確認して」と答える。まるでチェ・ゲバラのように、カットニスは自身の死をもって革命に最大限の価値を付加しようとするのだ。

一方キャピトルでは、邪悪なスノー大統領(ドナルド・サザーランド)が、ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)に拷問を加えていた(折檻は十分ではないかもしれないが、彼がTV出演時に着用する、輝かしい光沢のあるパワースーツを見てほしい)。素晴らしいキャスティングによるハンガーゲームシリーズの中で、カットニスとピータの関係は常に進展が遅い。なので、2人が引き離されることに対して不満は言うまい。そしてカットニスは、自由の身のゲイル(リアム・ヘムズワース)とともに戦いに出向く。

シリーズ過去作と同様に猛烈だが、より命懸けな雰囲気があり、観客を引き付ける作品だ。映画を鑑賞しながら同時にメールするティーンの女子をターゲットにした映画としては、ブラッド・ピットが道理を理解しているふりをする戦争ドラマ映画『フューリー』よりも、戦争に対する曖昧な倫理性が見られるかもしれない(原作者のスーザン・コリンズは軍人の娘である)。キャピトルとの戦いは避けられないのか。もし政権を倒せば、反逆は正しいと信じられるものなのか。そして、今作の素晴らしい点は、カットニスが不変の偉大なヒロインの1人として描かれていることだ。彼女は、強く、賢く、頑固で、怒りを抱え、愛に満ち溢れていた。


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『ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス』

2015年6月5日(金) TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー、『ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション』は2015年冬 全国ロードショー

監督:フランシス・ローレンス
原作:スーザン・コリンズ著『ハンガー・ゲーム3 マネシカケスの少女』
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、ジュリアン・ムーア、フィリップ・シーモア・ホフマン、ジェフリー・ライト、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド、サム・クラフリン、ナタリー・ドーマーほか
配給:KADOKAWA
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テキスト カッス・クラーク
翻訳 小山瑠美
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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