大変!息子がゲイなんて!
2010年07月05日 (月) 掲載
2011年で20周年を迎える東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は、スタッフ全員がボランティアで関わっており、彼らの熱い想いで19年間継続している。そんなイベントの代表者、宮沢英樹に、これまでの経緯やLGBT関連映画祭(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダーの頭文字をとったもので、セクシュアルマイノリティの意)ならではの課題などについて語ってもらった。
「スタートした92年当初は、会議室を借りて上映会が行われていました。解放運動として始まり、当時は観客やスタッフのほとんどがセクシュアルマイノリティの方でした。でもその後、一般の施設で開催されるようになり、エンターテインメントとしての映画祭に変わりはじめ、客層などの幅も広くなりました」
LGBT関連の映画祭が抱える最大の課題は、日本におけるセクシュアルマイノリティの現状がやや閉鎖的ということかもしれない。そのため数年前までは、行きたくても行けないと感じる人も少なくなかったという。
「昔はカミングアウトしている人は今よりずっと少なく、ひとりでこっそりといらっしゃる方が多くて、全体的に周りの目を気にしているという印象でした。しかし最近では、友達同士やストレートの友人を連れて来るなど、様々なセクシュアリティが交流し、とてもオープンになったと感じています。社会が変わってきているので、そういった動向も反映されていると思います」
2年前より新宿の映画館『新宿バルト9』でも開催されるようになったことも大きな前進といえる。そのお陰で配給会社の扉が開きやすくなったほか、それまで訪れにくかった人々からも、「一般の映画館だと入りやすいので、初めて行けました!」といったメッセージが寄せられたという。
とはいえ、日本ではまだゲイやレズビアンという言葉に関して抵抗を示す企業も少なくない。通常の映画館や配給会社の協力、企業のスポンサーを獲得するのは至難の業だ。
「スウェーデンやカナダなど、同性婚が合法な国の大使館はとても協力的ですが、そうでない国から支援を得るのはほぼ不可能です。また、外資系の企業のほうがゲイフレンドリーな傾向はありますが、その時の担当者にもよります」
アメリカやフランス等で確立している、大手のスポンサー(たとえば家具店のイケアや、衣料品メーカーのユニクロ)が積極的に出資する大規模なLGBTマーケットの存在とは裏腹に、日本ではスポンサーになりたがる企業は多くない。19年も継続している名高いイベントでも、国内では人件費が全く出ないというのが現状なのだ。
「報酬が出ないどころか、交通費などの経費もずっと自腹で持ち出しだったのですが、ようやく2009年から交通費は出せるようになりました!観客の笑顔を見る時や、打ち上げで乾杯する瞬間は、本当に頑張った甲斐があったと毎回幸せを感じます!」
このような数々の困難を、スタッフの確固たる意志で乗り越え、彩り豊かなイベントが作り上げられている。他では観られない作家性の強い映画や、インディペンデントならではの個性的な作品が満載なので、この機会に一度足を運んでみてほしい。
場所:新宿バルト9(地図などの詳細はこちら)
日程:2010年07月09日(金)から11日(日)まで
場所:スパイラルホール(地図などの詳細はこちら)
日程:2010年7月15日(木)から19日(月・祝日)まで
ウェブ:tokyo-lgff.org/
[後編] 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2
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