GWに観るべき映画 5

『ピンクスバル』『キッズ・オールライト』『まほろ駅前多田便利軒』ほか

GWに観るべき映画 5

©2011「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会

キッズ・オールライト

2010 Focus Features


大学進学を控えたジョニと弟のレイザー。姉弟には同性婚をした2人のママ、ニックとジュールスがいて、ママたちは精子バンクを利用して子供たちを出産していた。思春期を迎えた子供たちは、自分たちの遺伝子上の父親に興味を持って連絡してみることに……。突然の“父親”の登場に戸惑い、悩みながらも絆を確かめ合う家族の姿を、ウィットに富んだユーモアと温かな眼差しで描いたドラマ。よく練られた脚本とシャープな演出で心地良く物語に身を委ねることができる。さらにロック好きのリサ・チョロデンコ監督だけに、ヴァンパイア・ウィークエンドやMGMTなどサントラのセンスも抜群。

公開:2011年4月29日(金)
劇場:渋谷シネクイント、TOHOシネマスシャンテ、シネリーブル池袋ほか全国公開
監督・脚本:リサ・チョロデンコ
出演:アネット・ベニング 、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、ミア・ワシコウスカ
ウェブ:allright-movie.com/


まほろ駅前多田便利軒

©2011「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会


東京郊外にある、まほろ市で便利屋を営む多田のところに、ひょんなことから同級生、行天が転がり込んできた。きっちりした性格の多田と、つかみどころのない行天。まったく性格の違う2人が共通しているのはバツイチということだけ。そんな2人が便利屋をしながら、自称コロンビア人の娼婦や危険なバイトに手を出す小学生など、個性豊かな人々と関わり合っていく。三浦しおんの小説を、瑛太と松田龍平の組み合わせで映画化。多田と行天の絶妙な掛け合いを軸に、社会の片隅で生きる人々の心のひだをすくいとる大森立嗣監督の演出は、温かさのなかに凛とした力強さがある。

公開:2011年4月23日(土)
劇場:新宿ピカデリー、有楽町スバル座、 渋谷ユーロスペース他、全国公開
監督・脚本:大森立嗣
出演:瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑、横山幸汰、梅沢昌代、大森南朋、松尾スズキ、麿赤兒、高良健吾、岸部一徳
ウェブ:mahoro.asmik-ace.co.jp/


ピンク・スバル


イスラエルとパレスチナの境界にある街、タイべに住むズベイルは、長年コツコツ貯めたお金で、ついに夢の車、スバル・レガシーを手にれる。ところが翌朝、車は忽然と姿を消していた。幸せの象徴のスバルを取り戻すため、ズベイルは仲間たちと国境を越えて走り回る。扮装地帯として知られる地域を舞台に、そこに住む人々の姿をいきいきと捉えたのは日本人監督の小川和也。人種や国籍は違っても、幸せを求める気持ち、そ家族や友人を思う気持ちは同じだということを、この優しさと笑いに満ちたパワフルな物語が教えてくれる。

公開:2011年4月16日(土)から公開中
劇場:UPLINK X
監督・脚本:小川和也
主演・共同脚本 :アクラム・テラーウィ
ウェブ:www.pinksubaru.jp/


メアリー&マックス

(C)2008 Screen Australia, SBS, Melodrama Pictures Pty Limited, and Film Victoria


オーストラリアに住むメアリーは、自分の顔にコンプレックスを持つ8歳の女の子。一方、ニューヨークに住む44歳の中年男、マックスは周囲に馴染めずに孤独な毎日を送っていた。そんな2人がふとしたきっかけで文通を始め、20年以上にわたって奇妙な友情で結ばれていく。オーストラリアのアニメーション監督、アダム・エリオットが5年の月日をかけてコマ撮りした本作は、アニメ界の最高峰、アヌシー国際アニメーション映画祭で最優秀長編賞を受賞した話題作。ブラックなユーモアで容赦なく人間の孤独を描きながらも、見終わった後、そこに確かな希望を感じさせてくれる。

公開:2011年4月23日(土)より新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー
劇場:新宿武蔵野館・シネリーブル池袋ほか、全国順次公開
監督・脚本:アダム・エリオット
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、トニ・コレット、エリック・バナ、バリー・ハンフリーズ ほか
ウェブ:maryandmax-movie.com/


四つのいのち

(C)Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.


舞台はイタリアの小さな村。ヤギを放牧する老人は、ある日、寿命をまっとうして天に召される。その老人が飼っていたヤギが子ヤギを生み、群れからはぐれた子ヤギは楡の木の根元で息絶える。その楡の木は村の祭りで使われた後、木炭にされて村の家々を暖める……。そうした自然の大きな生命の輪を、台詞や音楽を使わず映像のみで見つめた神秘的な作品。ワンシーンは長回しで撮影され、そこに映し出された何気ない風景から、ゆっくりとドラマが浮き上がっていく様子を観客は静かに見つめ続ける。ドキュメンタリーとフィクションの境界に存在するような新しい映像体験。

公開:2011年4月30日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
劇場:イメージフォーラム  他にて公開
監督:ミケランジェロ・フランマルティーノ
出演:ジュゼッペ・フーダ、ブルーノ・ティンパノ、ナザレノ・ティンパノ
ウェブ:www.zaziefilms.com/4inochi/

テキスト 村尾泰郎
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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