3月に観るべき映画 5

『トゥルー・グリット』『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』ほか

3月に観るべき映画 5

(C) 2011 士郎正宗・Production I.G / 講談社・攻殻機動隊製作委員会

トゥルー・グリット

(c) 2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.


『ノーカントリー』でアカデミー賞に輝いたコーエン兄弟の最新作は、初めての西部劇。父親を殺された14歳の少女マティが、酔いどれ保安官のコグバーンや誇り高きテキサス・レンジャー、ラビーフと復讐の旅に出る。残酷なほどのリアルな描写に奇妙なユーモアを交えた語り口の巧さは、さすがコーエン兄弟。なかでも、コグバーンが真夜中を疾走するクライマックス・シーンの幻想的な演出は、過酷な復讐劇を少女の夢の中の出来事のような世界に変貌させることで、過ぎ去った過去=西部時代に美しいオマージュを捧げているようだ。

公開:2011年3月18日(金)
劇場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか、全国公開
監督・製作・脚色:ジョエル&イーサン・コーエン
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、ヘイリー・スタインフェルド
ウェブ:www.truegritmovie.com/intl/jp/


お家をさがそう

(C)2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.


結婚はせずに仲良く暮らしてきた30代のカップル、バートとヴェローナ。2人はヴェローナが妊娠したことをきっかけに、新しい土地に引っ越して再スタートすることを決意する。そんな2人の家探しの旅を通じて家族のあり方を考えさせる本作は、温かなユーモアに満ちたロード・ムービー。2人が出会う家族はそれぞれ個性的で、「家族って何だろう?」と考えずにはいられない。シンガーソングライター、アレックシィ・マードックの歌が全編に使われていて、その親密な雰囲気はどこかニューシネマっぽいところも。

公開:2011年3月19日(土)
劇場:ヒューマントラストシネマ渋谷
監督:サム・メンデス
出演:ジョン・クラシンスキー、マギー・ギレンホール、マヤ・ルドルフ
ウェブ:ddp-movie.jp/ouchi/


台北の朝、僕は恋をする

(C) 2010Atom Cinema / greenskyfilms / All Rights Reserved


パリに行ってしまった恋人に会いたくて、台北の本屋で毎日フランス語の本を読んでいるカイ。そして、カイに密かに心を寄せる店員のスージー。そんな二人が思わぬ事件に巻き込まれてしまう。スージーを演じるのは台湾の人気シンガー、アンバー・クォ。エドワード・ヤンに師事したアーヴィン・チェン監督が、瑞々しい感覚で2人の冒険をポップに描き出していく。なかでも、夜の台北を鮮やかに捉えたカメラが素晴らしく、どこか『恋する惑星』を思わせるところも。台湾新世代の到来を告げるスタイリッシュなロマンティック・コメディ。

公開:2011年3月12日(土)
劇場:新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町
監督・脚本:アーヴィン・チェン
製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース、メイリーン・チュウ
出演:ジャック・ヤオ、アンバー・クォ、ジョセフ・チャン、トニー・ヤンほか
ウェブ:aurevoirtaipei.jp/


ファンタスティック Mr.FOX

(C) 2010 Fox and its related entities. All Rights Reserved.


ハリウッド新世代を代表する異才、ウェス・アンダーソンが初めてパペットアニメに挑戦。『チャーリーとチョコレート工場』のロアルド・ダールの小説をもとに、泥棒キツネと意地悪な牧場主(人間)の闘いをウェス流のユーモアたっぷりにアニメ化した。ヒーローでありながらトラブルメイカーでもあるMr.FOX(声はジョージ・クルーニー)をはじめ、大人になれない男たちや屈折した親子関係など、ウェス作品ではお馴染みのテーマを動物たちがキュートに演じている。ウェスの美意識が凝縮されたパペットや美術も見どころ。

公開:2011年3月19日(土)
劇場:シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館
監督・脚本・製作:ウェス・アンダーソン
声の出演:ジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、ウィレム・デフォーほか
ウェブ:mrfox.jp/


攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D

(C) 2011 士郎正宗・Production I.G / 講談社・攻殻機動隊製作委員会


オリジナルDVDとしてリリースされていた『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society』が3D化されて劇場公開。次々と不審な自殺を遂げる同じ刺青を持った男達。そして、独裁者の息子による空港たてこもり事件。その背後に暗躍する“傀儡廻”とは? 政治やテクノロジー、社会問題など様々なテーマを詰め込んだ本作は、もともと劇場公開映画クラスの予算で制作されていた作品だけにクオリティはかなり高い。さらにオープニングは完全新作で作られ、「観客自身がサイボーグになったかのような視点で映像化した」という立体ヴィジュアルにも注目。

公開:2011年3月26日(土)
劇場:新宿バルト9
監督・脚本・絵コンテ:神山健治
声の出演:田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕ほか
ウェブ:www.ph9.jp/

テキスト 村尾泰郎
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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