東京、カレー30

インド、タイ、欧風など、東京の広大なカレー宇宙をガイド

東京、カレー30選

イギリス人がインドの煮込み料理をカレーと名付け、明治初期に日本に伝えて以来、絶え間ない進化を続けたカレーは、日本の国民食として確固たる地位を築き、ひとつの料理としてくくりきれないほどの存在となった。東京でも数えきれないほどの店がカレーを提供しており、タイムアウト東京でもエリアごとや、ジャンル別などで何度も特集を組んできたが、全体を捉えることは、実に難しい。ここでは、発祥の地、インドのカレーをメインに据え、タイカレーや、日本のカレーの礎となった「欧風カレー」などをジャンルごとに紹介。カレーマニアの読者にとっては、ジャンル分けやセレクトに異論も多数あることと思うが、これをひとつの基準として東京のカレー探索に勤しんでほしい。

インドカレー編| タイ、日本のカレー編

北インド

北インドのカレーは、小麦粉を使用し、とろみをつけたカレーに、タンドール釜で焼いたナンをつけて食べる、日本人に馴染みのあるスタイルのもの。東京のインドカレーの主流と言えるだろう。

青山:シターラ



青山のシターラは、インドの5つ星レストランで修行を積んだシェフの確かな腕と、白を基調とした洗練された空間で女性に人気の北インド料理の店。日本人の絶大な支持を受ける『バターチキンカレー』が同店の定番。トマトの酸味、甘味をいかしながら、ハチミツを加え煮込まれるためコクがある。甘口ながらタンドール釜で焼き上げた鶏の香ばしさがアクセントとなりしつこくならない。カバブをメインに据えた上質なディナーコースも魅力的だ。写真:『Wカレーセット』(1,350円)

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上町:スパイス マジック



TVのカレー選手権での優勝経験も持つ店主が営む北インド料理レストラン、スパイス マジック。この店で一番人気のメニューは『サグチキンカレー』(980円)。ほうれん草ベースのカレーにチキンティッカが入っていて濃厚だがヘルシーなカレーだ。見た目こそ青々しいがサグカレー特有の青臭さは控えめで、まろやかでコクのある逸品。甘口な仕上がりで口に感じる直接的な辛さは薄いが、食べているうちに内蔵がぽかぽかと温かくなってくるところが、まさにスパイスのマジックだ。

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西麻布:嶮暮帰



嶮暮帰(けんぼっけ)は、いわゆるインド店らしいオリエンタルな内装ではなく、落ち着いた雰囲気。料理には天然のスパイスを使用しており、丁寧に作られたカレーのほか、しっかりとスパイスが染み込んだタンドールチキンも絶品だ。「東京で1番」との呼び声も高い。西麻布という立地にもかかわらず、昼は700円からあり、カレーにくわえ、丸型のナン、またはコシヒカリ米、サラダ、一口サイズのタンドールチキンまで付く。『豚挽き肉とナスのカレー』(800円)は、豚挽肉となすのみずみずしい食感のコントラストが印象的だ。

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南インド

南インドのカレーは、スパイスをダイレクトに感じられるスープのようなさらさらなカレー。ナンではなく米や、米粉や豆からつくられるパパドなどをあわせるのも特徴的だ。

神谷町:ニルワナム



思う存分カレーが食べたいと言うときは神谷町の南インド料理のレストラン、ニルワナムの『ランチブッフェ』(1,200円)を利用しよう。チキン、マトン、野菜など数種類のカレーのほか、酸味の効いたインドのスープのラッサムや、すり潰した豆で作る揚げドーナツのワダ、牛乳でつくるデザートのパヤサムなど、南インドの味を気軽に楽しむことができる。人気店のため行列は覚悟しなければならないが、ランチタイムのビジネスマンが多いので比較的回転は速い。(1,200円)

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京橋:ダバインディア



京橋のダバインディアは、南インド料理の人気店。おすすめは『ダバ ミールス』(ディナー2,200円)。バナナの葉の上に米、カレー、付け合わせが乗った南インド式の定食だ。チキン、魚、海老、3種のカレーは、それぞれに合ったスパイスがセレクトされ、素材の存在感がしっかりとある。さらにラッサムスープ、サンバルカレー、野菜のスパイス炒めなど、大満足の内容。ごろごろ入った海老に、レモンの酸味とバターのコクがよく合う『海老のレモンバターマサラ』(1490円)も他所では食べられない一品だ。

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御徒町:アーンドラ キッチン



アーンドラ キッチンでは、インド南部アーンドラ州出身のシェフが作る本格南インド料理が楽しめる。おすすめは、3種のカレーやラッサム、ラッシーまで付くお得な『ランチミールス』(1,290円)だが、この店に来たら、ほかにも南インドならのではのメニューを色々試したい。なかでも米粉や豆で作るクレープ、ドーサは、日本人好みのメニュー。じゃがいもとスパイスをくるんだ定番の『アーンドラ スペシャル マサラ ドーサ』(1,250円)はじめ、種類も豊富だ。

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木場:カマルプール



木場にあるカマルプールは、ダバインディア出身の店主が作る南インド料理を堪能できる人気店。『鯖カレー』、『カキチャーハン』などユニークなメニューが並ぶが、なかでも『ラムミントカレー』(1,100円)は必食の一品。たっぷりとミントが乗るものの、強烈な刺激は無く、はじめはラムのコクを感じるマイルドな味わいが口の中に広がり、後からミントがふわっと香る。ゴルゴンゾーラがたっぷり入ったインドのパン『ゴルゴーンゾーラクルチャ』(750円)もやみつきになること請け合い。

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東銀座:ナイルレストラン



銀座の老舗、ナイルレストランに入るとメニューを開く間もなく店員から勧められるのが『ムルギーランチ』(1,500円)。岩手産のターメリックライスに、鶏の骨付き肉、マッシュポテト、ボイルしたキャベツが乗ったボリューム満点のメニューだ。運ばれると、今度はすべてを混ぜ合わせて食べるよう指示される。7時間かけ煮込まれた鶏は、ナイフを入れるとほろほろと崩れるほど柔らかく、具材をぐちゃぐちゃとスプーンで混ぜてすべての食材を混ぜることで、スパイスの効いた辛めのルーに野菜やライスの甘さが溶け合い、なんとも言えない味わいになるのだ。

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創作系インド


インドカレーをベースにした創作カレーは数多くあるが、ここで紹介するのは本格的なインドカレーの神髄を理解しつつ、独自の解釈を加えた店だ。

押上 SPICE cafe



押上のSPICE cafeは、一軒家を改装した心地のよい雰囲気だが、店主は毎年1ヶ月は店を閉め、インドなど本場へ勉強に出かけるなど、カレーに対する情熱は並々ならぬものがある。ランチタイムは2種類のカレーが楽しめる『ペアカレーランチ』(1,400円)が人気。『チキン』、『ラム』、『ココナッツ』、『ラッサム』のほか、日替わりのメニューも登場する。『ラッサム』は、トマトの酸味を効かせたスープだが、同店ではこれをライスにも合うような味わいにアレンジ。他店では食べられない一品だ。スパイスの魅力を発見させてくれるディナーコースもおすすめ。

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上野:デリー



1956年創業のデリーは、日本におけるインド、パキスタンカレーの草分け的存在。インドの伝統的な手法を用いながら、欧風カレーのエッセンスも加え、日本人に愛される味を追求してきた。辛いもの好き、カレー好きには昔からよく知られているのがこの店の代名詞的存在『カシミールカレー』(950円)。サラっとしたスープのようなカレーは食べ進めるうちに汗がぶわっと噴き出てくるほどの辛さだが、野菜の旨味と鶏のコクにスパイスが折り重なり、奥深い味となっている。箸休めのタマネギのアチャールも美味。

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原宿:GHEE



GHEEは、かつて原宿にあった知る人ぞ知る名店。2005年に惜しまれつつ閉店したが、2013年よりBROWN HORSEの店舗を昼間のみ借りる形で復活した。カレーは、『バターチキンカレー』、『キーマカレー』、『ビーフカレー』、『野菜カレー』の4種類。それぞれ個性的で甲乙付けがたいが、まずは『ビーフカレー』を試してほしい。メニューに赤字で「激辛」と記されているだけあり、口に含んだ瞬間に刺激が襲うが、あとから奥深いスパイスの味わいが広がり、やみつきになる。好きなメニューを2種類組み合わせることができる『コンビネーション』で頼みたい。

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下北沢:般°若



俳優の松尾貴史が手掛けるカレー専門店。インドカレーをベースとしながらも、出汁や醤油などを組み合わせ、複合的な美味さを生み出している。約半年の休業を経て2015年1月にリニューアルオープンした。スパイスの香りがダイレクトに感じられる、スープのようなチキンカレーと、パクチーがたっぷり乗ったラムのキーマがセットになった『チキンと羊のキーマ ハーフ&ハーフ』(1,350円)や、イカスミを使用した真っ黒な衣がインパクト大の『マーハカツカレー』(1,520円)など、こだわりのメニューが揃う。

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要町:かえる食堂



かえる食堂はカウンター7席のみの小さな店。最初に訪れたら『チキンカレー』と『野菜カレー』、2種類の魅力が分かる『ミックスカレー』(850円)を注文しよう。さらっとしたカレーは優しい味わいでスパイスがじんわり身体を温めていくよう。途中でレモンを搾ると味がぱっと変化する。食感を残しながらも、柔らかく仕上げたチキンは軟骨まで美味しい。季節によって異なる野菜は、素材ごとに煮る、素揚げするなどの処理を行い、ライスはチキンスープで炊くなど、ひとつひとつ手間ひまを惜しまない仕事ぶりには頭が下がる。

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代々木:ライオンシェア



代々木のライオンシェアは、かつて長野県松本にあったインド料理の名店、シュプラの味を受け継ぐ店。化学調味料、添加物、乳製品、卵、小麦粉を使用しないヘルシーなカレーにこだわっている。看板メニューは鶏肉で作るドライキーマカレー。低温でじっくり炒めた甘めのキーマは、ぱらぱらとした仕上がりながら、肉の旨味がしっかりと閉じ込められている。ランチタイムの『Aランチ』はこのキーマを乗せたライスに、好きなカレー1種類と刻み生野菜が付き1,200円。トッピングには特製のにんにく酢醤油に漬けた『酢たまご』(150円)を是非。

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ネパール

インドと一緒にくくるのは失礼ながら、隣国であり、食文化もかなり近いネパールの店も紹介しておきたい。まだまだインド料理店に比べると圧倒的に数は少ないが、インドとはまた違った魅力がある。

駒込:TAAL



辛いもの好きならば、駒込のTAAL(タール)へ足を運ぼう。なかでも一番辛い『マトンカレー』(ランチ800円)は、サラッとしたスープ状のカレーに、具材はマトンのみというシンプルな一品だが、スパイスの爽やかな辛さは一口含んだだけでダイレクトに伝わってくる。メニューにある、「体調の悪い方は止めて下さいね」との断り書きの通り、発汗作用たっぷりの辛さで、ハンカチ必須で臨みたいレベル。だが、どこかクセになるような奥深い美味しさがある。また、添えられるアンズのチャツネがこのカレーと相性がよく、美味。夜訪れたときには炒め料理もおすすめだ。

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インドカレー編| タイ、日本のカレー編
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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