2015年04月02日 (木) 掲載
日本におけるケーキの定番といえばやはりショートケーキ。海外にも「ショートケーキ」は存在するが、我々が知る、スポンジ、生クリーム、苺のケーキは日本独自のスタイルだ。日本人にとってなくてはならない存在のため、フランス仕込みの本格的なパティスリーでも多くの店が日本式のショートケーキを作っている。アーモンドを練り込み、キルシュを染み込ませた生地に、カスタードとバタークリームを合わせた「ムースリーヌ」を挟んだフランス式のショートケーキ「フレジエ」も魅力的だが、今回は日本式に限定して紹介する。苺のシーズンである冬から春にかけてのみ販売する店も多いので注意してほしい。
世界洋菓子コンクール『クープ・ド・モンド・ラ・パティスリー』での準優勝経験も持つ寺井則彦が手掛ける目白のエーグル ドゥース。この店の『シャンティフレーズ』(480円)は、たっぷりのクリームと苺の層が美しい。薄手のスポンジには苺のシロップが塗られ、しっとりほろほろとした食感。ゆるく仕立てられた生クリームは、滑らかな口溶けで、大きくカットされた苺の瑞々しさが際立つ。
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フレンチパウンドハウスでは2種類のショートケーキ『ブラン』と『ルージュ』(各615円)が食べられる。小粒の苺が3つ乗った可愛らしいルックスはほぼ同じだが、味は全く異なる。『ブラン』は、スポンジに苺の果汁を染み込ませ、フレッシュな味わいを堪能できるシンプルを極めたもの。一方『ルージュ』は、生クリームにも苺の果汁を加えたメレンゲを合わせ、ほんのりピンク色。香り付けとして苺の酒とキルシュを使用し、口に含むとふわっとリキュールが鼻に抜ける大人の味わいだ。
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パティスリー カー・ヴァンソンは、素材と手間ひまに妥協を許さず、店が開くのは週に2、3日程度。苺のシーズンのみ提供の『苺(甘王)のショートケーキ』にも並々ならぬこだわりが詰まっている。ベーキング粉を使用せず、練りと熟成に3日をかけるというスポンジは、空気をたっぷり含み、驚くほど軽い。生クリームは濃厚だが、甘さが抑えられ、苺を引き立てている。1,200円と高価なのも納得してしまうクオリティだ。
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アテスウェイは西荻窪駅から徒歩で10分という立地にも関わらず、いつも大勢の客で賑わう人気店。四角いフォルムの『ガトーフレーズ』(530円)は、ほんのりバニラが香るスポンジに、乳脂肪45%のミルキーな生クリームを合わせた繊細な仕上がり。苺はクリスマスシーズンから春にかけてのみで、季節によって桃、ラ フランスなどの果物に変わる。
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ショートケーキの上に乗った苺を食べるタイミングにはいつも悩まされるが、グレースの『いちごのショートケーキ』(680円)は、スライスされた苺が敷き詰められているのでその心配は無用。程よい弾力のふんわりとしたスポンジや、甘さ控えめのフレッシュな生クリームとのバランスを保ったまま食べ終えることができるだろう。苺を覆うジュレも爽やかさを演出している。
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数々のコンクールで活躍してきた和泉光一がパティシエを勤めるアステリスクの『ガトーフレーズ』(450円)は、へたのついた苺がフレッシュさを演出。スポンジは3層に分けられているが、高さがあるので、スポンジの食感をしっかり楽しむことが出来る。きめ細かくふんわりとしているのに、存在感があるスポンジにはハチミツを使用しており、優しい甘さに仕上がっている。
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日本のパティスリー界の巨匠、弓田亨の味が楽しめるイル・プルー・シュル・ラ・セーヌの『いちごのショートケーキ』(702円)は、オリジナリティ溢れる一品。上部には、スライスした苺とソースが敷き詰められ、スポンジにも苺のシロップをたっぷり染み込ませている。さらに生クリームにも苺のメレンゲを合わせているので、苺の甘酸っぱさを存分に堪能出来る。苺の善し悪しがケーキの出来を左右するため、12月から5月までの限定販売となっている。
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ホテルニューオータニ内のSATSUKIでは、1個1,296円というなんとも高級なショートケーキ、その名も『スーパーショートケーキ』を1日40個限定で販売。 一見普通のショートケーキのようだが、苺はフランス産の天然ハチミツでマリネした『博多あまおう®』を使用。スポンジは3層のうち1層に黒蜜を練り込んだ生地を使用するなど、こだわりを挙げればきりがない。特にクリームは、九州、大牟田の乳脂肪48%の生クリームに和三盆で甘みを加えており、とても濃厚。苺やスポンジを凌ぐほどの存在感を放っている。
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苺が主役のケーキを語るのに、果物の専門店を入れない訳にはいかない。数寄屋橋の交差点にほど近い銀座千疋屋の本店で食べられる『苺ショート』(1,080円)は、大きな苺をまるごと使用した贅沢なもの。バランスをとるためか、ケーキのサイズも大きめでかなり食べごたえがある。苺の美味しさは言うまでもないが、しっかりした食感のスポンジ、固めに立てたミルキーな生クリームも苺に負けないクオリティだ。
銀座千疋屋 銀座本店の詳しい情報はこちら
カステラを思わせる卵の風味が強いスポンジ、固めにしっかりと立てられた生クリーム、酸味と甘味のバランスが良い苺、銀座の洋菓子店、ウエストの『ショートケーキ』(508円)は小ぶりながら、老舗の風格が漂う。派手さはないが、年配層への手土産としても手堅い一品。「ザ 銀座」といった趣のある喫茶室では、ドリンクに324円をプラスして食べることもできる。
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東京駅構内の人気フルーツパーラー、果実園で食べられるのはドーム型のケーキ、ズコット。厳密に言えば、ショートケーキではないが、苺、生クリーム、スポンジと構成要素が同じなので、紹介しておきたい。苺を使用したズコットは通年で食べられるが、冬から春にかけては、『あまおうのズコット』(1,080円)が登場。ドームの中も外も苺だらけで、スポンジとクリームはあくまで添え物。甘いものが得意ではなくてもぺろりと食べられるだろう。
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神田に店を構える老舗、近江屋洋菓子店には、素材にこだわった昔ながらの洋菓子が並ぶ。特に果物は店主が毎朝市場に赴いて仕入れているので、鮮度、質が抜群。『イチゴサンドショート』(702円)は、ホールケーキをそのまま小さくした見た目で、ケーキを独り占めしているような、贅沢な気分になれること請け合い。どっしりとした素朴な味わいのスポンジの間には、まるごとの苺がぎっしり挟まり食べごたえも十分。
近江屋洋菓子店 神田店の詳しい情報はこちら
パティシエ イナムラショウゾウは、谷中霊園の脇という風変わりな立地ながら行列ができることもしばしばの人気店。無農薬の国産苺にこだわったメニューは特に人気がある。『ショートケーキ』(440円)は、クリームに乳脂肪50%の生クリームを使用。かなり甘めだが口溶けがよく、しっとりとした、きめの細かいスポンジとともに、苺の甘酸っぱい後味を印象づける。小ぶりながら満足度の高い一品だ。
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フランスの伝統的なケーキの手法を用いながら、果物など素材をふんだんに使用した日本人好みのケーキを取り揃えるエクラデジュールでは、「ヴェリーヌ」と呼ばれるグラス入りスイーツが充実。『ショートケーキベリンヌ』(561円)は、生クリーム、スポンジ、苺、苺ソースが透明なグラスに盛りつけられ、見た目にも美しい。ゆるめに立てたクリームと甘酸っぱいソースが混ざり合い至福の味わいだ。
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マンダリンオリエンタル東京出身のパティシエ北西大輔が2014年、自身の地元にオープンしたラヴィアンレーヴは、本格的な洋菓子がリーズナブルに楽しめることから、瞬く間に町の人気店となった。『いちごのケーキ』(450円)は、シンプルながら、きめ細かくしっとりとしたスポンジが絶品。フォークがすっと入るほど柔らかく、甘さ控えめのさっぱりとしたクリーム相まって優しい味わいに仕上がっている。
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