2015年02月20日 (金) 掲載
たい焼きは明治時代、今川焼を丸ではない独自の型で作ったことが始まりとされている。当時は様々な種類の型が作られたが、その中で、庶民が簡単に食べられなかった縁起ものの鯛が、生存競争を勝ち抜き今に至るようだ。まず話しておきたいのは、たい焼きの「天然」、「養殖」問題。天然とは老舗店で見られる、ひとつひとつが独立した型で焼かれたたい焼きのこと。一般的に生地、餡、生地の順で餡を包むように作られ、火に直接近づけることができるため、薄皮でぱりっとした食感のものが多い。一方養殖は、縦2列に並んだ型に生地を流し入れ、餡を挟み込む、我々が普段からよく目にする作り方で、天然ものに比べ生地が厚めでふわっとしたものが多い。現在では数が少なくなっていることや、作業の手間から、天然ものがやたらと持て囃される昨今だが、皮を重視する人にとっては養殖ものも魅力的な存在なのだ。ここでは、天然、養殖にこだわらず、東京の美味しいたい焼きを10軒を紹介。頭から食べるか、しっぽから食べるか、など、たい焼きに関する議論は尽きず、手土産として買っていけばコミュニケーションが生まれるのもたい焼きの魅力ではないだろうか。
誰が言い始めたのかは不明だが、東京にはたい焼きの御三家と呼ばれる店があり、たい焼きを語る上でこの3軒を避けて通ることは出来ない。3軒に共通するのは、老舗であること、一丁焼きの「天然もの」であること、そして人気のためすぐには食べられないことだ。
麻布十番商店街にある浪花家総本店は、1909年(明治42年)創業の老舗。パリっとした食感の薄皮の中には8時間かけて炊き上げられたあんこがぎっしり。行列はないものの、予約注文が多いためすぐに購入できないことが多い。事前の電話予約をすれば確実だが、平日の昼間は比較的すぐに食べられることが多い。土産として人気だが、1階のイートインコーナー、2階のナニワヤ カフェで出来立てを食べることも可能だ。(150円)
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四ツ谷にある1895年(明治28年)創業のたい焼き専門店。職人たちが一丁焼きでひとつずつたい焼きを焼き上げる様子を眺めることができる。昔ながらのぱりっとした薄皮ながら、ひれなどには厚い部分もあり、生地の食感も楽しめる。餡はちぎろうとすると溢れてしまうほどたっぷり。ねっとりと密度が高く、しっかりした甘さと塩気がクセになる。イートインコーナーも設けられているので、出来立てをその場で味わってみてほしい。(150円)
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味自慢の老舗が軒を連ねる人形町の甘酒横丁で行列をつくる柳屋のたい焼きも、一丁焼きで作られる薄皮のもの。火の入れ方が抜群で焦げ目がつきながらも、白みがかった皮はさっくりと軽い食感。甘さを抑えたさっぱりとした餡は、さらりと舌触りが良い。凹凸の少ないレトロな焼き型は、第二次世界大戦以前の歴史あるものだという。(140円)
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青いレトロなハイエースで営業を行うたい焼き専門店。車ながら、使用する型は「一丁焼き」のもの。少しずつ生地を重ねて焼き上げられた皮は極薄ながらも存在感があり、外側のぱりっとした食感、内側のもっちりした食感、どちらもしっかりと感じることができる。たっぷりと入ったつぶ餡は、豆の食感を残したゆるめの仕上がりで、出来立ては汁粉のよう。土曜日は吉祥寺に移動しての営業となるので注意が必要だ。(140円)
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根津のたい焼き専門店。もとは、人形町柳屋の支店だったという同店は当然一丁焼き。ぱりっとした表面と中のもちっとした食感のコントラストが印象的だ。しっぽまでしっかりと入った無添加の餡は、甘さ控えめで上品な味わい。前日までに電話で予約を入れればあんこのみを買うこともできる。人気店のため常に行列だが、回転は早いので比較的すぐに購入することができる。(140円)
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国領の駅近くに、東京でも有数のたい焼き屋がある。使用する材料は小麦、小豆、砂糖にいたるまで北海道産にこだわっており、カテキンをプラスした厚めの生地は、外はカリカリで、中はもちもちとした食感が楽しい。定番の『つぶあん』(150円)は甘すぎず上品な味で、食べ飽きることがない。メニューは『白あん』や『カスタード』(各150円)にくわえ桜や、さつま芋など時期によって変わる『季節あん』(180円)も人気だ。
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下高井戸のたつみやでは、1個125円という安さで美味しいたい焼きが食べられる。店内でたい焼きを焼いてくれる女性店員に、「羽はそのままで」と頼むと、運が良ければサクサクの羽付きたい焼きを楽しめる。皮はこんがり茶色の見た目を裏切らないカリカリの食感。つぶ餡は最近の流行から言えば少し甘めだが、塩味も効いていてしつこさを感じることはない。
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恵比寿駅近くにある人気店、ひいらぎのたい焼きは、30分かけじっくり焼き上げるため、皮の表面はかりかりで、中はむっちり。ヒレからはみ出るほどたっぷりと入った、ほくほく食感のあんこも甘めで絶品。夏期は、ソフトクリームにの入ったカップに、たい焼きが飛び込んだようなシュールなルックスの『たい焼きソフト』(420円)も人気がある。(150円)
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築地場外市場のさのきやで販売されているのは、たい焼きではなく「マグロ焼き」。まるまるとしたボディの『本マグロ』(200円)は、餡に十勝産小豆の最高級品種『豊祝』を使用。パリパリ食感の皮は、中は厚みがありふわふわで、薄皮があまり好みではないという人にもおすすめ。もちもちの皮につぶ餡とあんずが入った『中トロ』(220円)なるメニューもある。
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平和島の勇吉丸では、静岡の本店で作られている約60cmのたい焼きに次ぐ「日本で2番目の大きさ」だという約26cmのたい焼き、『長男』(600円)を販売。その他16cmの『次男』(250円)、一般的な13cmの『三男』(140円)と3種類を販売。しっかりとした厚さの皮は、昔ながらのさくさくとした食感とは異なり、しっとりとしなやか。つぶ餡は甘さ控えめなので、大きいサイズでもぺろりと食べてしまいそうだ。
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