2015年06月12日 (金) 掲載
クラフトビール人気が高まり、最近では大手メーカーが次々と参入したことでコンビニの棚でも高品質なオリジナルビールが多く並ぶようになった。ビール業界においても本物志向の潮流は大きくなる一方というわけだ。
クラフトビールでビールの美味しさに目覚めた人におすすめしたいのが、本記事で紹介するブルワリーパブである。ビール愛好家の終着点ともいえるブルワリーパブとはなにか。端的に言えばビールの醸造と提供を同じ場所で行っていること。つまり、品質の劣化が最小限に抑えられたフレッシュなビールが楽しめるのだ。これこそがブルワリーパブ最大の魅力。その店の醸造のローテーション次第で、オリジナルビールが登場したり、エールやピルスナー、スタウトなど、様々なタップメニューが楽しめるのもこの形態ならでは。また、味だけでなく、むき出しの醸造タンクが堂々と鎮座する重厚な光景も醍醐味だ。ここでは、年々軒数が増えつつあるブルワリーパブを、都内と東京近郊からセレクトして紹介。知れば知るほど深みにはまる、ディープなビアワールドに案内する。
台東区のブルワリーパブといえば浅草のカンピオンエールだ。本格的なイングリッシュパブの雰囲気に満ちた店内に併設された醸造所では、今のところ15種類ほどのエールを製造している。醸造タンクからサーバーへは直接繋がっており、劣化の少ない新鮮なビールが堪能できる。麦芽とホップはすべてイギリス産で、濃厚で炭酸の弱いトラディショナルなブリティッシュエールにこだわっており、常時3~5種類ほどを揃えている。フルーティーかつしっかりとした味わいが特徴の『WHEAT』や、軽やかで飲みやすい『GOLDEN』、華やかな香りで程よく香ばしい『PORTER』、濃厚な麦芽の味と香りが味わえる『BITTER』など、いずれも主張がありながらクセのない味わいだ。
1997年にオープンし、2013年には醸造所のタンクを増設し、2015年3月のリニューアルでは新たに2階席が増設された同店。ビールは、カスケードホップの苦味と柑橘系の香りが爽快な『ぺールエール』をはじめ、小麦の味と香りが軽やかなベルギースタイルの『ウィートエール』、インターナショナルビアコンペで金賞を受賞した『IPA』、とろみのなかに深いコクと苦みを楽しめる黒ビール『インペリアルスタウト』、香ばしくも苦みは控えめな『アンバーエール』など、バランス感に優れた銘柄が並ぶ。
1997年創業の厚木ビールは、玉石混淆だった日本のクラフトビール(当時の呼称は地ビール)黎明期から高品質な自家製ビールを造り続けているブルワリーだ。厚木ビールの醸造所に隣接するパブのLambicでは、厚木ビールのラインナップをフレッシュな状態で、かつ手頃な価格で楽しむことができる。飲みやすく小麦の香る『ヴァイツェン』や、濃厚な味わいの『スタウト』、高アルコールでシトラス系のホップのきいた『ダブルI.P.A』、さらには『しそ』、『ゆず』、『HACHEY』、そしてベルギー発祥で現在アメリカで人気のサワーエールタイプのビール『ランビック フランボアーズ』など、多くの種類を揃えている。
『横浜ビール』をできたてで楽しめるビアパブ。5種のレギュラービールには、ジャパンブルワーズカップで1位を受賞した『ピルスナー』や、インターナショナルビアコンペで金賞を受賞した『ヴァイツェン』をはじめ、『アルト』、『ペールエール』、『横浜ラガー』を揃える。いずれの銘柄も個性が際立っていると同時に、澄みきった味わいで飲みやすい。エール系が大半を占めるブルワリーパブで、ラガーやピルスナーを味わえるのも貴重だ。運良く仕込みの時期に訪れれば、フロアいっぱいに広がる、芳醇なモルトの香りに包まれることだろう。
十条すいけんブルワリーを運営する水研クリエイト直営のブルワリーパブ。ビールは『ペールエール』、『シトラエール』、『アンバーエール』の3種類がレギュラーメニューで、そのほか、時期によって醸造した個性的なスペシャルビールを提供する。甘みがありしっかりとした味わいの『アンバーエール』や季節の果実を使うことの多いスペシャルビールは、ビールが苦手な人でも飲みやすい。元々は会社の事業で育てた野菜を活用した飲食店を構想しているなかでビール造りに辿り着いた同店では、会社屋上の水耕栽培で育てた無農薬野菜を使ったサラダなどを提供している。
栃木マイクロブルワリーで修行を積んだ店主が2014年4月に押上にオープンしたミヤタビールは、フードメニューは乾きもののつまみがある程度という、ストイックなビアスポット。タップは5つで、『ペールエール』、『ゴールデンエール』、『IPA』、『ジンジャーゴールデンエール』などを揃える。時期によって限定ビールも造っており、ふきのとうやコーヒーをフレーバーに使った個性的なものもある。
代官山の新施設LOG ROAD DAIKANYAMA内に店舗を構える、体験型ブルワリーパブ。手がけるのは、2014年にクラフトビール業界への参入を発表して、世間を騒がせたキリンビール。その場で醸造されたクラフトビールが、ビールとの相性にこだわったフードメニューとともに楽しめる。ビールの種類は、飲みやすくもしっかりとした酸味と苦みを持つ『496』や、香ばしい濃色ビール『アフターダーク』、ラズベリーの果汁の入ったライトな味わいの『ジャズベリー』など、6種類を揃える。
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中央線沿線に店舗を展開する麦酒工房系列の阿佐ヶ谷店。1階のビール醸造所からはフレッシュなビールが直接タップへと繋がっている。定番の『ブロンドエール』はモルトが華やかに香り、スッキリとした味わいだ。そのほか、グレープフルーツのような柑橘系の香りと濃厚な味わいが楽しめる『IPA』や、アイスを乗せたフロートもできる『コーヒービール』など、随時数種類のエールを揃える。価格も500円前後と手頃だ。
常時10種類ほどのオリジナルクラフトビールを揃える同店では、同じ銘柄でもA(モルト強め)、B(ホッ プ強め)など、好みに合わせた注文が可能だ。華やかな香りと味の『Hana』、しっかりした苦みとコクの『Shuu』、そしてKAMPO煎専堂とのコラボレーションによって造られた世界でも珍しい『漢万エール』は、ホットでも提供しており、シナモンスティックでかき混ぜると泡立ち、ふんわりとした味わいになる。シナモンや朝鮮人参などが入っているため血行が良くなり身体が温まる。また、フードはドイツソーセージを各種揃えるなど充実している。
福生の老舗酒蔵、石川酒造によるビアレストラン。ここでは、同酒蔵が造るクラフトビール『多摩の恵』を醸造所から直接提供。カスケードホップの柑橘系の香りが特徴的な『ペールエール』や、シャープな喉越しの『ピルスナー』などが最高にフレッシュな状態で楽しめる。ビールのほかにも、地酒『多満自慢』や蔵元限定の酒なども用意している。
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