江古田:麺や金時
2015年08月31日 (月) 掲載
醤油、味噌と並び、昔ながらの素朴な味わいで根強い人気の塩ラーメン。最近では、ラーメン店競争の加熱もあってか、各店が個性を発揮し、充実したジャンルになってきた。今回は都内でも指折りの塩ラーメン名店、看板メニューではないが塩ラーメンが光る隠れ名店、あわせて15店を選出した。
貝柱の旨味が染み入る一品
西武池袋線桜台駅から徒歩3分。メインメニューは『塩らぁ麺』、『魚介塩らぁ麺』、『醤油らぁ麺』(いずれも750円~)の3種類で、限定メニューも積極的。2種類の塩ラーメンが評判で、『塩らぁ麺』は豚骨のガラだけを使い、少量の香味野菜と日本酒をじっくり煮込んだ透き通ったスープ。そこに3種類の塩、ホタテ、イタヤ貝、昆布、干し椎茸を使った塩ダレと親鶏の脂のみを使ったコクのある油を入れて仕上げる。見た目は普通の清湯に見えるが、一口啜ると深いコクと貝柱の旨味が五感に染み入る。麺はもっちりとした中太平打ち麺でスープの相性も良い。具は、食感の良いザーサイ、穂先メンマ、程良い濃度の味玉、ほっくりとした胸肉チャーシューなどで、ひとつひとつの素材が美味しい大満足の一杯。『魚介塩らぁ麺』は煮干スープに、同様の塩ダレを使いながら、また異なる世界観を楽しめる。
ミシュランもリストする江古田の塩
西武池袋線江古田駅より徒歩7分ほど、赤い看板が目印のカウンター7席の店舗。提供しているのは『塩らぁ麺』(720円〜)、『醤油らぁ麺』(750円〜)、『汁なし担担麺』(750円)。『塩らぁ麺』はミシュランにも掲載されるほどの看板メニューとなっている。国産鶏の挽肉のみで出汁をとったスープは透明度の高い清湯系。鶏の香ばしい旨みが詰まったバターのようなコクがあり、ヒマラヤ岩塩の塩味と混ざりあう。少しもちもちした食感の細麺との相性も良い。醤油の染み込んだ味玉、店内で手作りされている鶏モモスモーク、低温調理のムネ肉チャーシュー、柔らかい食感のメンマなど、丁寧な具材も光る。全体的にシンプルな作りでありながら、鶏の旨味がいきた奥深い一杯だ。『汁なし担担麺』も都内随一だと評判の一杯。
6種類の塩をブレンドした名店の味
町田駅から徒歩20分ほど、通りからやや奥まった場所に構える、町田汁場 しおらーめん進化は、その目立たない立地とは裏腹に、TRY認定ラーメン大賞の「名店塩部門1位」に輝いた名店。 初めてこの店を訪れたならば、まずは看板メニューである『しおらーめん』(700円)を頼もう。山水地鶏の丸鶏と甲州地鶏のガラ、長崎県産のアゴ、6種類の塩をブレンドしたタレを合わせたまろやかで奥深い味わいのスープと、喉越しの良い国産小麦の中細ストレート麺が絶妙に絡む、完成度の高い逸品だ。そのほか、『煮干塩』(700円)や『白醤油つけめん』(850円)なども提供している。
和を感じる絶品
新橋にある、日本料理店出身の主人がこだわりのラーメンを提供する店。オススメは『銀笹ラーメン』(850円)と『銀笹つけめん』(900円)。鶏ガラ、豚骨と日高昆布、煮干、宗太節、サバ節を合わせたスープに、塩ダレ、鶏油、香味油があいまった味は、繊細で奥深い味を生み出す。また、シメに食べてほしいのがサイドメニューの『鯛飯』(350円)。最初はそのまま食べ、その後にラーメンのスープを注ぐと、鯛茶漬けとして楽しめる。和を感じられる絶品ラーメンと鯛飯をぜひ堪能してほしい。
最高級煮干と天外天塩の味わい
麹町にあるソラノイロ salt & mashroomは、店名の通り塩とキノコのラーメンが2枚看板。『塩煮干ソバ』は、煮干の最高級品である香川県伊吹島産の片口イワシと、北海道産真昆布のスープを魚介と天外天塩のタレで仕上げたクリアな味わいのスープに、もっちりとした食感の縮れ麺が好相性。磯の香りをプラスするアオサのトッピングも効果的だ。『特製塩煮干ソバ』(1,000円)には、通常の豚と鶏のチャーシューに加え、ソーキが乗りボリューム満点。ラーメンを食べると罪悪感に苛まれるという人は、食前に日替わりの果物と野菜で作る『ソラのスムージー』(150円)を飲むとよいだろう。
ソライノイロ Salt&Mushroomの詳しい情報はこちら
ユーグレナをブレンドした栄養満点麺
池袋駅東口より徒歩10分ほど。国道254号線沿いにある、一見するとカフェのような外観の店。激戦区池袋に2014年にオープンして、すぐに人気店へ。提供されるのは厳選した魚介を使った塩味と、サバ節やソウダ節やイワシの煮干しなどを使い魚介系の旨みを凝縮させた醤油味。動物系は一切使わず、無添加、無化調にこだわった優しい一杯。おすすめは『しおグリーン麺ゆずみつば』(850円)。北海道小麦と59種類もの栄養素を含んだユーグレナ(ミドリムシ)をブレンドした自家製麺はほどよいモチモチ感。スープは素材の味をしっかりと感じられ、柚子と三つ葉の風味、食べ応えのあるチャーシューが旨みを盛り立てる。テーブルの香味油で味に変化もつけられ、最後まで飽きがこない。トッピングやサイドメニューも充実。全体的に緑の色調に合わせた店内の雰囲気も楽しめる。
板橋蓮根の麺通一押し店
蓮根東口駅前の路地の先にあるラーメン店。カウンター9席のみのこじんまりとした店だが、業界では名の知れた有名店。この店の看板メニュー『塩らあめん』(750円)は、黄金色に輝くまろやかな旨味の鶏スープに、ほんのり魚介の風味と、三河屋製麺製の細ストレート麺が絡むハイレベルな逸品。スープの上には鶏油が浮かび、あっさりしていながらコクのある仕上がりになっている。具はトロトロとした香ばしいチャーシューと鶏つみれ、ねぎ、姫筍が特徴的に盛られている。 塩が有名だが『醤油らあめん』(750円)も絶品。ほかにも『塩つけめん』(800円)、『醤油つけめん』(800円)や、限定麺も実に多彩。
塩、味噌、醤油に拘ったなつかしの味
JR秋葉原駅昭和通り口から徒歩5分。昭和通りを少し入ったところにある「粋な一生」では、子供のころに食べた懐かしいラーメンの味を再現したいという店主の思いが詰まった「粋な」一杯が楽しめる。2005年オープンの同店では、塩、味噌、醤油の定番メニューに、動物系、魚介系、白湯系、3種類のスープを組み合わせるのが特徴。『塩ラーメン』(720円)は、動物系のコクと魚介の風味をブレンドしたすっきりとした味わい。中細麺、チャーシュー、水菜などが乗る一杯は、食べ終わるまで飽きずに楽しめる。また、『味噌ラーメン』(780円)は、オーダーごとに中華鍋でシャキシャキに野菜を炒めて作る熱々の一杯で、3種類の味噌をベースに、特製の味噌ダレと長時間煮込んだ白湯スープが合わさり、濃厚でクリーミーな味わい。そのほかに、動物系と清湯スープからなる『醤油ラーメン』(670円)、白湯と魚介系スープをブレンドした『特製醤油ラーメン』(780円)などがある。
会津地鶏スープが染みる一杯
地下鉄日比谷線三ノ輪駅から徒歩2分ほど、赤い暖簾が目印の店。メインの『醤油ラーメン』(750円)は、会津地鶏からスープをとっており、雑味がなく優しく深い味わい。喉越しのよい麺、低温調理の鶏ムネと豚のバラの2種のチャーシューも丁寧な味わい。また、もともとは限定で出していたという『塩ラーメン』(800円)もグランドメニュー化され、こちらも好評な一杯。こちらも会津地鶏スープに、5種類の海塩と昆布や椎茸、サンマ節、エビなどの乾物、野菜などで出汁をとった塩ダレを加えた、金色に輝く透き通ったスープ。塩味と海のエキスが絶妙に混ざった厚みのある味わい。こちらも2種類のチャーシューが乗る。その他のメニューに、スパイスを駆使した新感覚の『味噌ラーメン』(800円)、会津地鶏の鶏油をふんだんに使った『鶏油そば』(600円)などがあり、どれも作りこまれた一杯を堪能できる。
平打ち太麺でスープを堪能
東小金井駅すぐの場所にあるくじら食堂は夜のみ営業の人気店。自家製平打ちの太麺は、茹でる前に揉み込むことで食感に変化が生まれ、スープがしっかりと絡み、つるつるとした喉ごしがクセになる。醤油も人気があるが、素材の味わいをストレートに堪能するならば、やはり塩。『特製塩らー麺』(950円)は、しっかりとした塩分を感じるが、まろやかな味わいで、魚介をメインにした出汁がしっかりと感じられる。胡椒の効いたメンマや甘めの煮卵など、トッピング一つ一つの存在感もあり最後まで飽きることなく食べられる。大きな炙りチャーシューも食べごたえ十分だ。
バランスのとれた清湯スープの味わい
京浜東北線王子駅北口を出てすぐの場所にある『塩らーめん』(780円)を看板メニューにした店。鶏ガラと煮干しをじっくりと煮込み、旨味が凝縮されたスープは黄金色に透き通った清湯スープ。軽くなりすぎず、味も薄くなりすぎず、口当たりの良さが絶妙なバランスの塩味。鶏の旨みが優しく体に染み入ってくる。具材は、柔らかい豚ロースのチャーシュー、味が詰まった味玉、細めに調理されたメンマ、味の引き締め役の白髪葱が優しいスープを彩る。その他のメニューに、『醤油らーめん』(780円)『塩つけめん』(830円)、『塩煮干らーめん』(780円)、『海老まぜそば』(800円)などがある。
秋葉原の人気店
JR秋葉原駅昭和通り口から徒歩9分。白木と引き戸に暖簾がかけられた、純和風の佇まいのくろ㐂は、2011年6月にオープンして以来、連日客で賑わう秋葉原屈指の人気店。店内も和風で清潔感がある。ここで提供しているラーメンは、塩と味噌。塩のスープは、鶏ガラやモミジからとった清湯に、カツオや焼きあご、サンマなどからとった魚介出汁が効いている。もうひとつの味噌は、豚骨、鶏がらをじっくり煮込んだクリーミーなスープに、煮干と海老の香りを合わせた独特な味。それぞれ、6種類の塩をブレンドした塩ダレ、信州、京都の味噌に胡麻やアーモンドを加えた味噌ダレが加えられる。麺は平打ちか細打ちの自家製麺を選ぶことができ、トッピングは肩ロース、メンマ、ちぢみ小松菜など。日本料理店出身という店主の経験に裏打ちされた、至高の一杯が堪能できる。また、締めのお茶漬けも常連客には定番メニュー。メニューには『特製塩そば』(1,100円)、『特製味噌そば』(1,050円)などもあり。
鮎をまるごと使用した個性派
二子玉川の商店街にある鮎ラーメンは、カウンターのみの小さな店だが、進んでいくと大きく「鮎」と書かれた暖簾が鮎ラーメンで食べられる『鮎◯ゴトラーメン』(1,000円)は、その名の通り、飛騨高山産の鮎の一夜干しを丸ごと一尾乗せた一品。鮎や岐阜県産の香味野菜を使用した塩ベースのスープは、鮎の出汁がしっかりと感じられ、見た目のインパクトとは裏腹に繊細な味わい。飲んだ後のシメに最高と推す声も多いのも頷ける。スープはそのまま飲み干してしまうのも良いが、鮎飯を炭火で炙った限定メニュー『鮎焼きおにぎり』を合わせればまた格別だ。夏場に訪れる際は、鮎の煮こごり仕立てのつけ汁がユニークなランチ限定『鮎涼ラーメン』もぜひチェックしてほしい。
体にも心にも優しい一杯
成城学園駅と仙川駅のちょうど中間の住宅街にある、徒歩だと決してアクセスは良くないが、あっさり系の無化調ラーメンでは都内屈指のレベルのラーメン店。店が掲げる「体にも心にも優しい幸せの一杯」のコンセプト通り、丸鶏をベースに、魚介系の真昆布や焼きアゴを合わせてあるスープは、非常に淡麗で、上品な味わい。栃木の佐野ラーメンに影響を受けたという麺は、店内で手打ち製麺し、2段熟成している。平打ちの縮れ麺で、多加水のぷるっとした口当たりがスープとともに優しい味わいを演出している。メニューは『醤油ラーメン』(650円)のほかに、『塩ラーメン』(700円)があるが、それぞれに麺を使い分けているのでぜひ食べ比べてもらいたい。
焼きおにぎり投入で魚出汁を堪能
JR新宿駅東南口の階段を下った先、雑居ビルの2階にある塩ラーメン専門店。毎日日替わりで、5種類の魚のアラからとった出汁のスープが提供される。具はあっさりとしたスープにぴったりの鱈とエビのつみれと鶏つくね。薬味の白髪ネギ、みょうが、針しょうが、大葉、糸唐辛子もスープとよく合う。最後に焼きおにぎりを投入して、雑炊として楽しむのもおすすめ。
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