一度は行きたいミニシアター5

逗子海岸、深谷、横浜。東京近郊のひと味違う個性派映画館

映画を観たいときは、作品ありきで近所の上映館を探す。目当ての作品を観終えたら、劇場を後にする。しかし、映画館だって、DJバーやブックカフェのように、なんとなく居座ってみたり、訪れることそのものを目的にしたり、仲間と入り浸る口実に使えてもいいはずだ。

本記事では、東京近郊に点在する個性際立つミニシアター5軒を紹介。いずれも、プログラムから上映スタイル、内装まで、独自の営業方針でメッセージを発し、映画を通した人々の交流空間として、新しい映画鑑賞の形を提示している劇場だ。地元住民でない限り行きつけにするには少々遠方だが、小旅行の目的地と思って訪ねてみれば、素敵な出会いが待っているに違いない。

逗子海岸:CINEMA AMIGO/ビーチ&絶品ランチ


逗子海岸から徒歩1分、潮の香りが漂うシネマカフェ。一軒家を改築して2009年にオープンした同店では、1日に4回(10時〜、15時〜、17時30分〜、20時〜)の映画上映が行われる。上映作品は新作を中心に週替わりで入れ替わり、ドキュメンタリーからミニシアター系の話題作まで、オーナーによるセレクトの妙が光る、オールジャンルの作品が並ぶ。また、イベントスペースとしてトークショーや音楽イベントも頻繁に行っている。店内にあるカフェ&バーのAMIGO KITCHENでは、ランチタイムに日替わりのシェフによる地元の野菜や海の幸を使った料理を提供しており、ランチ目当てのファンも多い。
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深谷シネマ/酒蔵跡地


埼玉県深谷市は旧中山道沿いにある、酒蔵を改装した映画館。「市民のための映画館」を立ち上げるべく、市民の会が1999年から署名運動を始め、銀行跡地での営業を経て、2010年に現在の七ッ梅酒造の跡地にてオープンした。入場料は一般が1,100円と手頃で、ミニシアター系の話題作やクラシックな名画を中心に上映している。監督や俳優による舞台挨拶やトークショーも頻繁に行われており、地元住民ならずとも一度は行ってみたいユニークな映画館だ。
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みなとみらい:ブリリア ショートショート シアター/ショートフィルム専門


2008年に横浜みなとみらいに誕生した、日本初のショートフィルム専門映画館。ショートフィルムの活性化と、未来の映画界を担う若手クリエイターの才能発掘を目指し、世界中から集まった選りすぐりの作品を上映している。レッドカーペットをモチーフに、赤を基調とした館内には、オペラ座でも使われているフランスキネット社の椅子が使用され、ゆったりと心地よい空間でショートフィルムを楽しむことができる。ロビーフロアのカフェでは、『ピザパオ』や『キッシュ』などの軽食とともに、世界のビールを提供している。
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新百合ヶ丘:川崎市アートセンター/バリアフリー上映


新百合ケ丘駅そばに、2007年10月31日にオープンした文化施設。ミニシアター系の作品を多く上映する113席の映像館と、ミュージカル、ストレートプレイ、寄席など幅広い舞台芸術を上演している195席の小劇場からなる複合施設となっている。映画館では、『KAWASAKIしんゆり映画祭』や『麻生音楽祭』などの、市民による文化芸術イベントが開催されている。映画ファンも家族連れも楽しめる上映プログラムは要注目だ。また、映画製作にまつわる子供向けのワークショップや、バリアフリー上映制作講座、放課後シアターなども定期的に実施している。
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横浜:シネマノヴェチェント/自社配給&フィルム上映


客席数28席の最小規模の劇場を備える同劇場は、骨太なプログラムと、35mm及び16mmフィルム上映にこだわったシネフィル垂涎の映画スポットである。劇場とともにトラットリアも併設しており、観賞前や後にアルコールや軽食を楽しむことができる点もユニークだ。飲食のみの利用ももちろん可能なので、スタッフや常連客たちとディープな映画談義に花を咲かせるのも良いだろう。上映プログラムは、ノヴェチェントの自社配給の作品から、歴史的名画の特集上映まで、見逃せない作品が並ぶ。また、関係者を招いたトークショーや落語寄席、『35ミリフィルム映写技師体験講座』などのイベントも頻繁に実施している。通常の劇場では体験できない、製作側と観客の密なコミュニケーションが生まれる貴重なスポットとなりそうだ。
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テキスト 三木邦洋
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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