映画『まほろ駅前狂騒曲』レビュー

NOと言えない便利屋コンビの大珍道中にして最大の危機!

(C)2014「まほろ駅前狂騒曲」製作委員会 
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『まほろ駅前狂騒曲』タイムアウトレビュー

「多田〜」「行天!」お互いを名字で呼び合う三十路男の便利屋と助手(という名の居候)コンビと、また出会える機会がやってきた。三浦しをん同名のベストセラー作品を瑛太と松田龍平主演で映画化した1作目『まほろ駅前多田便利軒』、その続編として製作されたテレビドラマ『まほろ駅前番外地』に続くシリーズ第3弾である。

映画版2作は大森立嗣監督が担当し、ドラマ版は大根仁監督が務めた。大森監督というと荒戸源次郎プロデュースにて制作された、エロスとバイオレンスに溢れた宗教を試すというテーマの衝撃作『ゲルマニウムの夜』(2005年)にて長編監督デビューを果たした監督である。ドラマ版が、2人の日常を描いたものだとすると、映画版は、2人の内面に焦点を当て、少しダークで落ち着いたトーンの物語が展開している。今作は松田龍平演じる行天の謎めいた過去に切り込んでいった。

まほろ市の駅前にある便利屋の多田啓介(瑛太)と、そこに転がり込んで2年になる行天春彦(松田龍平)。ある日、行天の元妻が、娘はるかを預かってほしいと多田に依頼する。しかし、子ども嫌いな行天にそのことを告げられないまま預かることになってしまう。その一方、HHFAと名乗り、健康な野菜をスローガンに販売している怪しげな団体がまほろの街で活動を広げていく。その団体を取り巻く、まほろメンバー。そして、岡(麿赤兒)率いる老人たちのバスジャック事件を通して行天の過去が露になる。

前作より、密になった行天と多田の関係性、おなじみのまほろメンバー(近所の弁当屋のオッサン山田(大森南朋)、キナ臭い事件には必ず絡んでいる謎の男シンちゃん(松尾スズキ)、ヤバい仕事を頼んでくる星くん(高良健吾)など)にはホッとさせられる。しかし、この登場人物たちが徐々に集まっていくことによって事件が発生してしまうのだが。

今作では、男2人がトラウマを乗り越えて成長していく様や、まほろという街での人と人との関わり合い、松田龍平演じる行天がさらに役にハマってきているのが見どころだ。「頼まれた仕事は何でも引き受けます」こんな便利屋がいる街に住めたら人生が少しハッピーになるだろう。

『まほろ駅前狂騒曲』

10月18日(土)より、新宿ピカデリーほか、全国順次ロードショー
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣、黒住光
原作:三浦しをん『まほろ駅前狂騒曲』(文藝春秋 刊) 
音楽:岸田繁(くるり)
出演:瑛太、松田龍平、高良健吾、真木よう子、本上まなみ、奈良岡朋子、新井浩文、三浦誠己、古川雄輝、横山幸汰(子役)、岩崎未来(子役)、水澤紳吾、大西信満、原田麻由、宇野祥平、市川実和子、伊佐山ひろ子、麿赤兒、松尾スズキ、大森南朋、岸部一徳、永瀬正敏ほか
配給:東京テアトル、リトルモア
(C)2014「まほろ駅前狂騒曲」製作委員会

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テキスト 平塚 真里
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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