映画『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』レビュー

クロエ・グレース・モレッツ演じるヒット・ガールが再び参上

映画『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』レビュー

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『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』タイムアウトレビュー

ヒット・ガールが、初めてスクリーンに一撃を喰らわせてから3年。部屋に溢れ返るヤクの売人どもを罵りながら、光り輝く新品のバタフライナイフで奴らを叩きのめしていたあの頃。前作『キック・アス』には、手に負えないほどのエネルギーと、超暴力的な手榴弾が爆発するような勢いがあった。本作はやや無秩序さに欠け、大人しくなってしまったのが少々残念だ。『キック・アス』お決まりのアクションシーンが、今回も随所にちりばめられているので、笑えることは笑えるだろうが。

ビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)の死後、ヒット・ガール(クロエ・モレッツ)は彼の警官時代の元相棒に引き取られていた。15歳となり高校に入学したヒット・ガールは、ヌンチャクを永遠に封印することを決心。ニューヨークの路上で、緑色のコスチュームを着る恥を厭わないことぐらいがスーパーパワーのオタク高校生、デイブ・リゼウスキはアーロン・テイラー・ジョンソンが再び演じている。

デイブ扮するアマチュアヒーロー、キック・アスがYouTubeで話題を呼び、悪者を取り押さえようとする報復者たちが続々と出現。劇中では、ジム・キャリー率いるアマチュアのスーパーヒーロー軍団も結成されている。キャリー本人は同映画の「暴力レベル」を酷評し、『キック・アス2』への支持を撤回している。しかしながら、敵を容赦なくやっつける際のキャリーの不気味な笑顔は健在だ。引退していたヒット・ガールを引き戻したのは、レッド・ミスト(クリストファー・ミンツ=プラッセ)だった。 今や彼は、自らをマザー・ファッカーと名乗り、亡くなった母親の嗜好であったぴったりとしたコスチュームに身を包んでいる。

『キック・アス』の最大の見所は何と言ってもモレッツであり、ヒット・ガールが放つセリフはやはり痛快だ。前作と同様、『キック・アス2』はティーネージャーの現実をファンタジーの世界に引き込んでいく。とは言え、ヒット・ガールは学校には通わず、弾丸の重量対速度の割合について家で学んでいたではないか。そんな彼女が今、意地悪な同級生相手にどう接するのか? その答えは少々ばかげたものだ。

やや後ろめたく感じる部分があるにせよ、全般的に十分楽しめる映画だ。キャリーはこの映画の暴力描写を問うたが、筆者が問題として感じたのは性描写である。『キック・アス』には、デーブが教師との妄想でマスターベーションするなど、男子特有の悪趣味がちりばめられていたが、思春期の男子なら誰にでも起こる、害のないものだった。『キック・アス2』では、不愉快なレイプジョーク(男が女をレイプしようとしたが勃たない)で更にその路線を加速させる。もちろん、彼自身がジョークの対象であるわけだが、映画のヒロインが悪い大人達を叩きのめす15歳の女の子である故、単なる悪趣味に留まらず、後味の悪さが残ってしまう。

原文へ(Time Out London)


『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(原題:Kick-Ass 2)

監督:ジェフ・ワドロウ
脚本:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr.
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジム・キャリー 他
公式サイト:http://kick-ass-movie.jp/
2014年2月、全国ロードショー


テキスト カッス・クラーク
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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