2013年05月24日 (金) 掲載
アイドルという言葉を辞書で引くと、「偶像」「崇拝される人物」といったような言葉が見つかるのだが、それが意味するアイドルと、ここに登場するでんぱ組.incは、少々異なる存在のように思える。今年1月に発売されたシングル『W.W.D』は、明るいとは言えない(詳しくは是非MVを観て欲しい)、メンバー6人それぞれの過去が赤裸々に綴られ、その過去を粉砕するかのごとく「マイナスからのスタート舐めんな!」と歌い締めている。ライブでのパフォーマンスを観れば、「媚びる」という定説のアイドル像に反し、勇ましく、全身全霊で挑んでいることが伺える。そして、そこにいるファン達もその奮闘に応えるべく、猛烈なオタ芸を打ちまくる。その様はまるで、パフォーマーと客との一騎打ちだ。小さなライブバーを拠点に、結成から現在に至るまでの約5年間、路上でのチラシ配りや店のウエイトレスの経験を経てきた、言わば叩き上げ。アニメ、ゲーム、コスプレ、動画サイトの踊り手など、それぞれにコアなオタクを自称し、今のアキバ文化を体現する存在でもある。
アニメやゲームの主題歌に使用される、クセのある歌い方や歌詞に特徴を持つ「電波ソング」の要素と、ポップ、ヒップホップ(過去にビースイティーボーイズの『Sabotage』のカバーも発表している)、渋谷系をミックスした楽曲には定評があり、まもなく発売される新曲『でんでんぱっしょん』は、こちらも今勢いづいてるエレクトロハードコアバンドWiennersのフロントマン、玉屋2060%が提供。独特なポップサウンドと奇想天外なフレーズが行き交い、唖然としているうちに曲が終わるのだが、不思議と繰り返し聞きたくなる中毒性を持つ。そして、「マイナスからのナンバー1」を獲るべく、今夏パリで開催される『JAPAN EXPO』へ出演を果たす。旬な日本のサブカルコンテンツを集めた祭典として世界に知られるこのイベントには、過去にAKB48、きゃりーぱみゅぱみゅ、ももいろクローバーZといった今の日本ポップカルチャー先導者達がその舞台を踏んできた。
今でんぱ組.incは転換期を迎えているかのように見受けられる。しかし、本人達は自身の置かれている状況を冷静に、どこか客観的に見つめているように感じた。彼女達を突き動かす強い意思、その魅力の根源に迫るべくインタビューを試みた。
このインタビューの後日、でんぱ組.incのプロデューサーで事務所の社長でもある福嶋麻衣子こともふくちゃんへインタビューを慣行。でんぱ組.incのプロデュースやアキバカルチャーの世界進出について聞いた記事も、合わせてチェックしてみて欲しい。
—まずは、新曲『でんでんぱっしょん』について聞かせてください。アップテンポで変調が激しい上に、斬新なダンスパフォーマンスも加わってきますよね。観る側にとっては最高に盛り上がる曲だと思うのですが、実際にステージでやられてみていかがですか?
藤咲彩音: 曲のテンポが早い上に、歌詞の中に掛け合いがあって、とにかく言葉が多いんですよ。末鈴ちゃんはもともとやっていたんですけど、他のみんなは初めて新体操のリボンを使いながらのダンスで、歌にもリボンにも集中しながらやるのは、最初はすごい大変でした。
相沢梨紗: 今までのでんぱ組.incの曲の中で一番、メロディに音程差があったり、いったりきたりのメロディーラインが難しい曲でした。でもその分、聴いていてすごい気持ち良くて。勝手に口ずさんじゃうような感じの曲かなって思っています。
最上もが: ライブでやっていて、単純にすごい楽しいです。だから、観てる方も楽しんでくれてればいいなと思いながらやってます。
成瀬瑛美:ただ一人でカラオケで歌うのは、難易度がかなり高いかもしれないです(笑)。でも、そういうの曲が歌えるってこと自体が楽しいことでもあるんですけどね。
相沢:曲だけじゃなくて、リボンのパフォーマンスだったりとか、ファンの方達も一緒にできるダンスとかがあって、ステージを観た瞬間に賑やかな楽しい感じ、「パッション!」っていうのが、伝わるんじゃないかなって思います。
—メンバーそれぞれの過去が語られ、衝撃とも言えたシングル『W.W.D』を超えてリリースされる新曲でもありますね。ますます注目も高まり、グループは新境地を迎えたのかとも想像するのですが。
成瀬:でもあんまり、今でもそんな、注目されてるとかって意識は全然ないので、そう言われると恐縮ですって感じです。
最上:多分メンバーは、今忙しそうだよね、注目されてるよね、とか言われたり書かれたりしてもあまり自覚がないというか。
全員:うんうん(一同頷く)
最上:ただ一生懸命やってるだけだし、結構外に出るのも大変だった人達、っていうのもあれなんですけど……だから、毎日元気に頑張るにはどうしたらいいかなって思いながらやってるって感じなので、そんな特別感はないというか。『W.W.D』を経て、メンバーそれぞれの考えだったりとか、過去を分かり合えたので、そういうところで絆は深くあるんですけど。なんだろね、一生懸命頑張ってるって感じだよね?
夢眠ねむ:そうですね。どちらかというと、助けてくれる方が増えたっていうのがすごいしっくり来て。多分メンバーみんなそうなんですけど、本当にひとりぼっちだった時期とかもすごく長くて。この先どうしようとか、このまま生きてて大丈夫かなと考えていた頃もあるので。その頃に比べたら、スタッフの方とかレーベルの方、もちろんファンの方も助けてくれるし、メンバーっていう仲間がいるのがすごい支えになっている。ファンの方とも、ライブで楽しんでくれたり、あったかい応援の言葉をかけていただいたりして。そういう絆ができたので、『でんでんぱっしょん』は「世界に連れてくよ」っていうようなことを歌った曲なんですけど、それもすんなり歌えてるのかなって思います。
成瀬:その辺りの心境みたいなものは、この曲(『でんでんぱっしょん』)のセリフやラップ部分に込められているので、きっと聴いてもらえたら分かると思います。
—途中「みんながいるし、仲間だもん!」という歌詞が出てきますが、仲間というストレートな表現が印象に残りました。みなさんとって、メンバーはどんな存在ですか。
藤咲: 家族ですかね。
全員:うん……。
相沢:無理しなくていい間柄というか……学校生活とかの社会の中で、お友達と上手くいかなかったり、そういうことがなかなか上手くできずに「人間関係って難しいな」って、ぼんやり思いながら生きてきた人達なので、お互い気を使うポイントがわかるんですよね。だから距離も上手く空気を読んでとるし、かといって困った時は助けてくれるし。そういうことが自然とできるっていうのが、一番すごいなって思う。
夢眠:家族だったり、友達だったり、仲間だったりもするんですけど、このメンバーで仕事をできるということが私はすごく嬉しくて。仕事仲間っていうと、世間では結構難しいこともあったりすると思うんですけど、もう仲間でもあり仕事もできるっていう状態って、すごい幸せだなって思って。本当に悩んでいたりすることって、実は家族とか友達にも話せなかったりすることもあるんですけど、「メンバーだったら言える」みたなとこはちょっとあります。
—もしよかったら末鈴さんも……。
古川末鈴:仲間ですか? (笑)
夢眠:末鈴ちゃん、本当はこういうの苦手なんですけど、もしよかったら絞り出してもらって大丈夫ですから(笑)
古川:そうですね。私、ちょっと前まで、みんなのことをメンバーって呼ぶのも恥ずかしかったんですね、実は。なんかちょっと熱い感じがするじゃないですか、メンバーって。
夢眠:(少年)ジャンプっぽいよね。
古川:うん、それがなんかちょっと、一歩冷めた目で見がちだったんですけど。でもそういうことをしていても、お互いの為にならんなっていうのを、やっぱりね。
全員:ならんな(一同笑)
古川:ライブで全国をまわったり、(2013年春に行われた)ZEEPツアーを経て思えて。変なプライドは捨てて行こうじゃないですけど。そう思える人達だっていうことは大事かな、なんて思って。
全員:あらららっー!
最上:興味を持ってくれたのかー(笑)
古川:(メンバーの反応に対して)いつもこうなるんですよ、絶対(笑)
成瀬:でも、絶対誰も嘘付かないし、真っ当なことしか言わないから信頼できるっていうのはめっちゃあります、マジで全員。
最上:不器用過ぎて繕えないっていうのもある。あと、面白いのはグループができていないことですかね。女の子達が集まると、絶対派閥できるじゃないですか。それがないなっていうのは思ってて。誰かと誰かが特別仲がいいっていうのがないんですよ。だからやってけてるのかなっていうのはあるし。単純に個々の違いとかっていうだけで、ぶつかるとかはあんまりないかな。
夢眠:なんかアイドルらしく、メンバー同士が「仲良しっ!」って感じではないんですけど、絆はすごくあると思います。
メンバー全員ガチのオタクを公称されていますが、それがでんぱ組.incを表現することに影響している部分ってあると思います?
夢眠:これは末鈴さん、あるんじゃないですか? ガチ勢(注: ネットスラング。主に真剣な姿勢で取り組み、その道を極めるゲーマーを指す)エピソードが。
古川:でんぱ組.incであるには、好きなことには貪欲ガチ勢であれって思うんですね。やっぱり好きなことに一生懸命になれないと、仕事もできないというか。
藤咲:打ち込めないっていうかね。
古川:そういう熱を持ってるのが、やっぱりオタの人だと思うんですよ。
夢眠:その姿勢そのものが、でんぱ組.incを構築している一部でもあるので。逆にそれ以外のことができないんですけど(笑)だから、それがなくなったら、他には何もないよねっていうとこはあります。
最上:集中型かなって思うんですよ。好きだったことに集中してたメンバーがそれぞれいるから、その団結力があるというか。これだけは絶対譲らない、みたいなのがそれぞれあって、一生懸命頑張る。負けん気強い子が多いかな。
古川:ちょっと頑固ですね。変な所にこだわりがあったりします。
最上:多分オタの人ってそういう人が多いんですよね。「自分の好きなものはこれですから!」みたいな。
相沢:みんなマンガやアニメにすごく触れてきてるから、2次元っぽい表現とか、漫画的な表現っていうのが抽象的でも伝わるんですよ。「あーそれね、わかるわかる。ドンドンバンギャーンッ」て感じでしょ? みたいな。
夢眠:あの漫画のあのシーンのあれね、みたいにすぐわかっちゃうよね。
相沢:そう、その漫画的で二次元的な表現を自分の中で噛み砕いて体現していて。それをライブやパフォーマンスを通して、観る側に伝えるっていうことができているのがすごいなって。
夢眠:昔だと、オタクって言うと、みんなどこか「ふーん」てなったと思うんですけど、誰しもそれぞれに好きなものがあって、夢中になったりとか、どこかオタク的なところがあると思うんです。私たちのオタっぽい喋り方も、徐々に共通言語になりつつあるなっていうのは感じていて。今まではテレビとか出ても、下にテロップ入れてもらわないと意味が通じなかったりとかね。
最上:ワロタとは~みたいな(笑)
成瀬:ネットスラングとか変だからね(笑)
—2次元といえば、みなさんの衣装もどこかそうですよね。
夢眠:アイドルさんはみんなそうかもしれないんですけど、衣装はステージに上がるための服で、これに腕を通すと最強になれるというか、戦闘服みたいなものなんです。少なくとも、でんぱ組.incにとってはそういうところがあると思っています。でんぱ組.incの特徴で、衣装が6人それぞれバラバラなものが多いんですよ。普通、型が同じで色違いとか多いんですけど、もがちゃんだったらもがちゃんしか着れないようなデザインだったり、ピンキー(藤咲のニックネーム)はピンキーの良い所を出してもらってるデザイン。デザイナーさんとの信頼関係があって、お互いのことを理解し合って作って下さった衣装なんです。
成瀬:他の子の衣装を着ようとしても、「装備できない!」って表示が出ると思う(笑)
—ファッションデザイナーの坂部三樹郎さんが衣装提供されていたり、東京コレクションへの出演やブランドとのコラボレーションもよくされていますよね。
夢眠:でんぱ組.incをやっているおかげで、普通は出られないようなファッションショーに出させてもらったりして。
相沢:三樹郎さんがでんぱ組.incを面白そうだなって思ってくれた時に、「でんぱ組.incは、何を着せても最後はでんぱ組.incになるから面白い」って言ってくれたんですよ。アキバを体現できてるみたいな。
夢眠:味が濃いんだろうね。
相沢:ね、濃い味だね。
—プライベートでファッションにこだわりはありますか?
夢眠:こだわりじゃないんですけど、つい自分の担当色(ミントグリーン)を手に取っちゃうんですよ。
成瀬:わかるー!
夢眠:白いワンピースを買いに行こうと思って出掛けても、ミントグリーンのスウェットを見掛けちゃったら、「うーん……ミントグリーン買うか」ってなっちゃう。
相沢:私がこれを着なきゃいけない、みたいな使命感みたいなのが芽生えるんですよね。
夢眠:そう、職業病みたいな(笑)担当色をどうしても買ってしまうっていう。
最上:ぼくの場合、音楽が好きで、ツイッターとかで「こういう曲聴いてます」って言うと、そのバンドのライブTシャツとかをファンの方がプレゼントしてくれたりして。だから最近は、いただいたT シャツとかをいっぱい着るようになってます。ファンの人が自分のファッションを作ってくれてるみたいなところがありますね。
夢眠:ファンの方のプレゼントによるもがちゃんの服コーデみたいのがあるんですけど、結構まとまりがあってかっこいい。みんな多分、イメージのもがちゃんが統一されてるんだろうな。
最上:限られた時間でしか話せなかったりする方が多い中で、(渡したプレゼントを)受け取ってくれてるんだとか、着てくれてるんだとか……そこでひとつ、ちゃんと一緒に楽しむっていうのを常日頃やろうと思っていて。割といただくものは身に付けて、写真を撮ってやぃっ! て、気合いを入れてます。
相沢:もらったものとかに守られてる感じはあるよね。
最上:なる、すごいある。
夢眠:あと、ピンキーは小さい頃からずっとコスプレをやってきているんですけど、客観的に見てて、その日のテーマみたいのがあるなって思う。
藤咲:そう、その日テーマを決めるのが好きなんです。たとえば、今日は戦闘服みたいにとか、学生服とか、セーラ服を纏ってみたりとか。そういうのが好きで、私服もコスプレ感覚で着てます。あと、ボーイッシュな格好もよくします。男装するのが好きなんです。
夢眠:ピンキーの男装がかわいいんだよねー。
相沢:私は普段着にロリ服とかを着たりしてます。
—どんなブランドを着るんですか?
相沢:『Angelic Pretty』が本当に大好きで、あとは『Emily Temple cute』、『Innocent World』も着ますね。特に、気合いを入れたい仕事の時には着ていくんですよ。変に思われるかな、と思って、しばらく辞めようとした時期もあったんですけど、最近は、今着とかないともったいないなと思って、どんどん着るようにしてます。ファンの女の子も好きな子が多いみたいで、「私も好きなんです」って、最近はいっぱい声を掛けてくれるようになりました。
—7月には、パリで開催される『JAPAN EXPO』に出演されますね。おめでとうございます。
全員:ありがとうございます!
—残念ながら、ピンキーさんは今回参加できないとのことなのですが、どんなステージになりそうでしょうか?
夢眠:いやーもうパリっぽい……
最上:え、パリっぽい?(笑)
成瀬:いつも通りにやるだけです!
夢眠:小脇にパンを抱えて……
藤咲:小脇にパン抱える?!
成瀬:えっフランスパン?
夢眠:ピンキーの形のフランスパンを小脇に抱えて……嘘です、すみません(笑)そうですね、今年の目標は世界進出っていうのがあって、私は個人的に『JAPAN EXPO』にすごく出たかったんですよ。日本の今一番尖ってる文化を見てもらうイメージがあって、その代表として行くということはすごく光栄です。
最上:なんか、気張らなくていいかなと思っていて。でんぱ組.incらしさをそのまま出せればいいなって。だから1番の敵は緊張ですね。
—古川さんは『W.W.D』でフランス語のパートがありますよね。
古川:そうなんですよ。今はカタカナ読みなフランス語なんですけど、その日だけ、ちゃんと伝わるような発音を練習していきたいなと思ってます。(含みを持たせて)「ボンジュール」みたいな(笑)
成瀬:それ緊張するね! 私、イタリア行ったら緊張するな、絶対。(成瀬は同曲でイタリア語のパートを担当している)
最上:そこでさ、発音良かったら、みんなきっと「オーッ」ってなるよ。
夢眠:うちのお姉ちゃん、フランス留学してたから習えばいいじゃん。
成瀬:私達のダンスの振り付けをしてくれてるYumiko先生も、何年もフランスに住んでたりとかして、実はすごく縁があるのかも。
古川:だから割と心強いかもしれないね。
相沢:もふくちゃん(でんぱ組.incプロデューサー)も一緒に行きたいって言ってましたね。
古川:もふくちゃんは……
夢眠:もふくちゃんはいいや、社長は来なくていいや。
全員:(笑)
相沢:でもきっと、今どんな日本がキテるのかって、向こうの方はわくわくしながら来てくれてると思うので、その期待を潰さないライブにしたいです。
夢眠:カッティングエッジな感じで行きたいと思います!
—社長と言えば、実はもふくちゃんにインタビューさせていただく予定が近々あるのですが。
夢眠:ぎゃぎゃ、いらんこと言っちゃったな(笑)
—みなさんから見て、もふくちゃんってどんな人ですか?
相沢:昔、私がでんぱ組.incに入る前に、もふくちゃんが「秋葉原ディアステージを、フランスに持って行きたい」ってずっと言ってたんですよ。だから「私達がフランスに行けたらすごいんだ」って、子どもみたいに思ってたところがあったんですね。それで今回『JAPAN EXPO』に出演できることになって、私達がフランスに行けるよ、もふくちゃん連れてくよって、ドヤではないんですけど(笑)。だから、割と言ったことを実現に持っていく力がある人なんじゃないかな。あと、もふくちゃんは0から1を作れるというか、自分のアイデアで、新しいものを作っていけるっていうのがすごいなと思ってます。私はそれを、1から10にするお手伝いはできるけど、ゼロイチができないから。
夢眠:それは本人も言ってた。「1を100にしてくれてる人が助けてくれてるけど、私はゼロイチしかできないからさ」って。若い女の子の社長なんで、ストレートに喧嘩もできるし、意見をぶつけたりとか。本当、「もうもふくちゃん知らないっ!」とか言うときもあるんですけど、結局は、私はもふくちゃんについて行こうって決めてでんぱ組.incにいるんで。まぁ、偉大ですね(笑)
—実は先日、みなさんが所属するディアステージにお邪魔したのですが。
全員:おおー! ありがとうございます。
—一人で入るには、最初少し勇気がいりましたが、実際とても楽しみました。そこで「でんぱ組.incに憧れてここに来た」という、新人のディアガール(スタッフ)さんに接客していただいたのですが、そういう後輩達もどんどん増えている中で、みなさんにとってディアステージとはどういった場所なのでしょうか?
相沢:それこそ、私と末鈴ちゃんは、もう5年ぐらいディアステージに所属していて。
夢眠:長いねぇ。
相沢:そう、すごい長いんですよ。長い、なんて言ってもらえるようになることすら、思ってもみなかったりすることなんですけど。最近でんぱ組.incを初めて見た人は、私達が路上でチラシを配ってたりとか、ジュースとか作って出していたとか想像できないかもしれないけど、そういう時代もあって。今ディアステに行ってもらえたらきっと、でんぱ組.incのことがもっとわかると思います。
夢眠:私にとっては家というか、東京のふるさとみたいに思ってるんです。「ねむはワシが育てた」みたいな、昔からのファンの方の自慢になるような活動をやってかないとなとは思ってます。たまに立ち戻ったりして、こっからスタートしたんだよなっていうことを、思い出させてくれる場所です。
古川:帰れる場所があるから頑張れる、っていうのはよく思います。やっぱホームなので。
藤咲:私がディアステに入ったのは2年前なんですけど、初めて東京に一人で出掛けるようになった場所と言うか。それまで、コスプレ会場とかには、いつもお母さんと一緒に行ってたんですよ。でも、ディアステージで働くことになって、自分一人で電車調べて行かなきゃいけない、初めてのバイトでもあり。
夢眠:(成瀬が)萌えてる(笑)
成瀬:なんか、初めてのお使いみたいだなーと思って(笑)
相沢:自立って感じだね。学校に行くのとは別で、自分の意志で行くんだもんね、働くのって。
—話が変わりますが、これまで2度にわたりBo Ningenとのライブセッションを行っていますよね。たとえば、BiSもハードコアのバンドと共演をよくしていますし、BABY METALやアリス十番など、曲自体がメタルのアイドルグループも活躍しています。みなさんは、アイドルとロックにどんな繋がりがあると感じていますか?
最上:共通点は、完全に熱いところだと思いますね。熱狂というか、自分が好きだから応援したいっていう気持ちがあって、会場に来てる人ばかりだと思うんです。Bo Ningenとの対バンの時も、ライブがすっごい盛り上がるんですよ。ジャンルは違えど、好きなものを好きと言える文化って言うのかな。多分、オタ芸打ってる人達とメタルでモッシュしたりしてる人達って、愛情表現の仕方が似てるじゃないかと思ってて。だから最近、メタル系の人達が、アイドルを好きって言ってくれることが増えたのかなって。境界線がなくなってきたというか、楽しいことは楽しいことじゃんっていうのを、みんなが思うようになってきたのかなっていうのはありますね。
夢眠:Bo Ningenとセッションした時、いつもと違って即興で楽しむというのがめちゃめちゃ気持ちよくて。きっと、ファンの方達も初めての楽しみ方だったのかな。あとは、えいたそ(成瀬のニックネーム)がラップをしてくれたことが個人的に熱くて(笑)
成瀬:あ、そう、2回ともしました(笑)打ち合わせとかなしで、即興でやったんですけど、魂が合ったというか。カチッとはまったんで、上手くいっちゃったんですよ!
夢眠:多分無理矢理合わせるとかやっちゃうと、上手くできない人達なので。それをBo Ningenのみなさんもわかってくれてるのか、すごいはまった感じがしましたね。またやりたいよね。面白かったよね?
藤咲:うん、面白かった。
夢眠:だからイギリスに行きたいんですよ! イギリスで2マンやりたいな。
ーでも実際、JAPAN EXPOの他にも、アジアでも度々ライブを披露されていたり、いよいよ活動がワールドワイドになりつつありますよね。グループのテーマに、世界すら超えて、「宇宙を救う」というものがありますが、そこにはどんな想いがあるのでしょうか。
最上:自分達の過去の押しつけだったり、不幸自慢がしたい訳ではなくて。みんな、色々な過去が合っても、みんなで楽しくしようと思えば楽しくなるから! っていうのを伝えたいっていうのはすごくある。
夢眠:私はでんぱ組.incに入って救われたところがあるんですね。自分の目の前の人が、(自分達の存在によって)救ったから、私も救われたっていうのが実感としてすごくあるんですよ。今は目の前の人だけだけど、日本中とか世界中とか、はたまた宇宙の人を……恩返しですよね、本当に。自分が自分でいいんだっていうのを教えてくれたから、その勢いで宇宙まで救えたらいいなって思ってます。
成瀬:でんぱ組.incは秋葉原から生まれたんですけど、最初はアキバから始まって、東京都内にちょっと広がって、そのまま全国ツアーとかもしたりして。広がってく感覚、気持ちよさを知っちゃったんで、もっともっとって思って。全然、調子に乗ってる訳じゃないんですよ(笑)
相沢:でんぱ組.incが始まった時って、メンバーが4人に対してお客さん10人以下とかよくあったんですよね。でもずっとやり続けて、今でも私たちが歌い続けていて。ものを作ってるっというよりは、空間とか、出会いを作ったりしているっていうのかな。そういう感情的な部分で動いているなと思うことが多いですね。自分達が作った歌だったり、時間を共有してくれて、好きになってくれた人が、自分の好きなものを違う人に伝えたりしてくれて、広がってるところがあって。ファンの人の気持ちの変化が、だんだんと見えてくるんですよね。「あ、今好きになってくれたんだ」、「悲しいことあったけど元気になってくれたんだ」とか。そういう瞬間を目の当たりにして、これって音楽だから世界にも伝わるかなって。でも、そんなこと言っても英語がペラペラなわけじゃないんで。
夢眠:音楽しかないんですけどね(笑)
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