インタビュー:ジルダ(Kitsuné)

レーベル立ち上げから10年、Kitsunéが提案する「16歳の思春期」

インタビュー:ジルダ(Kitsuné)

パリ、ニューヨーク、そして東京。大都市に直営店を構えるニュークラシックなファッションブランド『Maison Kitsuné』。そのグローバルな知名度は、音楽レーベル、Kitsunéという入り口もあって幅広く支持を得ている。ダフトパンクのマネージャーという経歴を持つジルダと、建築士としての知識を持つ黒木理也の出会いから、Kitsunéは2002年パリにて設立。黒木理也がファッションブランドのディレクター、ジルダが音楽レーベルのディレクターとして活動をスタートして12年経った現在、気付けばクラブミュージック・シーンで欠かすことのできない存在となった。音楽、ファッションだけに飽きたらず、さらにライフスタイルを変えようとするKitsunéは、2013年表参道にCafé Kitsunéをオープン。Café Kitsunéでのレセプション、そしてレーベルメイトたちと新木場Agehaでビッグパーティと大忙しのジルダを捕まえて、新作コンピレーション・アルバムやグローバルな活動をどう捉えているのかを聞いた。


まずはCafé Kitsunéの1周年、おめでとうございます。Kitsunéの看板コンピレーション『Kitsuné Maison』シリーズの第16弾が11月19日に発売されますね。

ジルダ:今まで数々のコンピレーションをリリースしてきたけど、今回は16枚目ということで“16”という数字にちなんで「End this with Sixteen」というフレーズの、16歳の思春期というか10代の甘酸っぱい感じをKitsuné独自のオリジナルの感情で反映させようとしたんだ。16歳の10代というスウィートですごく柔らかい部分もあれば、新しいアーティストを発掘している要素も込めた。

ニューレイヴやフレンチ・エレクトロのイメージからKitsunéが日本に定着したように思えますが、そういったジャンルから徐々に離れてハウスのテイストを強く感じます。発掘したアーティストを集めてそうなったのか、世の中の雰囲気なのかどちらですか?

ジルダ:レーベルを立ち上げて10年経つので、レーベル自体もどんどん発展して進化した部分もあるんだけれど、その中でずっとコンピレーションという形で出しているので、もちろんアーティストの影響、そして個人的に自身で聴きたい音やトレンドの部分もある。あと、Kitsunéが(ハウスミュージック発祥の国でもある)アメリカにも進出しているのもあって、ハウスに近づいてるね。

今振り返ってみて、ニュー・レイヴやフレンチ・エレクトロのムーヴメントについて、どう思いますか?

ジルダ:その時はその時の新しいアーティストがいて、Digitalism、Klaxons、La Rouxなどのとてもかっこいいアーティストが出てきた瞬間だったというのもある。それはその頃の時代の音楽なので、今はどんどん進化していって、もうちょっとバラードのものだったりとか違った音の方に変わっているよ。

アーティストはどうやって発掘しているのですか?

ジルダ:Kitsunéのレコードレーベルを立ち上げてから10年以上経っていて、今に至るにあたってのいろんな人たちのネットワークをいかして、ファンやマネージャー、ほかのアーティストから情報収集したりね。最近ではオンラインからの情報や音楽を送ってもらったりもあるんだけど、SoundcloudだったりYoutubeで自ら探したり、そういうところから新しいアーティストを探したりフォローしたりしているよ。

今回のコンピで特に聴いてほしいアーティストは?

ジルダ:この中では、Memo。Citizens!というバンド。それとDangloだね。

もはやライフワークとなっているコンピレーションですが、目標などありますか?

ジルダ:ニューヨークにオフィスをオープンしたこともあって、新しいアーティストBeaûや今度来日するFakearとサインしたんだ。そういったところで新しいアーティストを取り入れることを考えているよ。

新しいアーティストをより良く見せる点で注意していることは?

ジルダ:いい歌を作ってあげる、いいライブをさせてあげることだね。

コンピレーション・アルバムは、どんな人に聴いてもらいたい?

ジルダ:15歳〜25歳、特に音楽に興味のある世代。ある年をとってしまうと音楽を聴かなくなってしまうから。

日本のクラブは20歳以上ではないと入れないので、コンピレーション・アルバムを出すことは素晴らしいことだと思います。ジルダさんはコンピレーションCDのコンパイルやDJのほかにどういったことをしていますか?

ジルダ:カフェの運営や、ファッションレーベルを持っているので、音楽以外にもグローバルに活動をしているね。他には新しいアーティストとの契約とかかな。

世界中のアーティストがKitsunéにデモ音源を送っていると思いますが、どこの国が多いですか?

ジルダ:送られてくる国は世界各国なんだけど、多いところでは日本、韓国、アメリカ、スペイン、イギリス。それ以外にもプエルトリコやスウェーデンなどからデモデープが届いたり、オンラインで送られたりするね。インターネットのマジックだよ。

いろいろな都市でDJされていますが、東京は他の都市と盛り上がりはどう違いますか。オーディエンスの印象は?

ジルダ:他の国とはそこまで大差がないけど、新しいアーティストに興味があったりクラブに行って楽しむ人が多いと感じるね。ロンドンとかドイツのクラブに比べて比較的安全でドラッグが回っていないので、そういったところは違うのかな。

グローバルな活動をしていて、いろいろな都市に行っていますが、今一番面白い都市はどこですか?

ジルダ:南アメリカから新しいアーティストが出てきていると感じているよ。それ以外に最近ニューヨークに新しいオフィスをオープンしたので、そこでどうやって活動していくかという部分を考えているので、ニューヨークも視野に入れている。

表参道にCafé Kitsunéがオープンしましたが、そのコンセプトを聞かせてもらえますか?

ジルダ:「伝統的な日本」をテーマに、小さな庭、盆栽、畳、竹だったりを使った建物でコーヒーを提供していて、すべてを買い物の体験のひとつとして取り組んでいるね。

では、最後にカフェのおすすめのメニューを教えてもらえますか?

ジルダ:今まではコーヒーがメインだったけど、徐々にいろいろなものを取り入れようとしていて、和菓子だったり陶芸だったり今後少しずつ増やしているんだ。

テキスト 高岡謙太郎
撮影 豊嶋希沙
※掲載されている情報は公開当時のものです。

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo