ブラッド・レッド・シューズが語る

「僕は“ワ~オ”って、思わずニヤリとしてしまったよ」

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ブラッド・レッド・シューズが語る

Photo by Masanori Naruse

2010年2月10日に、セカンドアルバム『ファイアー・ライク・ディス』を日本先行でリリースしたばかりのブラッド・レッド・シューズが来日し、代官山UNITにてスペシャルライブを行った。エナジーにあふれたパフォーマンスを披露してくれたローラ・メアリー・カーター(Vo、G)とスティーヴン・アンセル(Vo、Dr)は、前夜のライブの疲れが抜けない様子であったものの、ライブと東京について真摯に語ってくれた。

今日は取材を受けていただいて、ありがとうございます。

スティーヴン:僕たち、今ちょうどタイムアウトのことを話していたんだよ。

えっ!? どんなことを話していたんですか?

ローラ:そういえばイングランドの本屋でしばらく見ていないし、まだあるんだっけって(笑)。

スティーヴン:そう。昔インタビューを受けたことがあったから、今回の取材リストを見たときに「あっ、タイムアウトが入ってる」って思ったんだ。確かロンドンの雑誌だよね?僕たちはロンドンに住んでいないから、少し疎いかもしれない。

タイムアウト東京は2009年10月にウェブ上で始まったばかりなのですが、ご存じとはとてもうれしいです。早速ですが、2月10日のライブについて聞かせてください。2人はすでにサマーソニック2008でプレイしていますね。それに比べると、代官山UNITはコンパクトだったと思いますが、日本のオーディエンスはどうでしたか?

スティーヴン:サマーソニックはすごいよね!昨日は確かに小さいステージだったけど、世界のどこよりも早く新曲を披露したから、オーディエンスの反応を見るのにドキドキした。特に『ライト・イット・アップ』をプレイしたとき!みんながサビを歌ってくれて、(腕を上げてみせて)「ライト!イット!アップ!」ってしてくれただろ。僕は「ワ~オ」って、思わずニヤリとしてしまったくらいうれしかった。

あの曲はすごかったですね。でも、日本のオーディエンスは、海外と比べて礼儀正しいところがありませんか?

2人:そうだね。

ローラ:でも、それは国によって違うものだから、全然問題ではないわ。

スティーヴン:もう慣れちゃったしね。でも、時々違和感があることもある。日本のオーディエンスは行儀がよくて、リスペクトしてくれてるからこそ、曲間で無音になるだろ。ほとんどの国では騒々しいからさ。あの完全な静寂に、今でもちょっと慣れていないかもしれない。

ミュージシャンの間で、「日本のオーディエンスは静かだよ」というような噂があったりしますか?

ローラ:ええ。日本に初めて来るときには、マキシモ・パークに「日本はとにかく違う。行ってみないとわからない」と言われたわ。

スティーヴン:だけど、多くのイングランドのバンドより、僕たちの方が海外をツアーしているからね。彼らに日本やフランス、イタリアはこうだったって教えてあげる方が多いかもしれないな。

では、たくさん海外ツアーをしてきた2人が曲間で言う「日本は最高だよ」は、お世辞ではないと思っていいんですね?

スティーヴン:もちろんだよ。どこでも言ってるわけじゃないよ(笑)。まぁ「おまえの街は最低だ!」と言うこともないけど。そういうことは黙っておくものだろ。だから、本当に最高だと思わない限り「最高だ」なんて言わないよ。何よりも日本のファンはいつも歓迎してくれて、僕たちの音楽をすごく楽しんでくれているのが伝わってくる。だから、僕も楽しくなるし、そう言わずにはいられないんだよ。

それを聞いて、日本のファンはとても喜ぶと思いますよ。では、次に東京について聞かせてください。5度目の来日となると、お気に入りの買い物スポットなどがあるのではないですか?

スティーヴン:ローラには好きな店があるよね。なんだっけ?ワン・オン・ワンみたいな名前の……。IOI……。マルキュー?

マルキュー?109のことですか?

ローラ:ええ。ブランド名はわからないんだけど、1階に入ってすぐにある店が好きなの。一応全部の階を見て回るんだけど、結局その店で買うことが多いわ。

ローラは、ルックスやファッションについてもスタイリッシュだと言われることが多いですよね。だから、日本で洋服を買っていると聞くとうれしくなりますね。

ローラ:ええ、本当に好きなのよ。どんなに時間がなくても、なんとかして洋服を買ってくるし、そのためにスーツケースを少し空けておくのよ。

スティーヴン:(笑)そう!それは本当だよ!

スティーヴンは何を買うんですか?

スティーヴン:前に来たときは、原宿のヴィンテージショップで洋服を買ったな。だけど、僕は普段は人の買い物に付き合うのが結構好きなんだ。だから、ローラの買い物の後ろを付いて行く専門だね。たいていの男は嫌がるけど、僕は全然気にならない。

日本の男の子は、女の子の買い物袋を持ってくれるんですけど、スティーヴンは?

ローラ:ノー。

(笑)素早い返答でしたね。

スティーヴン:ローラは、両手に抱えるほど買うわけではないからだよ!

他に、2人が好きなことや場所はありますか?

ローラ:食べ物ね。

スティーヴン:うん。僕たちは食べることにたくさん時間を使うんだ。

今回は何を食べましたか?

スティーヴン:昨日、牛たたきの寿司を食べた。すごくクールだったよ。

ローラ:スティーヴンは、何か変な物にも挑戦したわよね。

変な物?

スティーヴン:ああ、いかの塩辛を食べた。あれは本当に嫌いだ(笑)。味が強いし、僕の脳は“これははらわただ”ってことを知ってるだろ。それが頭から離れなくて、どうしても好きになれなかった。

でもね、僕たちは2人とも料理と食べ物にすごく興味があるんだ。イングランドでは日本と言えば寿司だから、日本人はいつでも寿司を食べているというイメージがある。だけど、他にもいろいろな食べ物があるだろ?そういうものを片っ端から食べてみたいという気持ちで、日本に来ているんだよ。

2人とも、細い体なのに……。ステージではエネルギッシュだったので、もっと体格がいいように見えたんですよ。

スティーヴン:(笑)そうだね。だけど、昨日の僕たちは普段の7割くらいしか力を出せなかったと思う。まず、普段は1時間ものライブはしないんだ。時差ぼけがなく体調が万全で、通常通りの短時間のライブだったらもっと激しくなるよ。

それは、ぜひ観たいですね。いつ観られるんでしょうか?

スティーヴン:サマーソニックで戻ってこられたら最高だけど、それが叶わなくても絶対に戻って来たい。日本はチケットが高いし、不況だから難しいと思うけど、次は大阪でもプレイしたいんだ。

不況を心配するんですね。

スティーヴン:すごく心配しているわけではないよ。資本主義なら起こることだし。だけど、地元の友達が失業したり、家を無くした人の話を聞くとさすがに気になるね。特に失業については、怒りの矛先が移民に向いて、国粋思想をもつ政党がたくさんの議席を獲得する傾向があるのも、少し心配してはいるよ。

今日は疲れているところを、本当にどうもありがとう。

スティーヴン:"アリガトウ"。

(笑)他に知ってる日本語は何かありますか?

ローラ:“こんにちは”、“"みんな最高”、“乾杯”。

スティーヴン:“またね”。あと、誰かに飲み物を注いでもらったときに言う“おっとっとっとととと……”。

(笑)

スティーヴン:これを言うと、みんながいつも笑うんだ。

おじさんだけが使う言葉だからです。

ローラ:本当なの!?

スティーヴン:友達に教えてもらったんだよ。やっと理解できた。だから、みんな笑うんだな。

『ファイアー・ライク・ディス』2010年2月10日発売 ホステス・エンターテイメント
オフィシャルサイト:www.bloodredshoes.co.uk/

テキスト 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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