カール・バラーが語る

「リバティーンズの曲もやるよ。ライブで好きな曲を聴けないとムカつくからさ」

カール・バラーが語る

今年のレディング/リーズ・フェスティバルで奇跡のライブが実現し、今後の活動が注目されているザ・リバティーンズのカール・バラーが、初めてのソロアルバム『カール・バラー』を携えて、待望のライブを行った。既にプロモーションで来日し、インストアライブは行ったが、正規公演は今回が初めて。早々に単独公演をソールド・アウトさせ、マニック・ストリート・プリーチャーズの前座を務めることも決定、ファンを喜ばせた。ライブは、ザ・リバティーンズの楽曲を織り交ぜながらも、アコースティック・ギターをメインに持ったカールと、チェロやバイオリンまでがステージにあがる、バンドとは正反対の雰囲気。だが、カールのステージでの存在感がやはり並でないことを確認。11月30日に行われたクアトロ公演前に、ソロアルバムと何度も訪れている日本について、話を聞いた。

疲れているように見えますけど、オフ日は遊びに行っていたそうですね。

カール:猿がいる温泉に行ったんだ。

猿と一緒に入ったんですか?

カール:いやいや、彼らには別の場所があって、一緒じゃなかったよ。9人で行ったんだけど、浴衣を着る旅館に泊まって、日本食の朝食と夕食に不思議なものがたくさんあって楽しかった。

不思議なものとは……。

カール:根菜が多いよね。あとは魚。魚は食べないから大変だった。だけど、牛肉をたくさん食べたし、豆腐と味噌汁はおいしかった。削り節と、魚のスープに目玉が入ったものは最高に変だったけどね。

たぶん、おすましですね。とにかく、今夜のライブ前にリフレッシュできたようなので、よかったです。

カール:リフレッシュじゃないね。今、また疲れてるよ。でも大丈夫。取材で疲れてるんじゃないよ。

あと少しだけおつきあいください。早速なんですけど、私は26日のマニック・ストリート・プリーチャーズとのライブを観せてもらいました。

カール:ロックシティでやったやつだね。いや、ラジオシティだ。

いいえ、STUDIO COASTです。少し遠い場所にあるライブハウスですよ。

カール:あそこはSTUDIO COASTって言うの?ラジオシティだと思ってた。

それではニューヨークになってしまいます。

カール:グッド、グッド。いろんなところを回ってるからさ。

マニックスとだなんて、おもしろい組み合わせだなと思ったのですが、どうでしたか?

カール:すごくよかったよ。前座でプレイするのって結構難しいんだよね。向こうのファンの中でやらないといけないからさ。最初の1、2曲は少し緊張したんだけど、だんだん慣れた。マニックスもすごいエナジーがあったし、元々そんなにマニックスのファンではなかったんだけど、「俺、結構曲を知ってるじゃないか!」って驚いたよ。

日本のマニックスファンは熱いですからね。

カール:マニックスファンとリバティーンズファンは、イングランドでもあまり接点がないから、他人のテリトリーに入ってしまったような気がしてたんだ。だけど、やってみたら楽しかった。日本のオーディエンスは、すごく一生懸命聴いてくれて、途中で出て行く人もいなかったし、(たばこを吸う仕草をして)こんな人もいなかった。これをやられたら、俺、やばいよね。

『So Long, My Lover(ソー・ロング、マイ・ラバー)』は、特に美しかったです。ああいったスロウでパーソナルな曲を歌う気分、汗まみれでないライブはどうですか?

カール:昔からライブ前は緊張するタイプなんだけど、今回はかなり緊張した。すごく難しいんだ。裸でいるような気分なんだよ。ギターを持たずに、音楽が流れる中で、自分だけ突っ立って歌わなくちゃならない。気分的には、マイクを持って「じっとしてろ、じっとしてろ」みたいな感じだな。 それとソロのギグで今までと違うのは、バックバンドを携えていること。プロとしてやっている分、俺がオーディエンスを楽しませられなかったら、後ろのみんなに申し訳ないと思っていたんだ。だけど、みんな百戦錬磨の慣れた人たちだから、問題なかったよ。

頼もしいバンドですね。ステージのカールには色気を感じましたよ。

カール:それはうれしいね。だったらさ、(今日みたいな)スーツとレザー、どっちを着た方がいいと思う?

断然レザー!と言いたいところなんですが、ソロのライブでいつもレザーを着るなら、今夜はスーツでお願いしたいです。売り切れライブですし。

カール:他の人にも聞いてみないとな。売り切れだからこそ、きちんとしたいんだ。でも、考えすぎないようにしてるよ。考えすぎると、色気って出てこないものだと思うから。

26日のライブでは、25分という短い時間の中でも“新しいカール”を見られたように思います。だからこそなんですが、まさかリバティーンズの『ドント・ルック・バック・イントゥー・ザ・サン』をやるとは思いませんでした。

カール:ファンが気に入ってるのをわかってるし、自分も好きな曲だからね。俺もライブを観に行って、バンドが好きな曲をやらないとムカつくからさ。

大人になった、ということでしょうか。

カール:いくつかの点ではね。僕の彼女はそうは思ってないみたいだけど。

ライブ会場で私の周りにいた人が話題にしてましたよ。とてもきれいな人だねって。

カール:それはいいね。彼女に言わなくちゃ。

今年はすごく忙しい年だったと思いますけど、今後の予定を聞かせてください。

カール:うーん……、えーと……、わからない。忘れがちなんだけど、俺はミュージシャンだから、また次のアルバムを作ると思うよ。

さて、話を進めさせていただきます。今年だけで2回目の来日です。東京でよく行く場所はあるんですか?

カール:昔は六本木によく行くクラブがあったんだけど、最近は行かないな。あとは渋谷のバー。3階にあってロックミュージックをかけてて、すごく混んでてクールなんだよ。あそこではDJもやったな。あとは渋谷の交差点のすぐ裏手にある(おそらく『のんべい横町』のこと)かなり昔からありそうなバー。“ケン”という名前のオーナーがいる、いい店なんだ。だけど、最後に行った時にタトゥーが入ったちょっと怖い人達と小さなトラブルがあって、それから行ってないんだ。

いったい何をしたんですか!?

カール:その中の1人が「俺は3回撃たれたことがある」って言うから、「俺も人に刺されたことがあるんだ!」って盲腸の手術跡を見せたんだよ。酔っぱらっていたし、向こうが俺のことを失礼なやつだと思っていたら嫌だから、それから行ってない。だけど、ケンのバーはヨーロッパのチーズがすごくおいしいんだ。

カールはグルメなんですね。

カール:好き嫌いははっきりしてるけど、いいフードが好きだよ。神戸牛がすごく好きなんだけど、今回は行ってないんだ。焼き肉には行ったよ。

そこまで肉好きだとは……。ベジタリアンかもしれないと思っていたくらいですよ。

カール:そんなわけないじゃない!焼き肉と日本酒だよ。だから、今つらいんだよね。昨日もたくさん飲んだんだ。

疲れてるのは、ただの飲み過ぎじゃないですか。ということは、カールのストレス解消法は飲みに行くことですか?東京はストレスフルな街でもあるので、聞きたいです。

カール:そうだね。だけど、飲みに行くと大抵もっと具合が悪くなるよ。俺は東京の神社が好きだな。街の真ん中に大きな森があるところも素晴らしいよ。そういう場所でゆっくりするのがいいんじゃない?ロンドンにも公園がたくさんあって、大好きなんだ。

えっ!公園が好きなんですか?昼間にぼんやり座っていたりはしませんよね?

カール:違うよ。散歩が好きで、ロンドン中を歩いている。いろいろなものを見るし、考えごとにもいい。昨日温泉に行った時も7マイル(約11キロ)くらい歩いたんだ。リュックを背負って、トレッキングをするようなタイプではないけどね。ちょっと待って!もし、これがクールに聞こえなかったら、書かないでね。この間もおもしろいことがあったばかりだからさ。

何があったんですか?

カール:ホテルに戻ったらファンが待っていたんだけど、みんなががっかりしているように見えたんだよね。「サインしようか、写真を撮ろうか」って声をかけたら、マニックスのファンだった。みんな追いかけるバスを間違えたんだ!


『カール・バラー』
発売日:2010年9月22日
レーベル:Arcady Records / PIAS Recordings / Hostess
オフィシャルサイト:carlbarat.co.uk/

テキスト / 撮影 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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