映画『Mommy/マミー』レビュー

カンヌ国際映画祭で、ゴダールとともに審査員賞を獲得した最新作

Shayne Laverdière / © 2014 une filiale de Metafilms inc.
Shayne Laverdière / © 2014 une filiale de Metafilms inc.
Shayne Laverdière / © 2014 une filiale de Metafilms inc.
Shayne Laverdière / © 2014 une filiale de Metafilms inc.

『Mommy/マミー』タイムアウトレビュー

グザヴィエ・ドラン監督の新作映画『Mommy/マミー』と比べるとほかの映画は生々しく、熱狂的で、音楽に溢れていないだろう。今作は天使のような顔で悪魔のような行いをする荒っぽくていたずらな笑みを浮かべる15才の少年、スティーブ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)の物語だ。ADHDのため大量の薬を処方されているスティーブは、気の強いシングルマザーのディー(アンヌ・ドルヴァル)と吃音に苦しむ隣人で、もう1人の母親的存在のカイラ(スザンヌ・クレマン)と愛憎の絡み合った関係にある。ディーとカイラがスティーブと格闘する様をまわりの人間は痛々しくみじめなものと見るなかで、監督のドランは異常な状況に喜びとエネルギーを見つけている。


この作品は、携帯のカメラで撮影したようなスタイルを採用しており、ほぼ正方形の画面の比率は幸福な場面では大きくなり、登場人物の手で画面を広げることもある。『Mommy/マミー』は、洗練さに欠け、大げさだと感じるかもしれない。しかし、何が家族を形作るかに唯一の定義はないという確信は無視できないはずだ。

5作目となる今作で、25歳のドランは、2009年のデビュー作『マイ・マザー』とその後の作品にも出演しているアンヌ・ドルヴァルとスザンヌ・クレマン、この2人の女優とともに素晴らしい作品を作りあげた。メロドラマというだけではなく、ダイドとオアシスの曲は、サウンドトラックという意味合いを超えて、登場人物の心象風景をドラマチックに浮かび上がらせていた。劇中、ドランとともに、自分自身も独創的な意見を述べる仲間のように感じ、彼の過ちを映画の中で最高のものだと思うだろう。


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『Mommy/マミー』

2015年4月25日(土)新宿武蔵野館ヒューマントラストシネマ有楽町YEBISU GARDEN CINEMA(ニューオープン)、109シネマズ二子玉川(ニューオープン)ほかにて全国順次公開

監督:グザヴィエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリヴィエ・ピロンほか
配給:ピクチャーズデプト
Shayne Laverdière / © 2014 une filiale de Metafilms inc.

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テキスト デイヴ・カルホン
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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