フジロック2010 インタビュー4

京都のストリート発ナボワ、初のフジロック

フジロック2010 インタビュー4

フジロックで素晴らしい演奏をみせてくれた日本人アーティスト、シリーズ第2弾はナボワが登場。京都でのストリートライブから出発し、セカンドアルバム『Nabowa』の全国ツアーで成熟した演奏を武器に、フジロックで2ステージをこなした。メンバーは山本啓(バイオリン)、景山奏(ギター)、川上優(ドラム)、堀川達(ベース)の4人。興奮冷めやらぬライブ直後にインタビューを決行した。

プライベートも含めて、初めての参戦ということですが、フジロックへのイメージは何かありましたか?

景山:すごく目標にしていました。ただ、予想以上にデカかった。会場にくる途中の道からサーチライトで照らされたりしていて、超テンションあがりました。これだけ大きいと、みんな昂ぶるんでしょうね。でも機材を運ぶ距離をナメてました(笑)。

今日(フジロック初日)は、今年から新しくできたピラミッドガーデンと、ジプシーアバロンの2ステージでしたが、まずこけら落としとなるピラミッドガーデンは、どんなステージでしたか?

川上:ぼくらのスタイルにばっちり合うロケーションでしたね。

景山:アンコールまでやらせてもらうことができたんですよ。フェスでは普通アンコールなんてないですよね。「え、やっていいんすか?」って(笑)。

では、ジプシーアバロンは?

景山:こっちも楽しすぎて、一瞬で終わってしまった感覚ですね。もっともっとやりたい曲があったんですけど。とにかくお客さんの“楽しみにきましたオーラ”がすごかった! お客さんの受け皿が大き過ぎて、何をどれだけ投げても大丈夫。

母性のような(笑)。

川上:フジロックでは、特にその印象が強かったですね。もう正のオーラしか出てない(笑)。

今回はどのようなライブを意識したんですか?

川上:インストアライブのようなリラックスしたふわっとしたノリを求められていたので、実は、僕はバスドラを使わず、カホン(またがって叩く箱形打楽器)を踏んでいたんですよ。曲もすごく悩みましたが、明るめの曲をやりましたね。

山本:5月に発売されたセカンドアルバム『Nabowa』のツアーで30ヶ所弱ツアーしてきて、セットリストをどういう流れでやるかということをすごく意識するようになったんです。だから今回も、すごく悩みました。

川上:これまでは、ライブ中にその場の流れで次の曲を決めたりしてたんです。でも、順番がすごく大事だなと思うようになりました。

そういったツアーの集大成が、このフジロックというわけですね。

景山:そうですね。間を大切にするようになってきました。曲中の間はもちろん、曲と曲の間とか、ちょっとしたことが大事なんだって。同じ曲を演奏していて、演奏自体のクオリティは変わらないのに、なぜか他の日と盛り上がり方が違うことがあるんですけど、それは間や曲の順番だということを、ツアーの終盤で痛感しましたね。

それは熟練度ですよね。

川上:もちろんまだまだですけど、ようやくそういうのが重要だって気付き始めました。

景山:これがナボワの音なんだっていうのが、なんとなく掴めてきた感じがします。周りからどう見られているかっていうのも、何となくわかってきた。

セカンドアルバム『Nabowa』では、これまでと少し印象が変わって、緻密さが増したというか、バンドのダイナミズムだけで押すような感じではなかったと思います。すべての曲がライブ向けというわけではないと思いますが、ライブ用に意識したりするんですか?

景山:そんなことはないですね。CDでやりたいことを詰め込んでいったら、ライブでそのまま実現できる曲が半分くらいになってしまいました。ライブとCDは、もともと別物として考えています。

今作は、ボーカル曲が2曲入っています。ナオイートさん、アコさんとは、どのように曲作りを進めたんですか?

景山:僕が歌おうかという勢いだったんですが、残念ながらスキルが追いつかず(笑)、ナオイートさんとアコさんにお願いすることになりました。ナオイートさんとは、1日で15時間合宿してみんなで歌詞を書きました。

堀川:声が甘くて間違いないですよね。いちいちかっこいいんですよ。「はい、ストップ」っていう姿すらかっこいい(笑)。

景山:アコさんには、自分たちなりに思っている情景を箇条書きにして送りました。「夕方、小学生が家に帰るときに近くでカレーのにおいがする」とか。ちょっとノスタルジックな感じをイメージしました。

ボーカルメロディは誰が作ったんですか? アコさんの曲は個人的にとても引っかかっています。あまり聞いたことのない不思議なメロディだなと。

景山:僕が作りました。アコさんにも「すごく歌いにくい。楽器弾く人のメロディだよね。ボーカリストはこれは作らない」って言われました(笑)。

アコさんは、ライブ中もアネゴ肌でしたよね(笑)。

全員:アニキです(笑)。

山本:アコさんは、ライブ中も、目をじっと見てくるんですよ。バイオリンと掛け合うときも、じっと目を合わせてくる。そういうコミュニケーションもあって、回を重ねるごとに、ナボワとアコさんの音になってきたと思います。

ところで、フジロックはこの後、楽しめるんですか?

山本:今日帰るんです。少し時間があるから!!!(チック・チック・チック)は見られるかな。

じゃあ、フィールド・オブ・ヘブンにも行ってないんですね。

川上:行ってないんですよー。行きたかったなぁ。

バンドの特徴を考えると、フジロックで次のステップはヘブンだと思うんですよね。

川上:いろいろな人から、同じことをすごくいわれます(笑)

ところで、ツアーで全国を回られたと思いますが、気に入った場所はありますか?

景山:福岡がサイコーでした。抱き寄せてくるくらい人がアツい。お酒もラーメンもおいしい。

堀川:僕は横浜が好きです。都会都会しすぎてない、潤った感じが好きですね。あと僕たちのことをプッシュしてくれるお店、横浜グラスルーツがオススメです。声を大にしてリコメンドしたい。グラスルーツ!

最後に、今年はアルバムもリリースして、一旦落ち着いたと思いますが、これからのプランはありますか?

景山:海外でライブをやりたいと思っています。行ったことのない場所でライブをやるのは、めちゃくちゃ得るものがあるので、どんどん経験していきたいです。

フジロックもそのひとつになりましたね。来年のフィールド・オブ・ヘブンを目指して頑張ってください。

『Nabowa』
2010年5月14日発売
2500円(税込み)
amazon.co.jpで購入

MySpace : Nabowa www.myspace.com/nabowa
ナボワ オフィシャルサイト : www.nabowa.com/

テキスト 大草朋宏
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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