アイドルウォッチャーが推す、2015年注目のアイドル 6

多様化が進むアイドル、2015年はライブアイドル勢が業界を制覇する?

アイドルウォッチャーが推す、2015年注目のアイドル 6選

amiina

アイドルウォッチャーが推す、2015年注目のアイドル 6選 関連記事
クラブシーンのエキスパートが過ごした、2014年の東京 | 2014年の音楽シーンであった21のこと

現在、アイドルバブルに沸く日本には1000を超すアイドルが存在すると言われている。その筆頭となるのが秋元康率いるAKB48グループだが、柱となるAKB48は、2014年のオリコン年間シングルランキングのトップ5を独占し、乃木坂46、SKE48、NMB48、HKT48など姉妹グループを合わせるとトップ30内で14枚がランクイン。「AKB商法」と呼ばれる巧みな商法戦略をによるところも大きく、名実共に勢力はいまだ衰えない。興行を振り返ると、AKB48のほか、ももいろクローバーZが2日間で11万人を動員する国内最大規模の公演を行った。また、ドームや競技場ほどのキャパシティはないが、我が国のコンサート会場の聖地として知られる日本武道館でも、でんぱ組.incや9nine、インディーズデビューからも3年に満たないBABYMETALやチームしゃちほこなどが、武道館の初ステージを踏んでいる。ただ、これはアイドルに限った話ではないが、武道館でコンサートを行うこと自体が目的となっているようなミュージシャンも少なくなく、客入りの悪い公演は「武道半」などと皮肉られている実態もある。もちろん、その「武道半」に立てるアイドルも星の数ほどいるそれから見ればもほんの一握り。アイドルは皆、生き残りをかけて疾走しているのだ。

ここで重要になるのが、いかに個性を作り出して差別化を計るかということになる。前置きが長くなったが、ここでは「多様化」を軸に2014年を象徴するアイドル、そして、最近ますます人気の高まっているライブアイドルから、シーンの傾向を紐解いていこうと思う。


2014年を象徴するアイドル

インディーズバンド、箱庭の室内楽がバックアップしたゆるめるモ!の活躍などもあるが、ご当地アイドルの筆頭であるNegiccoと、元ハロプロのアップアップガールズ(仮)を例に挙げご紹介しよう。


2003年結成の新潟のアイドルユニット、Negiccoは、当初は地元名産のネギをPRするために活動を開始した地方発のアイドルだ。その後、地道にライブを中心に活動を重ね、2011年、タワーレコードが設立したアイドル専門レーベル、T-Palette RecordsよりCDをリリース。2013年に小西康陽、西寺郷太が楽曲をプロデュース、2014年には矢野博康、田島貴男から楽曲提供を受け、2014年12月には『光のシュプール』 でオリコンシングルチャート週間5位にランクインした。この年末は、有名餅メーカーのCMにも出演し、大きな飛躍を遂げた1年を締めくくっている。



アップアップガールズ(仮)はNegiccoと同じく、T-Palette RecordsからCDをリリースしているグループで、つんく率いるハロー!プロジェクトの研修生としてレッスンを重ねていたメンバーで構成されている。当初の研修制度が改められハロプロ所属ではなくなったものの、積極的なライブ活動を展開。ハロプロのコンサートが行われる会場としてアイドルファンには馴染み深い、中野サンプラザでの単独公演を成功のほか、プロレス団体とのコラボレーションや富士山頂でのライブなどアイドルイベントに留まらず、話題に富んだ年となった。

個人的には、2012年のソロデビューから地道にライブ活動を行っていた小池美由が、ネット上で「なんかすごい」と話題を呼び、バラエティ番組への出演、ビクターからメジャーデビューまで果たしたことが興味深かったことを記しておきたい。

ライブ(地下)アイドルについて

テレビや雑誌では見ることのできない、ライブ活動を主とする、現地に足を運ばないと見ることのできないアイドルも多く存在する。最近、彼女達は「ライブアイドル」と呼ばれるようなりつつあるが、一般的には「地下アイドル」と言う呼称が広まっているように思える。実際には「地下」とアピールしつつも、大型ライブハウスでの単独公演を行うような人気アイドルも存在し、その切り分けは曖昧になりつつある。この理由から、「地下アイドル」の呼称は誤解が生じることも多いため「ライブ活動主体のアイドル=ライブアイドル」と呼ぶのが無難だろう。構造はインディーズバンドと同様で、ライブハウスのブッキングイベントに出演し、中にはグラビアアイドルとして雑誌の表紙を飾るような人物もいる。また、事務所に所属し活動のバックアップを受けているところがある一方で、完全にフリーランスで活動しているアイドルもいるのだ。最近ではそのユニークさからテレビ番組、雑誌での露出も増えている印象ではあるが、ライブアイドルは現地に足を運んでこそ。握手会などのコミュニケートを楽しむことも彼女達の魅力のひとつである。


ライブアイドルを観に行きたいあなたへ

1000〜3000円の入場料がかかるものから、1ドリンクのみ、もしくは完全に無料で見ることができるものまで幅広くあるため、ライブアイドルは初心者の財布にも優しく迎えてくれる。まずは、ファンや本人達が動画サイトにアップした投稿を検索することで、動いてる姿や歌、音に触れることができる。そうやって少しだけ前もって情報を得て、実際に目と耳、場の空気に触れてみるのも良い。余談だが、ライブ会場の物販でアイテムを購入する際はあらかじめ1万円札を崩しておき、千円札で会計することをおすすめする。ライブアイドルは個人商店のようなものなのだ。


2015年、注目のライブアイドルグループ

amiina
山井あみ、かわいみいなによる中学2年生デュオで、2人の名前をつなげて「あみいな」として小学生時代にデビュー。当初はオリジナル楽曲がなかったため、自身のチョイスでももいろクローバーZの曲などをカバーしていたが、2013年夏から現在のレパートリーへと続くオリジナル曲が生まれた。アイドルライブの会場のイメージと言えば光る棒をかざし、ステージでパフォーマンスするメンバーへのコールなど浮かべる人も多いと思うのだが、amiinaライブにおいては楽曲とそのパフォーマンスを静かに見届けるファンが多いように思える。小さな頃からダンスを習っている2人によるしっかりしたパフォーマンスに、メジャーアイドル楽曲のわかりやすいポップさとは違った、巧妙な音で構成された楽曲も魅力。



森永まみ
「アキバ系アイドル」を多く送り出したマーベル・エール所属で、2007~8年から活動を開始。5年超のキャリアを誇るが、現在もライブハウスを中心に活動している。当初は声優としての活動を志していたようで、ライブ会場で手売りされているCD-Rの曲以外のトラックには短編音声ドラマなども収録されている。アップテンポのポップナンバーからミドルテンポの胸キュン王道アイドルソング、8bitゲームサウンドが印象的な曲など幅広くレパートリーを持ち、リップシンク(口パク)も多くあるシーンにおいて生歌でステージをこなしているところが高く評価出来る。2014年12月には自身のタレント生命を賭けたワンマンライブを開催し、見事目標達成で活動を継続することに。動員の伸び悩みなどから解散・引退を賭けたイベントを起こすライブアイドルもちらほら見かける昨今、その「人質作戦」に卑怯だとの声も多く、筆者もどうかと思ったのだが、ほかに代替えの利かない彼女の個性に消えて欲しくないのでイベントに足を運んだのだが、パック入りの納豆が宙を舞ったり、激辛カレーに挑戦VTR上映を転換に使ったライブは、パフォーマンス以外も楽しい時間となった。



POSH
「平成のシンデレラ」をキャッチフレーズに活動する4人組アイドル。ライブ活動の他に撮影会なども頻繁に行い、撮影を趣味としたアイドルファンからの支持が厚い。もともと、ジュニアアイドルとしてグラビア活動を行っていた町田有沙を中心に結成されたユニットだが、年齢を重ねていくうちにセクシー路線にならざるを得ないことに懸念を抱いていた彼女はグラビア活動から一線を退いたようである。ブルーの華々しいドレス風衣装や、ライブのことを「舞踏会」と呼ぶ以外に特にシンデレラっぽさは感じないのだが、真剣に取り組むステージと、何気に続いているオンライン放送でのトーク番組で鍛え抜かれたトーク力で楽しませてくれる。歌やダンスがうまいわけではないのだが、つたなさの中に光る笑顔に惹きつけられるものがある。



夢幻レジーナ
耽美・頽廃的な歌詞にゴス、メタル要素を含むバンド寄りの楽曲でパフォーマンスするユニットで、グラビアアイドル出身メンバーを多く含む。自身もグラビアアイドルとしての活動歴を持つ若原麻希がプロデュースし、グループコンセプトと作詞を自らこなす一方、メンバーが抜けた時は代理で彼女がステージに立つこともある。現在CDを2枚リリースし、活動から2年目を迎え充実してきているが、最後に加入したソロ活動も平行していた水月エナがソロに専念するため、2015年からまた違った顔ぶれでの活動となる。編成を変えながらもグループとしてのキャリアを築き上げていく様を見守るのもライブアイドルの楽しみのひとつなのかもしれない。



STARMARIE
今年で活動6年目を迎えた「ファンタジー」をテーマにしたユニット。メンバーの脱退・加入を経て、現在は5人編成で活動中。アイドル楽曲らしからぬ「ミステリー/ホラー」テイストの歌が特長で、ダイナミックな動きで魅せるパフォーマンスもかっこいい。海外の日本見本市系イベントでも多数ライブをこなし、ほかのアイドルユニットとは違ったファン層を形成しているのも興味深い。一方で、神田のオフィスビルの路地裏にある、所属事務所が運営する小さなホールでのライブも定期的に行っている。最新シングルのタイトルは「サーカスを殺したのは誰だ」。サスペンス度が高いが、握手会に参加してみると明るくかわいい笑顔が見られる。そのギャップもまた面白い。



はちきんガールズ
高知県出身のガールズユニットで、高知県観光特使、フィギアや模型で有名な海洋堂(現社長の父が高知出身)のイメージガールも務める。現在東京に活動拠点を移し「脱藩」中だが、地元名産にまつわる歌を豊富に持ち、地元PR活動に積極的なご当地アイドルである。地元球団の公式チアリーディングチーム出身で、「無人島でも生き残れるメンバー」を集めたとのこと。ダンスや歌唱面でも磨き抜かれており、力強さとしなやかさを併せ持つライブパフォーマンスが魅力。2014年12月現在、メンバーの平田伊梨亜がオックスフォード大学へ留学中の為、中~高校生メンバー3名で活動中。地方に拠点を持ちながらも地方色のないユニットも多く存在する中、地元名産ゆずのサンプリングイベントや、よさこいイベントにも出演をし、ご当地カラーを保っている。ライブハウスのアイドルブッキングイベントから物産展、ホビー系イベントなど様々なライブ活動を行っているのもユニーク。



タカミジュン

アイドルウォッチャー。雑誌『TRASH-UP!!』にてライブアイドルの動向を追ったコラム『ライブアイドル音源探求の旅』を連載。
Twitter:@atmkblog


アイドルウォッチャーが推す、2015年注目のアイドル 6選 関連記事
クラブシーンのエキスパートが過ごした、2014年の東京 | 2014年の音楽シーンであった21のこと

※記事初出時、BABYMETALの活動経歴の情報に、誤解を招く表記がありました。お詫びして、訂正いたします。(2014/12/30 12:00)

テキスト タカミジュン
※掲載されている情報は公開当時のものです。

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo