映画『ゴーン・ガール』レビュー

サスペンス・スリラーの天才、デヴィッド・フィンチャーによる新たな衝撃作。

© 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
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『ゴーン・ガール』タイムアウトレビュー

『ゴーンガール』は、10年に1度は出てきてほしいと願うようなハリウッド・スリラー映画だ。脚本は原作小説を書いたギリアン・フリンが手がけている。そして監督は、『セブン』、『ゾディアック』、『ソーシャル・ネットワーク』のデビッド・フィンチャーが努めており、『アメリカン・サイコ』のようなスリラー映画で、コメディーの要素があり、観客を振り回すような予想を裏切る展開を繰り広げる。

ニューヨークでライターをしていた夫婦は、ある事件をきっかけに旦那のニック(ベン・アフレック)が職を失ってしまう。さらに、家族が病にかかり、退屈な田舎ミズーリ州に引っ越すことに。この5年間に渡る波瀾万丈な夫婦の結婚生活が早い段階で描かれる。そして、エイミー(ロザムンド・パイク。素晴らしい演技をこの作品でみせた)の失踪という事件が起きる。その日、ニックは隣人からの電話で、猫が玄関から抜け出したことを聞き自宅へ。すると家中には、ガラスが散乱しエイミーの姿がなかったのだ。警察とともに、マスコミ、マンハッタンに住むエイミーの両親が駆けつけ、犯人探しに躍起になるメディアの熱気と暴走が始まる。

進む調査と、ブルックリンの褐色の家に住んでいた時の幸せな日々のフラッシュバックの画面とを切り換えながら、相容れない2つの対比によってフィンチャーは不吉な雰囲気を醸し出している。監督のイメージ(撮影技師ジェフ・クロネンウェスはこれを見事に捉えられている)は作品にしっかりと表れており、背筋が凍るような寒気でぞくぞくさせてくれる。『ドラゴン・タトゥーの女』制作のプレッシャーから完全に解放され、フィンチャーは自負を持って、表現の部分で難解なテーマの素材に改良を加えている。

『ゴーン・ガール』は、悲しいロマンティックドラマのように思えるが、「あの事件」が起こるまでの話に過ぎない。その後は観たこともない展開が待っている。夫婦の意識に対する、病的な風刺。ジョニー・コクランの代弁者としてのテイラー・ペリーの存在だけで笑うには十分だが、この映画にはより深い面白さがあるのだ。「永久に愛し合う」ではあまりに単純すぎる。映画館で衝撃を受けてくるといい。

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『ゴーン・ガール』R-15

2014年12月12日(金)全国ロードショー
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本、原作:ギリアン・フリン
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・スミス、タイラ-・ペリー、キャリー・クーンほか
配給:20世紀フォックス映画 (C)2014 Twentieth Century Fox

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テキスト ジョシュア・ロスコフ
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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