インタビュー:モンドくん

10歳の天才画伯が語る、アーティスト活動と将来の夢

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インタビュー:モンドくん

モンドくん(本名:奥村門土)に会った時、彼はトレードマークのベレー帽にストライプTを合わせ、紙コップの糸電話で無邪気に遊んでいた。一見すると普通の10歳児。しかし一方で、その電話の相手が出版社の人だったり、この場所も彼の個展だったりと、ただ者ではないオーラが漂っていた。

私自身、子どもにインタビューするのは、今回が初めてだ。しかし、信じられないほど繊細かつ大胆で、表現力豊かな肖像画に囲まれ、この小さい画伯と話していると、まるで幼い少年に扮した大人と会話をしているような気にもなった。例えば、差し色についての質問。彼の作品は、モノトーンが多いのだが、時折アクセントでカラーを使用していることに対して、彼は「その人にとって特徴的な部分に色をつけたりします。口だったり、洋服だったり」と、まるでインタビュー経験豊富なアーティストのように答えた。そしてフォトグラファーがレンズを向けると、しっかりあごを引くのだ。

繰り返すが、彼はまだ10歳である。


3歳から絵を描き始めたという、福岡在住のモンドくん。アートのレッスンは一切受けたことがなく、その独特なスタイルは完全にオリジナルだ。作品は、デヴィッド・ボウイやジョン・レノン、ボブ・マーリーなど、著名人の肖像画が多く、父親でアーティスト(通称:ボギー)のレコードコレクションからの影響が大きいと語る。

2013年4月からは、父親にテーマを渡され、1日1枚作品を作成し、ブログに投稿するように。それを1年以上続けた結果、今や彼のブログには1日4万以上のアクセスがあり、度々メディア に取り上げられるなどして、日本のみならず、世界でも注目を集めるようになった。最近では、雑誌『ヨレヨレ』の表紙デザイナーや挿絵も担当している。


「絵が描けなかった日もありましたか?」という質問に対して、「眠くて描けなくて、次の日に2枚描いたこともあります」と回答。また通常、1枚の肖像画を完成させるのに、15分〜20分かかり、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のアルバムカバーに至っては、完成までに1週間かかったという。

個展に並ぶ作品の中で、日本のインプロヴィゼーションバンド、ヒカシューの肖像が比較的初期のもので、一番のお気に入りは、2014年1月7日に描いたゴッホの肖像画。各作品の隅にある赤い落款印は、ジャック・ニコルソンの作品に感動した、Acid Mothers Templeの河端一が、その作品と自分の似顔絵を描いてもらったお礼に、特別にデザインしたものである。


どのような道具を使っているのか尋ねると、彼はすばやくペンケースを取りに行き、複数のなまえペンを並べ、「3本で108円(税込み)です」と教えてくれた。真のアーティストには、高価な画材は必要ないのだ。

将来の夢について尋ねると、「小さい頃は寿司職人か大工さんになりたかったけど、今は絵を描いてることが楽しい。だからまだ決めないようにしています」と答えた。しかし、彼の作品を観れば、将来に向けて可能性が無限に広がっていることは、言うまでもないだろう。


個展の詳しい情報はこちら 書籍『モンドくん』 (1,600円)、 および彼の作品が印刷されたポストカード、ステッカー、トートバッグなどもギャラリーにて販売中。

Photos by 豊嶋希沙
By アンマリー・ラック
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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