2015年02月12日 (木) 掲載
ミシュランガイドも食べログもない時代、自らの舌と審美眼を頼りに、稀代の美食家として確固たる地位を築いた、北大路魯山人。時に辛辣な彼の美学は、多くの物議を醸しながら、今なお現代の食通に受け継がれている。
2013年、パリのギメ美術館で、アートに目のないパリジャンを驚かせた『L’art de Rosanjin』は、そんな魯山人の思想をもとに、日本が誇る美食をテーマとするアート展だ。食とデジタルアートという新たな組み合わせで大きな反響を呼んだこの企画は、この春、装いを変えて蘇る。ここでは、本展のエスプリとスタイルを受け継ぎながら、銀座 久兵衛をはじめとする魯山人が懇意にした東京の名店が集結、匠の味を直に堪能できる『食べるアート展』として展開する。我々タイムアウト東京も微力ながら、東京の美食を世界に伝える手助けとして、企画に関わってきた。
3月から始まるイベント公開に先駆け、コンテンツの一部をダイジェストで紹介しよう。
和食に欠かせない旬の思想をテーマにした、デジタルプロジェクション。何もない皿の上に次々と投射されるのは、一流料亭による旬の盛りつけの数々だ。新感覚のアトラクションで、料理人の美意識を学ぶ。
銀座 久兵衛、そして紀尾井町 福田家による、限定メニューの提供。憧れの名店の味を気軽に体験できるのは、彼らと親密な関係にあった魯山人のおかげ。稀代の食通に感謝しながら、彼が愛したその味を、とくと堪能しよう。
当時、革新的な思想で世間を驚かせた魯山人に敬意を表し、9年連続でミシュラン一つ星獲得中のKEISUKE MATSUSHIMAが、新技術を用いた特別メニューを提供する。新しい感覚の美食を体感したい。
和食のすごさは、料理だけではない。ここでは、日本橋の老舗、てん茂のもてなし技術を、バーチャルで体験できる。揚げたての天ぷらの音をBGMに、一流の和のもてなしを感じてみては。
贅沢な花見空間を演出する桜の木のオブジェと、春をイメージしたプロジェクション。桜のたもとで供される美食とともに、ひと足早い春を愛でよう。
魯山人作の皿を、最新技術で精巧に再現し展示。「食器は料理の着物」と、料理のみならず食器にも多大なこだわりを見せた魯山人。絵画のようにも見える一枚を、隅々まで観察できる。
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