(C) Keith Haring Foundation
2010年04月07日 (水) 掲載
六本木『ハートランド』で、中村キース・ヘリング美術館とのコラボレーション企画、キース・ヘリングポスター展『HEARTLANDギャラリー 7周年記念キース・へリング特別展』が開催されている。毎春恒例となっている同イベントは今年で4回目を迎えるが、2010年は31歳で亡くなったキースの没後20周年とあって、例年以上に力が入っている。今回の展示では、キース・ヘリング作品の世界的なコレクターで、中村キース・ヘリング美術館の館長である中村和男が、自分のコレクションに加えるべきか悩みながら1点1点集めた作品のなかから、80年代当時に、キースが他のアーティストたちとコラボレーションした作品ばかりが選ばれた。
ハートランドのクリエイティブ・プロデューサーである中村道生に、六本木の街でキース・ヘリングの作品展を開催する意義を聞いた。
中村さんも、キース・へリングに特別な思い入れがあるのですか?
中村:中村キース・ヘリング美術館の館長と偶然同じ名前なんですが……(笑)。僕が広島で大学に通っていた頃に、『ピースコンサート』という核断絶を訴えるイベントがあって、ボランティアとして参加していました。キース・ヘリングは、そのコンサートのビジュアルを担当していたんですよね。実は、原宿にポップショップがあった頃に、キースは広島に来たことがあって、僕は彼をアテンドしたことがあります。1989年、キースが亡くなる前の年に、実際に会ってるんです。でもその頃はまだ学生だったし、すごい有名人に会えるというミーハーな気持ちが大きかったですね。
しかも、僕の大義はピースコンサートにあって、「平和がいいに決まってる!」っていうメッセージを広めることのほうが大切でした。キースの抱えている問題は、その当時の僕にとって深刻ではなかったんですよね。だけど、尽力していた『ピースコンサート』が『ACT AGAINST AIDS』というイベントに変わってしまい、僕はなんとなく無力感を味わって、その後ヨーロッパを4年ほど旅したんです。その旅の途中に、キース・ヘリングが亡くなったり、フレディー・マーキュリーが亡くなったことを知って、エイズや、キース・ヘリングの存在に現実味が帯びてきました。
六本木で、キース・ヘリングのポスター展をすることに、どんな意義を見出していますか?
中村:ポスター展にこだわっているのは、ポスターでもTシャツでも、1ドルの作品でも良いから、全世界にアートを広めたいとポップショップを作ったキースの作品だからです。 そして、キース・ヘリングの作品が生まれた時代背景と、六本木という立地がとても良く合っていると思います。バベルの塔ではないけれど、金融危機を招いたような会社が六本木にはたくさんあって、そこで働く人たちが集まるハートランドという場所に、バブルの象徴でもあるモダンアートが飾られているというのが、ばっちりはまるというか。 ここに来る外国のお客さんからも、とても反応が良いです。やはりこれだけの数を一堂に集めて展示している場所はニューヨークにもないんじゃないでしょうか。
それはやはり、中村キース・ヘリング美術館が所蔵している作品の素晴らしさにつながっているんでしょうか。
中村:個人のコレクションであれだけの数を所有していることと、世界で初めてのキース・ヘリング美術館ですからね。本当に素晴らしいと思います。ぜひ足を運んで欲しいと思いますが、八ヶ岳の自然の中に調和するモダンな建物があって、それが美術館です。併設された小淵沢アートヴィレッジには大きなコートフィールドと、野外スパもあって、大きな音を出してパーティをしたりもするんですが、とにかく開放感があります。とても良い雰囲気です。
なんだか、ニューヨークで生まれ育ったキース・ヘリングのストリートアートが、安住の地を八ヶ岳に見つけた、という感じなんですよね。
ニューヨークの都会で生まれたものが、大自然の中でしっくりくるって不思議ですね。
中村:実は小淵沢って、かつては縄文文化が隆盛を極めた場所です。古くから文化が生まれる素養があったエネルギーあふれる土地に、他民族が集まる大都市ニューヨークで生み出されたキースの作品が安住している、すごく面白い構図だと思います。
『HEARTLANDギャラリー 7周年記念キース・へリング特別展』
期間:2010年4月27日(火)まで
場所:ハートランド(ヴェニューはこちら)
キース・ヘリング没後20周年記念展『 絆 - People, Love & Peace - 』
期間:2011年1月10日(月)まで
場所:中村キース・ヘリング美術館(ヴェニューはこちら)
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