インタビュー:レディー・ガガ

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インタビュー:レディー・ガガ

Photo by Mariano Vivanco

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レディー・ガガのインタビュー記事は、実際に会う等身大の彼女が“どんな人物か”に説明を費やすものが多い。だが、見落とされがちなのが、彼女のユーモアのセンスだ。彼女自身がそれを伺わせるような側面を見せないせいもあるが、彼女のユーモアはブラックで、ドライで、英国的だ。自身が置かれている馬鹿げた状況を理解していることがわかる。彼女の発言はいつも皮肉交じりなのだ。

ガガは、恋愛や他のアーティストとの出会いなども気軽に話してくれる。ラッキーであれば、ライザ・ミネリに会ったときのことを身振り手振りをつけて再現してくれる。ミネリはガガの控え室に入るなり、着ていたジャケットを床に投げ出して横向きにポーズを取り、「写真は必ず左から撮ってよ!」と命令した。ガガは「なかなかすごい入場の仕方ね」と言い、ミネリは(ガガが真似して)「そうでしょ!」と答えたそうだ。

だが、テープレコーダーのスイッチが入った瞬間、ガガは真剣になる。メディアの絶え間ない批評を意識してか、いささか反論を唱えすぎる傾向があるように思う。浅い考えを持つポップスターを避難する批評家たちは、ガガのような深い信念を持つ者も同様にバッシングする。彼女にとって、こうした批評を理解するのは難儀なことだろう。

彼女は自分の口から出た言葉が、瞬く間にニュースのヘッドラインになることを理解している。だからこそ、録音インタビューでは他の女性アーティストについて言及することはない。たった一言でも発言してしまえば、それが「あんな奴ぶん殴ってやる」や「考えるだけで病気になるわ」といった不幸なゆがみを招いてしまうのだ。また録音テープがまわっている間、彼女がしゃべらないことがある。それは、自身に対する陰謀説だ。だが、その陰謀説はあまりにも馬鹿げていて、どのみち記事にはできないものだったので、テープを止めたのは余計な作業に終わった。

確信がもてないとき、彼女は、自分が行う全ての行為は彼女のファンのためだという。評論家による賞賛について話をした際に、ガガは「自分のファンによる批評で賞賛される方がずっといいわ」と言った。ファンが彼女に対して批評的になれると(なれないはずだ)考えるのは、興味深い。ガガのファンに対するやや執着的なアプローチが理解できるだろう。多くの芸能人は、ファンがいるのを当然の事のように扱うが、レディー・ガガは、ファンに背を向けられることを恐れているのだ。

201日間にわたって開催された『モンスター・ボール』のツアーが、今月初旬に終わったばかり。「私は一度だってライブをキャンセルしたことはないのよ」と、ツアーを振り返って、ガガは言った。「キャンセルが起きたのは、悪天候のときと、フランス政府が市内への移動を認めなかったパリのときだけよ。(顔をしかめて)最後のO2スタジアムでのライブの時は、ずっと食中毒だった。悪夢で、本当に辛かった」

“危機一髪”の場面はありましたか?
「たくさんあったわ」。私は、彼女に聞かないようにしていたが、聞かざるを得なかった質問をぶつけた。「ステージで脱糞しましたか?」レディー・ガガは質問に笑った。他の人ならば同じように笑うことはできなかっただろう。「吐いただけよ!」と彼女は言った。そして、前に身体を乗り出し、「私には大腸がないのよ」と、小声で言った。

レベッカ・ブラックの曲『フライデー』を“天才”としたあなたの評価は、残念でした。
「(いわくありげに)まだ曲を聞いたことすらないのよ…」

そうなんですか。実際にとてもひどいものでしたよ。
「こう言わせてちょうだい。歌は聴いたことすらないの。ただ、彼女がツイッターでずっと話題になっていて、YouTubeでもヒットしているってコメントしたにすぎない。実際にはなにも聴いていないのよ。これであなたの悲しみが和らぐといいのだけど…」

あなたのアルバムには宗教を彷彿とさせるイメージが多く使われていますね。神とはいったい何か、または誰なのでしょうか。
「自分のファンの中に神がいると思う」

なるほど。
「私は自分のファンを崇拝しているの。神がどんな外見かなんて、誰もわからないと思っている。彼、彼女、または“それ”が、ある外見をしているという信仰を持つ人もいる。キリストへの恨みなんてないわ。私がやっていることは、それらとはまったく関係ないことなの」

どういうことですか?
「もっと言うと、私が何年もかけて対峙してきた、油断ならない教えとの関係性のことかもしれない。神がある外見をしていて、何をしてきて、愛するべきか、恐れるべきかという教えよ」

自分の作品で気に入らないものはありますか?
「『テレフォン』のビデオは見ることさえできないわ。本当に嫌いなの」

何が問題なのですか?
「ビヨンセと私はとても気が合うの。だけどビデオの中にはたくさんの馬鹿げたアイデアがあって、ビデオの中に映るものは私の頭がそのアイデアばかりが押し出されていて、もっと自分自身を整理出来たら良かったのにと思う。私はポップジャスティス(インタビュアーが運営している音楽サイト)の掲示板に書き込みしている大半の人が『アレハンドロ』のビデオを好きなじゃないことは知っているけど、あれは私の一番のお気入りなの。おかしなことね」

それはビデオがシンプルな作りだからでしょうか。
「(頷いて)ゴテゴテしていないわ。だけど多分それは私自身の怪物かもしれない。人は私の頭の中のぐちゃぐちゃなものが好き、でも私は恐れているのよ」

おそらく、あなたは自分の作品を判断するのには適していないのかもしれませんね。
「確かに私は判断するのに不向き。自分のベストが出せた時はわかるけど」

彼女がスタジオで次から次へと曲を流すにつれ、今週世界中で発売されたこのアルバムは、ガガの最高傑作であるように思えてきた。『アメリカーノ』はメキシコ移民についての曲で(「ロサンゼルス東部で出会った女の子との、レズビアンのラブストーリーの暗喩なの」とガガはいう)、『マリー・ザ・ナイト』は「とても純粋で、ダイレクトなラブソング」。ガガは各曲について驚くほど熱心に細部にまでわたって説明してくれ、マネージャーがそろそろ切り上げる頃だと促すと、少し機嫌を損ねたようなそぶりをみせた。

「何かお酒が必要ね」とガガは提案した。「私は胸の内をあなたにさらしたわ。一緒に飲んで戻しましょう」。

地位を築いたアーティストとの、類い稀なるプレイバックセッションだった。新作の宣伝用の試聴会は、たいてい閉ざされたレコード会社のオフィスで行われ、曲の説明は、コピーされたプレスリリースに載っている、校正済みのわずかな引用で終わることがほとんどだ。

「聞きたかったことは、今日全部聞けたでしょ」とガガは言った。それから彼女は一瞬動きを止め、そしてドラマティックに大声で叫んだ。「明日は…もう聞けないわよ!」

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テキスト ピーター・ロビンソン
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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