インタビュー:バトルス

“逆カラオケ”ロッカーたちについて知るべき10のこと

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インタビュー:バトルス

バトルズ :(左から)デイヴ・コノプカ、ジョン・ステニアー、イアン・ウィリアムス

実は、彼らはまだ3人でのバンド活動に慣れていない。4月3日のSonarSound Tokyo 2011では、グループ結成時のメンバーのひとりが去ってから2度目となる演奏を行った。多くの楽器演奏とボーカルを務めるタイヨンダイ・ブラクストンが、2010年夏にバンドを去ったのだ。デビューアルバム『ミラード』(2007年)に続く待望の作品をレコーディングしていた頃に起きたことだった。残ったメンバーのデイヴ・コノプカ、ジョン・ステニアー、イアン・ウィリアムスはスタジオ作業を続行させることを決意し、ボアダムスのリーダー、山塚アイをゲストボーカルに迎え、シンセポップの先駆者であるゲイリー・ニューマンの力を借りて作品を完成させた。そのニューアルバム『グロス ドロップ』が、4月27日(水)に発売される。グループはいまだにこのアルバムをライブでどのように演奏するかを模索中だが、これは素晴らしいアルバムだ。アルバムを完成させたばかりのコノプカに、バンドの作曲プロセスの変化、そして東日本大震災直後の日本へあえて来たことについての話を聞いた。

1. 日本には強い思い入れがある

「僕らの最初のツアーは日本だった。そこから全てが始まったんだ…。だから今回もツアーが始まったわけだけど、スタート地点は日本以外、考えられない。日本の皆はいつも応援してくれてたし。ライブバンドとして再スタートを切るための、いうなれば安全地帯なんだ」

2.『グロス ドロップ』はビールによって完成した

「最悪だけど、僕らは6ヶ月もスタジオに泊まり込んでた。いつもギターの横で寝たよ。Tシャツとショートパンツでスタジオ入りしたのに、出るころには外は大雪だったよ。タイヨンダイはちょっと手伝ってくれたけど、途中で辞めた。だから彼のパーツは全部消して、歌を書き直して、新しい曲を作って…。大変だった。レコーディングに影響はなかったけど、お酒の量も増えていった。ビール瓶のリサイクル箱がこんなになって(巨大な瓶の集合体の上にさらに瓶を置くジェスチャーで)、落ちてきませんように、ってね……」

3. 風変わりな音楽界のスターが参加

「僕らは、今ならアレサ・フランクリンだとか、どんな人とでも仕事ができる(と思っていた)。もちろん断られるだろうけど、聞いてみるだけ聞いてみようよ、と。憧れてた人たちと仕事ができるチャンスがたくさんあるじゃないか、ってことになって。ゲイリー・ニューマンは当初から一緒にやりたい人リストのトップで、最後ギリギリで間に合ったんだ」

4. ゲイリーは、バトルスが“変わってる”と思ってるようだ…

「彼のショーを見て、楽屋に戻ったら、ゲイリー・ニューマンが近寄ってきて(英国アクセントを真似て)“オーケー、そうだね、それで、まぁ、会えてうれしいよ、うん。君らすごく変わってるね。君らの音楽はものすごく変わってる”って言うんだ。ゲイリー・ニューマンが僕らのことを変わってるって言ったんだぜ?最高だよ」

5. ライブでのゲストボーカルはまだ未定

「だから今の状況は逆カラオケとでも言えるんじゃないかな…。等身大の、170センチくらいのビデオスクリーンを2つ用意して、キューと同時にそこに映し出せば、2人のボーカルが歌ってるように見えないかな。マックス・ヘッドルームっぽいけど、うまくやれば、ボーカルパートに、かなりクールな演出ができるんじゃないかなと思っている」

6. 理解できなくても大丈夫

「みんな僕らのステージを見て、ようやく“ああ、彼らがやってることってこういうこと?”って理解できるんだと思う。一歩外から見てみれば、この時点で理解できてる人なんていないと思う」

7. バトルスは何か奇妙な類似点を刺激する

「僕ら一人一人は、印刷物なんかのCMYKの点一つ一つのようなものなんだ。遠くから見てみると、一つ一つが集まって大きな画像になっている。だけど僕らは一人一人が違う色で、ステージ上ではそれぞれが自分のスペースでやるべき事をやっているからね」

8. バンドはLogicを駆使した

「前は紙に曲のアイデアを書いて、どの部分がいいか話して、どれくらい小節が必要か話し合って、次にくるのはどのパートがいいか調整していくようなやり方だった。今回は、パートごとにまず作ってみたんだ。アイデアを分析して、感触を掴むためにすぐレコーディングする。できた各パートを曲にしていくため、LogicやPro Toolsを使った。そこから、少なくとも曲のラフスケッチが出来上がるわけだから、それをようやく演奏してみる、というような流れだったんだ」

9. 過去のヒット曲も忘れちゃいけない

「そのうち過去の曲も(ライブ用に)つくり直すつもり。新曲の演奏に一生懸命になっていて、古い曲はあまりやってない。そこに、僕らが3人で演奏するという新しい要素があるだろう。結果的に『アトラス』みたいな曲を演奏をすると思うんだけど、このツアーの目的は、アルバム発売前に、みんなに新しい曲を紹介することだからね」

10. 『にせんねんもんだい』 は最高だった

「カトマンという友人が『にせんねんもんだい』のマネジメントをしていて、日本にいるときはいつも彼らに会うんだけど、しばらく競演はしてないね。12月にATPをキュレートするんだけど、僕の最初のチョイスは“にせんねんもんだいを呼ぼう”だった。彼らがSonarSound Tokyo 2011で演奏しているのを見たけど、ミニマルで超長い曲をやる彼女らは素晴らしいよ。『にせんねんもんだい』がATPを演奏するのはものすごく楽しみだ。ツアーにも一緒に来てほしいよ」

『グロス ドロップ』は2011年4月27日ワープ・レコード/ビート・レコードより発売

ウェブ:bttls.com/

By ジェイムズ・ハッドフィールド
翻訳 佐藤環
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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