映画『ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜』レビュー

ミック・ジャガーが製作に参加した音楽映画

(C)Universal Pictures(C)D Stevens
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『ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜』タイムアウトレビュー

この音楽伝記映画には魔法が宿っている。俳優チャドウィック・ボーズマンはソウルミュージック界のスター、ジェームス・ブラウンの役を100%で演じ切り、彼の動き、魂、腰を回転させる仕草を再現するだけでなく、声帯に熱狂的なハミングバードを棲まわせていた(やむを得ず曲に合わせてリップシンクしていたが)。そして、37歳の俳優は恐れることなくジェームス・ブラウンの自我に飛び込み、その仮面の下で瞳を燃やしている。

テイト・テイラー監督(映画『ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜』)が自信を持って挑んでいるのは、孤立してゆく男をテーマに観客の心を捉える物語を作り上げることだ。本作でテーマとなっているのは、ありがちな意志の強い恋人ではなく、仲間である旅人である。昔ながらの一流宣伝マン、ボビー・バード(ネルサン・エリス)は、ジェームス・ブラウンが持つ炎のような彗星に道を譲るために、自身が持つ星を薄暗く輝かせることを学んだ。このような自己否定的なシーンは観るに耐えられないが、一方で魅力的でもある。さらに、バンドのリハーサルでメンバーがファンキーに演奏できないミスに対してジェームス・ブラウンが悪名高い罰金を科すシーンでこの映画は完成する。

本作にはわずかな失敗も見られるが、映画『ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜』は、ジョージア州で過ごした悪夢のような幼少時代のフラッシュバックから、狂乱のライブを開催するエンターテイメントまで、大部分のシーンが不思議なほど完璧に描かれている。また、ジェームス・ブラウンを長年支えたマネージャーを演じるダン・エイクロイドはプライベートジェットに乗る一瞬のシーンでこの映画を食ってしまった。観るべき作品だ。


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『ジェームス・ブラウン 〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜』

2015年5月30日(土)シネクイントほか全国公開

監督:テイト・テイラー
製作:ミック・ジャガー、ブライアン・グレイザー、ヴィクトリア・ピアマン、エリカ・ハギンズ、テイト・テイラー
出演: チャドウィック・ボーズマン、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ネルサン・エリス、ダン・エイクロイドほか
配給:シンカ/パルコ
(C)Universal Pictures (C)D Stevens

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翻訳 小山瑠美
テキスト ジョシュア・ロスコフ
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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