西武新宿線、ご近所ガイド 沼袋人情編

新井薬師前、沼袋、野方を称した「新沼野(あらぬまの)」駅周辺を3部構成で掘り下げる

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西武新宿線、ご近所ガイド 沼袋人情編

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西武新宿駅から本川越駅までを結ぶ、西武新宿線。黄色い電車が各駅停車する、新井薬師前、沼袋、野方の駅前は、その3駅から程近いJR中央線の中野や高円寺駅前と比べて知名度も低く、のどかな雰囲気が漂う。そんな「用事がなければ降りない駅」とまで言われがちな場所だが、降りてみれば西武新宿線の谷根千的存在と言っても過言ではないほど、味わい深い街だ。今では数少なくなった銭湯や卓球場が地元の人で賑わう沼袋、野方の商店街は活気に溢れ、新井薬師前には有名な梅照院から非常に個性的な公園まである。そして、どの駅前もグルメスポットとして、主に飲ん兵衛たちから、厚い支持を得ているのだ。勝手ながら、タイムアウト東京はこの取材を機に、新井薬師前、沼袋、野方を、西武新宿線の新沼野(あらぬまの)と命名した。知られざる西武新宿線ワールドにどっぷりと浸かってみてほしい。

沼袋で過ごす1日は、朝10時からスタート

駅前を探索すれば分かるが、沼袋は1人でも暮らしてみたくなるような暖かい街。そう感じさせる要因は、地元の人々が愛する卓球場やコインランドリーが付いた銭湯、穴場な居酒屋、駅のちょっとした気配りにある。当記事では、そんな沼袋の人情を全身で感じるべく、朝10時から始まる卓球のトレーニングを受けることを提案する。少し立ち寄っただけでは分からない魅力を味わうためにも、朝から汗を流してみよう。

カタオカスポーツ

運動着、ラケット、シューズを持って朝10時にカタオカスポーツに集合すれば、卓球教室に参加することができる。同店は、1981年創業の卓球専門店。卓球用品の販売を始め、卓球教室やジュニア卓球チームの育成など、地元の卓球文化に密着した活動を行っている。毎週、金曜日と日曜日をのぞく午前中に開かれる卓球教室は、経験の有無にかかわらず1人1,600円で誰でも気軽に参加可能。コーチと実践に近い効果的な練習がしたい人は、水曜日に開催されている一球練習に参加してみよう。初心者はそれ以外に開催の、多球練習がおすすめ。卓球用品を持っていない人は、同店で買い揃えてしまうのも良い。

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運動したらランチをとろう

卓球の練習は12時15分に終了。練習で、少しはラリーが続くようになっただろうか。思う存分汗を流した後は、ランチをとろう。ここでは沼袋で注目すべき、そば屋とラーメン屋を1軒ずつ、ピックアップした。

朝日庵

1924年創業の老舗蕎麦屋。仕込みに新井薬師の湧水を使用するなど、代々受け継がれてきた製法を守り続けている。おすすめの品は、『天丼セット』(1,550円)。蕎麦と天丼のセットでボリュームある逸品は、運動後の食事にぴったり。蕎麦が素晴らしいのはもちろんだが、天丼の評価が高いのも同店の特徴。創業当時から火入れを欠かさない丼タレは、甘すぎず辛すぎず、あっさりとした旨味があり、絶品だ。

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ごたる

沼袋南口にある人気の、王道博多ラーメン店。1番のおすすめは、定番の『博多ラーメン』(600円)。丁寧に下処理をすることで豚骨の匂いをおさえ、まろやかでさらりとした口当たりの本格的な豚骨スープになっている。卓上には辛子高菜、紅生姜、ごま、ニンニクなどが常備され、サイドメニューとして『明太子ごはん』(250円)、『ラードごはん』(220円)などもラインナップ。『明太子ごはん』と豚骨ラーメンとの相性は抜群だ。

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沼袋土産を買う

ランチをとって一息つけただろうか。満腹になったら、沼袋土産を買いに行こう。ここでは地元の人が愛するスイーツ専門店と、全国の刑務所で製作された「刑務所作業製品」の店を紹介。ほかではめったに買えない品を手に入れて帰り、みんなに沼袋自慢をしてほしい。

アビニヨン

沼袋駅から徒歩2分の場所にある、手作りスイーツ店。小さな店内には、趣向を凝らした80種類ほどのケーキや焼菓子が、所狭しと並んでいる。同店で買うべき商品は、沼袋名物『沼チョコ』。『沼チョコ』は、チョコレートのスポンジやクルミ入りクリームが地層のように重なり、様々な食感を楽しむことができるチョコレートケーキ。パッケージには「沼袋はじめてものがたり」なる、沼袋誕生秘話がプリントされていて、沼袋来訪記念土産にぴったりの一品。

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刑務所作業製品展示 販売ルーム

「刑務所作業製品」の常設展示場は全国いくつかの刑務所に併設されているが、刑務所以外で商品が常設されているのはここのみ。「PRISON」のローマ字と「マル獄」の文字がガツンと入った、函館少年刑務所が製作するマル獄シリーズ、『刑務所の前掛け』を手に入れれば、台所で存在感を発揮できること間違いなし。ほかにも幅広い種類の製品が置いてあるのでチェックしてみよう。

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風呂に入る

運動して買い物して、さすがに疲れてきたころだろう。時間も夕方になったなら、沼袋を代表するスポットの1つ、一の湯でひと風呂浴びよう。痒いところに手が届く、素晴らしい銭湯で心も体も温まれば、沼袋に住み着きたいと思うことだろう。それほど暖かみのある、すばらしい銭湯なのだ。

一の湯

沼袋駅から徒歩1分程の場所にある、老舗の銭湯。深夜まで営業しているので、サラリーマンや若者にも人気が高い。同店の湯は、肌に優しい軟水を使用。男女浴室にミストサウナが設置されているほか、男湯には露天岩風呂もある。料金は、大人450円、小学生180円、幼児80円(大人1人につき幼児2人まで無料)となっており、シャンプーやリンス、メイク落とし、タオルなどを無料で使用することができるので、手ぶらで入浴できる。普段東京の銭湯に行く人なら分かるが、ドライヤーや牛乳などが、他店と比べていちいち安い。安い上に、入浴後ビールを購入すれば、つまみが無料で付いてきたりもする。広々としたコインランドリーをはじめ、置いてあるものを好きに持ち帰ることのできるリサイクルコーナーや完全分煙された喫煙ルームなど、店主の思いやりが感じられる設備が整っている。

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そろそろ飲み始める

ひと風呂浴びた後は、ビールを飲む。これは酒飲みの常識の1つだ。ここでは、沼袋で今1番勢いのある焼きとん屋と、焼き肉通の間で話題の焼き肉屋を紹介。沼袋の夜は、酒と肉でシメよう。

やきとん たつや

沼袋の飲ん兵衛たちに大人気の焼きとん屋。野方グルメ編でも紹介した焼きとん界の名店、秋元屋で修行を積んだ店主による趣向を凝らしたメニューが特徴。焼きとんは1本100円からと、とてもリーズナブルな上、新鮮で絶品なモツを楽しめる。一口頬張ればジューシーなトマトと肉汁が滴る『トマト巻き』(130円)や、濃厚なカレーをパンに付けて食べる『もつカレー』(350円)もおすすめ。酒好きにはたまらない店だ。

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平和苑

焼き肉界にその名を轟かせる、知る人ぞ知る名店。店主が焼き方などを指南してくれるのが特徴なので、店主おすすめの肉をおすすめの食べ方で食べよう。1度は食べておきたいのが、『わさびカルビ』(1,500円)。柔らかいカルビをサッと焼いて、おろしたてのわさびをつけて食べるのがたまらない。本当に美味しい肉をほかより安く食べたいなら、絶対に来るべき店。人気店なので、必ず予約するべし。

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帰りに突然雨が降ってきたら……

思う存分沼袋を楽しめただろうか。酔っぱらってそろそろ帰ろうとした時に、突然雨が降ってきても、全く心配いらないのが人情の沼袋。なんと、沼袋駅構内には無料貸し出し傘立があるのだ。もちろん借りた傘は返さなくてはならない。つまり、傘を借りるたびに沼袋を再訪しなければならないということだ。抜け出すことのできない無間地獄も、沼袋であれば喜んで落ちたいところだ。

アンブレラハウス

沼袋駅構内に設置されている、無料貸し出し傘立。ボランティア団体「沼袋アンブレラハウスの会」の活動により、年間約6000本の傘が用意されている。突然の雨の際は誰でも利用できるが、借りた傘は忘れずに返しに来よう。

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タイムアウト東京編集部
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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