東京のベストレストラン 2015

タイムアウトロンドンのフードエディターによる東京のレストランレビュー

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東京のベストレストラン 2015

この数ヶ月間、東京に新しくオープンしたレストランに出向き、食べ歩くのに大忙しの日々が続いたタイムアウト東京編集部。そして、その成果をようやく紹介する準備が整ったので、ここで発表したいと思う。 タイムアウトマガジン5号「The Best Of Tokyo 2015」にて、昨年オープンしたレストランを中心に注目すべき様々なスポットを紹介した。そのフードセクションでは、タイムアウトロンドンから敏腕覆面フードエディター、ガイ・ダイモンドと、レビューアーのスーザン・ロウをゲストに迎えて、以下のレストランのレビューを行った。日本料理だけでなく世界各国の料理を楽しみたい人、コース料理に散財する覚悟のある人、六本木の夜遊びの後にどこかへ軽く立ち寄りたい人など。このリストから食べ物への熱望を満たすお気に入りのレストランを見つけてほしい。

鮨 りんだ

『二郎は鮨の夢を見る』かもしれないが、私たちは数週間の予約を待ったり、高すぎる代金を払わずに良い寿司バーに行けることを夢見ている。鮨りんだは、そんな店のひとつで、こだわりを持つ板前のいる店だ。また、板前の河野勇太は英語が堪能で、数年間ニューヨークで修行を積んだ経歴も持つ。同店では、コースメニューを注文して、矢継ぎ早に出されるセレクションを楽しんでみると良い。また、マグロやイクラのほかに、日本の外では滅多に見られない魚介類に出会えるだろう。

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鳥料理 それがし

急な階段を登ると、この隠れた名店と出会える。それがしは鳥料理専門店なのだが、ほかの焼き鳥屋やローストチキンの店とはまったく異なる。長いバーカウンターが備えられた同店には、クールなジャズが流れる洗練されたバーのような雰囲気が漂っているからだ。また、カウンター上に並ぶ様々な酒の瓶には縦横にラベルが貼られ、その酒の性格を視覚的に表現している(軽い、重い、冷たい、熱いなど)。自分好みの気になる酒を選び、3つのコース料理から注文してみよう。

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焼肉ステーキ あつし

日本では、1871年に天皇が肉食解禁の声明を発表するまで、牛肉を食べることはタブーだった。豊富な霜降りがあることで、ステーキ愛好家たちが最高とみなす日本の山形牛は、近年正当な名声を得るようになった。このような肉を提供する焼肉レストランは牛肉を祭る社であり、あつしは日本の牛肉に誇りを与えている。上品で暗く小さい店内には、光沢のある黒い大理石のテーブルに、韓国式の焼肉用ガスコンロが備え付けられている。黒い漆塗りの弁当箱の中に作られたダイニングのような雰囲気がある。

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塩尻醸造所(仮)

シェフの伏木暢顕がよくある近所のワインバーにひねりを加えた店。デザインを施していない快適な店内は、1組の古い靴のように料理とのバランスが取れている。メニューはシンプルなオプションから(ランチタイムの弁当は700円から)あるが、馬刺などの珍しいメニューを注文すると会計は一気に上がる。私たちが訪れた日のメニューの発酵料理のハイライトには、ワタに漬けて作る伝統的な塩辛とは違った、ひしおと甘酒に漬けたシェフ特製のイカの塩辛があった。

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HEINZ BECK

ヨーロピアンジョークはそれぞれの国によって様々だが、「天国では、コックはフランス人で恋人はイタリア人。地獄では、上司はイタリア人で警察官はドイツ人」というものがある。ドイツ生まれのハインツ・ベック氏は最初の職業としてシェフになることを選び、次に評判の高いレストラン経営者になるためにイタリアに移り、そして2014年11月にこの丸の内店を開店した。同店の最上階は皇居の堀を見渡す眺めを堪能でき、それにふさわしい高い値段設定になっている。そして、9つのコースメニューがスイス人的な精密さとドイツ人的な効率の良さで提供される。ザクロの雪をかけたフリーズドライの紫芋や、レッドベリージュースを凍らせたボールなどの料理を目でも楽しむために、2時間の余裕を見た方が良いだろう。

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アンダーズ タヴァン

アンダーズ 東京ホテルのフラグシップレストランには、世界に通用するラグジュアリーさがある。雰囲気のある装飾、ピアノの生演奏、東京を見渡す眺め、そして値段に見合う贅沢な素材を使った国際色豊かなメニューが堪能できる。私たちが訪れた際には、焼き加減が最適な魚と肉が提供された。赤と黄色のビーツが添えられた完璧なまでにレアなビーフサーロインのペッパークラスト。キャラメライズされたアボカドの乗ったビターチョコレートムースのタンブラーについてはまだ判定が出ていないが、予算を気にしない食事を楽しみたい時には、アンダーズは最適な場所だ。

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黒猫夜 銀座店

黒猫夜の扉をくぐる前に、中国料理について知っていることを忘れよう。華やかな銀座は、四川の村を思わせるスパイシーな中華を期待する場所ではないので、ここへ酢豚を探しに来てはいけない。むしろ長く連なるメニューの中から見つかるのは、山羊のシチューやアヒルの脳みそなどだ。そのほかにも、豊富な季節の料理や、日本料理に着想を得たホタテとウニの刺身などの前菜も楽しめる。

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EGGCELLENT


六本木ヒルズショッピングモールにある同店では、週末はブランチの時間になると店の外に行列ができる。名前が示す通り、卵があらゆる方法で料理されている。オムレツ、ポーチドエッグ、パンケーキ。『ハーフ&ハーフ・ベネディクト』は一方にベーコンとポーチドエッグの上にオランデーズソースをかけた半切りのイングリッシュマフィン、もう一方に日本風のベネディクトが乗ったメニュー。日本風のベネディクトは、米の上にアボカドやマグロのマリネ、ポーチドエッグ、麦みそソース、レンコンチップスが乗ったものだ。高級モールにあるのに手頃なため、多くの若い女性客が訪れている。もうひとつの魅力は、家族連れに優しい雰囲気があり、ベビーチェアー、児童書、色鉛筆や落書き帳が全て用意されているところだ。また、流行のブラジル産フルーツを使ったアサイースムージーは800円を払う価値がある。

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らぁめん小池

かつてはつけ麺専門店だったラーメンバー。2014年の秋以降から、伝統的な白湯(じっくり調理した鶏のスープで、この店では2日間かけて煮込む)と煮干を組み合わせたメニューを始めた。白地に青の煮干の箱がガラス窓と店内の間に、北斎の絵の落ちかかる波のように揺らめいて見える。まず、最初に開けたてのアンチョビの缶のように鼻をつく魚の匂いに打たれるだろう。しかし、これが塩味のダシのうまみのもととなっているのだ。

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麺屋はなび 新宿店

同店の外には花火の箱のような装飾が施されているが、本物の花火は厨房の中にある。券売機で注文したいものを選び、明るい照明の下のL字型のカウンターに座り、生卵の黄身、香ばしい焼き豚や牛肉のスライス、ネギのみじん切り、きざみ海苔、鰹節粉、生のおろしニンニク(吸血鬼とデートする予定がある場合は避けた方が良いかもしれない) を麺と混ぜて堪能してほしい。

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ガイトーン Tokyo

バブルガムピンクとそっけないステンレスにも関わらず、その渋谷の新顔である海南風チキンライス(カオマンガイ)の店には、どこかヘンリー・フォードの黒を思わせるものがある。ここのチキンライスは、行列に並ぶのに値するほど美味しい(多分並ばなければならないのだが)。柔らかくなるまで茹でた味わい深い鶏肉を、タイの香米の上に乗せた料理に鶏のスープ、ソフトドリンク、新鮮なコリアンダーがついて800円で楽しめる。一番肝心なものは、タイ特有のクセになる唐辛子入りの辛いつけダレだ。

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MALINS

1860年にロンドンで最初のフィッシュ&チップス店を始めたとされる、ジョセフ・マリンにちなんで名付けられた同店はイギリスの一部だ。キオスクのような店内は白と青で装飾され、壁には額に入った女王の写真が掲げられ、モルトビネガーの瓶がダイニングエリアの小テーブルを飾っている。唯一足りないのは、イギリスのチップ店につきものの油の匂いだが、マリンはそういう点でも素晴らしい。メニューにはソーセージフライやパイも揃えるが、日本産のタラを使用したフィッシュフライが、ここに来る(または最近デリバリーサービスを始めたので、電話で注文する)理由となっている。ほど良い味と舌触りと、熱いサクサクとした衣に包まれたフレーク状のしっとりした白身。ボリューム感のある完璧に揚げられたフライドポテトも金メダル級だ。イギリスの飲料、フェンティマンスのコーラやブリュードックのパンクIPAで締めくくると良いだろう。

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Little Pie Factory 広尾店

オーストラリア人、イギリス人、アメリカ人達にとって、パイは最も郷愁を誘う食べ物のひとつである。「アップルパイのようにアメリカ的だ」という慣用句は、この甘く魅惑的な食べ物の、文化的な重要性を理解する手がかりを与えてくれる。2014年11月に開店したキュートなこの店のパイは、決して期待を裏切らないだろう。そして、バターの贅沢な香りのするペストリーは、店内に入ると同時にあなたの心を捉えるだろう。甘く風味のあるパイは、熱くサクサクした、手の中におさまる至福のポケットだ。

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全てのレビューはタイムアウトマガジン5号にて Time Out Tokyo magazine.

By ガイ・ダイモンド
By スーザン・ロウ
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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