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2010年05月19日 (水) 掲載
近代日本を代表する小説家のひとり、芥川龍之介。彼が1922年に発表した短編小説『トロッコ』をモチーフにした映画が、5月22日より公開となる。メガホンを取ったのは、本作で長編監督デビューとなる川口浩史。子供の頃、教科書で読んだ際に受けた鮮烈な印象を思いだし、2006年初夏に映画化を思いついた。今なおトロッコの線路が残る台湾でロケを慣行。緑きらめく台湾を舞台に、幼い兄弟がひと夏に体験した冒険と成長を綴った物語だ。
ある夏の日、小学生の敦は、急死した台湾人の父親の遺灰を届けるため、日本人の母親と弟の3人で、祖父母が待つ台湾中南部の小さな村を訪ねる。母親に素直に甘えられる弟とは対照的に、母親を気づかい、悲しみさえも小さな胸にしまい込んでしまう兄、敦。そんなギクシャクとした日々に疲れた敦を、“近くて遠かった”父の故郷で、日本語を話すやさしい祖父が待っていた。祖父は敦が父親からもらった写真に写るトロッコの場所を探してくれた。そして敦は数日後、“ある決意”を胸にトロッコに乗り込む。最初はそのスピードに胸を躍らせていたが、その気持ちは次第に不安へと変わっていく。そしてトロッコは鬱蒼とした森の奥へと進んでいく。
本作を撮るにあたり、監督の川口は、トロッコの線路がまだ残っている台湾をロケハンで訪れる。そこで日本統治時代を体験し、今なお美しい日本語で想い出を語る年寄りたちに強く心を打たれ、原作を大きく脚色。3年の歳月をかけたオリジナル脚本をもとに新たな家族の絆を描いた。
また、日本と台湾の才能豊かなキャストとスタッフが集結していることにも注目したい。撮影監督として迎えたのはアジアを代表するリー・ピンビン。ホウ・シャオシェン作品を中心に、ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』、トラン・アン・ユン監督の『夏至』、また日本の行定勲監督の『春の雪』、是枝裕和監督の『空気人形』など、さまざまな国の監督から絶大な人気を寄せられている人物だ。彼がカメラに映し出したのは、まるで日本の原風景のような愛おしい情景の数々。台湾のみずみずしくも幽玄な自然は、観る者をスクリーンに吸い込んでいく。
2010年日本
公開:2010年5月22日
監督・脚本:川口浩史
キャスト:尾野真千子、原田賢人、大前喬一、ホン・リウ、チャン・ハン、ワン・ファン、ブライアン・チャン、メイ・ファン
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:www.torocco-movie.com/
足が不自由になった祖父と仕事を失った孫娘。祖父は面倒をみてもらうため、孫娘は祖父を追い、2人は北海道から東北・宮城へ、疎遠になっていた家族を巡る旅に出る。
2009年日本
公開:2010年5月22日
監督・原作・脚本:小林政広
キャスト:仲代達也、徳永えり、大滝秀治、菅井きん、小林薫、田中裕子、柄本明、淡島千景、美保純、戸田菜穂、香川照之
配給:ティ・ジョイ / アスミック・エース
公式サイト:www.haru-tabi.com/
天使と対峙する、神に見捨てられた人類。人類の運命を握るのは神に背いた大天使ミカエルだった。『ダ・ヴィンチ・コード』ポール・ベタニー主演のアクション・スリラー。
2010年アメリカ
日本公開:2010年5月22日
監督・脚本・製作:スコット・スチュワート
キャスト:ポール・ベタニー、デニス・クエイド、ルーカス・ブラック
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
公式サイト:legion.jp/
サッカーの試合に欠かすことのできない存在、レフェリーの視線で見つめる“もうひとつの”サッカー。EURO 2008の試合で下したジャッジが巻き起こした騒動を映し出す。
2009年ベルギー
日本公開:2010年5月22日
監督:イヴ・イノン、エリック・カルド、デルフィーヌ・ルエリシー
出演:ハワード・ウェブ、ロベルト・ロセッティ、ミシェル・プラティニ他
配給:アップリンク
公式サイト:www.webdice.jp/referee/
ドリュー・バリモア初監督作品。『JUNO』のエレン・ペイジが主演。テキサスの田舎に住む女子高校生がローラーゲームに魅了され、厳しい練習に耐えながら成長していくガールズ青春ムービー。
2009年アメリカ
日本公開:2010年5月22日
監督・製作:ドリュー・バリモア
キャスト:エレン・ペイジ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、クリスティン・ウィグ、ドリュー・バリモア、ジュリエット・ルイス、ジミー・ファロン、ダニエル・スターン他
配給:ギャガ
公式サイト:roller-girls.gaga.ne.jp/
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