映画『フランケンウィニー』レビュー

ティム・バートン監督の“最もパーソナルな作品”

映画『フランケンウィニー』レビュー

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『フランケンウィニー』タイムアウトレビュー

2005年の『コープスブライド』以来初、そしてジョニー・デップも登場しない、ティム・バートン監督の最新アニメ映画が本作『フランケンウィニー』だ。名作『フランケンシュタイン』が戦後のアメリカ郊外に舞台をうつし、柔らかく、新しい解釈で生まれ変わった。若かりし頃の監督自身を描いたという主人公のヴィクターは、どこか変わった少年だ。ある日、稲妻の力を使って死んだペットのスパーキーを蘇らせる。バートンが子どもの頃に影響されたアメリカのミッドセンチュリー時代のホラー映画の要素も、作品の随所にみてとれる。

本作は子ども向けではあるが、薄気味悪い魅力的なセンスに溢れ、保守的さや定説的な考えに対抗する、創造力と知的好奇心の賛辞となっている。ヴィクターは自分の科学の実験のために、「知りすぎることは悪いことだ」と言い放つ体育教師のような即物的な考えと戦わなければならない。

バートンは1984年に『フランケンウィニー』のオリジナル短編を発表。今回は長編作品で、ストップモーションのモノクロ3Dアニメだ。彼のこれまでの超巨大アクション映画に比べ、シンプルかつより自由につくられている。キャラクターも非常に魅力的なで、詳細までしっかりと作り込まれている。ふぞろいで大きな歯とひょろっと細長い足の、ヴィクターの変わり者の友達エドガーや、東欧からきた恐ろしい科学教師、ジクルス先生など素晴らしい。

『フランケンウィニー』は科学の優位性を提唱し、創造説支持者を批判するかたわら、ストーリー自体は気味の悪い創造者そのものの話だ。バートンは頭の固い教師たちが我々の頭をひっかきまわすのを嫌うが、若い発明家がわずかな創造力だけで科学の法則を書き直すのも同じことだ。

確かなことは、この作品は待望されたバートン映画であり、彼の最もパーソナルな作品であることだ。終盤はいつも通りのアナーキーな喜劇がくりひろげられるが、バートンは作品を通じて個人的なメッセージを送っている。それだけでも特別で貴重な作品であることは間違いない。

原文へ(Time Out London)



『フランケンウィニー』

2012年12月15日(土)3D/2D同時公開

テキスト デイヴ・カルホン
翻訳 佐藤環
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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