レズビアン&ゲイ映画祭から厳選5作品

第20回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭、豪華ラインナップから

レズビアン&ゲイ映画祭から厳選5作品

カブーン!

1992年に始まった東京国際レズビアン&ゲイ映画祭、今年は10月7日(金)~10月10日(月)の4日間に亘り、スパイラルホールで開催。劇場公開される機会の少ないセクシュアリティやジェンダーをテーマにした映画を紹介する場として注目を集め、回を重ねるごとに成長し、同種の映画祭の中では観客動員数においてアジア最大規模を誇るまでになった。いまやセクシュアル・マイノリティたち自身が楽しむための“お祭り”であると同時に、異性愛者たちがセクシュアル・マイノリティの豊かな文化に気軽に触れることのできる“カルチャーイベント”として定着しつつある。そしてこの記念すべき20周年を祝う上映作品には、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、サンダンス映画祭など、海外の映画祭で話題を呼んだクオリティの高い作品が集結。クィアとしてカミングアウトしている監督の作品も多数ラインナップされた。そこで今回は、今年の映画祭で“見逃せない5作品”をご紹介。震災を超えて、人と人のつながりの大切さが叫ばれている今だからこそ、セクシュアリティにとらわれず心に響く何かがきっと見つかるはず!

ロミオ


ベルリン国際映画祭で話題を呼んだ新時代のドイツ産クィアムービー。FTM(=Female to Male。身体が女性で“こころ”が男性)トランスセクシュアルの主人公が繰り広げる恋愛をコミカルに描くラブコメディ。レズビアンとしてオープンにしているサビーネ・ベルナルディ監督が脚本も手がける長編映画第1作目となる。大都会に憧れて田舎から出てきたルーカスに手配されていた部屋は、なんと女子寮。ある日、ルーカスはイケメンのファビオに恋心を抱くが、ルーカスにはある“秘密”があった。それは、ルーカスがFTMトランスセクシュアルだということ。果たしてルーカスの恋の行方は…。

原題:『Romeos』
オープニング作品 ワールドプレミア
(監督:サビーネ・ベルナルディ/ドイツ/2011年/94分)
10月7日(金) 20:00~ ※オープニングイベントに続いて上映
10月9日(日) 11:30~


カブーン!


『ドゥーム・ジェネレーション』『ノーウェア』などセクシュアリティをテーマにした作品を数多く手がけ、自身もゲイとしてオープンにしているグレッグ・アラキ監督の最新作。主演を務めるのは、TVシリーズ「ターミネーター;サラ・コナー クロニクルズ」のトーマス・デッカー。ごく普通の大学生スミスは、繰り返し見る奇妙な夢に悩まされていた。その夢に出てきた見知らぬ女性と現実に出会ったことから、彼の生活は激変。謎の解明に乗り出した彼は、自らの出生にまつわる驚愕の事実を知ることになる。鬼才アラキ監督ならではの映像美に引き込まれるアーティスティックなサイコミステリーだ。

原題:『Kaboom』
クロージング作品、ジャパンプレミア
(監督:グレッグ・アラキ/アメリカ、フランス/2010年/86分)
10月10日(月・祝) 19:20~ ※クロージングイベントに続いて上映


トムボーイ


女の子の甘酸っぱい青春模様を描いた『水の中のつぼみ』でカンヌ映画祭「ある視点」部門に選ばれるなど、一躍脚光を浴びたセリーヌ・シアマ監督の監督第2作目作品。自身もレズビアンとしてカミングアウトしているシアマ監督が、再び成長期の子供たちの繊細な心理を映し出す。10歳のボーイッシュなおてんば娘ロールは、ミカエルと名乗り男の子のように振る舞う。そんなロールの態度は近所の子供たちや家族との間にも波紋を巻き起こしていく。今年のベルリン映画祭パノラマ部門でオープニング作品として上映され、テディ賞審査員賞を受賞するなど、高い評価を受けた話題作だ。

原題:『Tomboy』
(監督:セリーヌ・シアマ/フランス/2011年/82分)
[協力]東京国際女性映画祭、ユニフランス・フィルム [後援]フランス大使館
10月8日(土) 16:25~


シェリー・ライト - カントリーシンガーの告白


2010年5月にPeople誌でアメリカ人カントリー歌手として初めて同性愛者であることを告白し、瞬く間に時の人となったシェリー・ライトの勇気と感動のカミングアウト・ドキュメンタリー。ライトが暮すのは保守的なテネシー州ナッシュビル。同性愛への偏見(ホモフォビア)が根強く残るこの土地で、なぜカミングアウトを決意したのか? そして彼女のカミングアウトに対する地元の人々とLGBTコミュニティの反応は? 人気カントリー歌手が一大決意へと至る経緯と、その後の奮闘の日々をライト自身が撮影したプライベートビデオと共に追いかける。

原題:『Wish Me Away』
アジアプレミア
(監督:ボビー・バーレッフィ、ベヴァリー・コップ/アメリカ/2011年/93分)
10月8日(土) 18:20~ / 10月10日(月・祝) 12:05~


あの頃、僕らは - いま語られるエイズの記憶


ベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭でも高く評価された迫真のドキュメンタリー。30年前のサンフランシスコで、ゲイ男性の間に奇妙な病気が拡がり始めた。原因も、感染ルートも、治療法も不明。この病気にかかった者は確実に死に向かっていった。当時をよく知る住民の貴重な証言と記録映像を交えながら、エイズの到来がコミュニティに与えた衝撃を深く掘り下げていく。時代の証人たちが、エイズがもたらした深い哀しみを語る姿に、観る者は心を強く揺さぶられるに違いない。

原題:『We Were Here』
ジャパンプレミア
(監督:デヴィッド・ワイスマン/アメリカ/2011年/90分)
[協力]非営利団体akta
10月9日(日) 15:45~ ※上映終了後、ゲストによるトークイベントを予定

※掲載されている情報は公開当時のものです。

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