インタビュー:LITTLE TEMPO

日本の夏を爽やかに彩るメロウ・グルーヴ

インタビュー:LITTLE TEMPO

LITTLE TEMPOのニュー・アルバム『太陽の花嫁』が到着。爽やかなスティールパンの音色と大らかなグルーヴで根強い人気を誇る彼らだが、3年ぶりとなる今回のアルバムにもそうした魅力が満載。その内容について、リーダーである土生"TICO" 剛(スティールパン)に話を訊いた。

-- ここ最近はだいたい3年に一枚ぐらいの感覚でリリースされてますが、これぐらいのペースがちょうどいい?

土生"TICO" 剛:計算してやってるわけじゃないけど、バンドのサイクルがこれぐらいになってるんだよね。メンバーが9人もいて、それぞれに活動してるから、タイトにやろうとしてもなかなかできないし。みんなのペースに合わせてノンビリやってる感じだよ。

-- 2008年からは1年に1回のペースでリトテン主催のイベント“ワイワイ祭り”が行われていますよね。

土生"TICO" 剛:やっぱり1年に1回ぐらいデカイ祭りで騒ぎたいしねえ。

-- 昨年は国立のライブハウス、リバプールでやって……。

土生"TICO" 剛:あの伝説のイベントね(笑)。

-- リバプールっていうと、かなり小さな場所だったわけですけど。

土生"TICO" 剛:過去2回(日比谷)野音でやったんだけど、規模が大きくなればなるほどオレがやる実務が多くなってきてね、2回はいいけど3回目は結構キツイだろうと。それで初心に帰るべく地元(国立)でやろうということになってね。リトテンでやったのは初めてだったし、リバプールの小ささもいいなと思って。国立だと安心感があるから、それが音にも出てたと思うよ。友達もいっぱい来るし、気分的にもリラックスしてできるから。

-- なんで国立にはたくさんのミュージシャンが住んでるんでしょうね?

土生"TICO" 剛:いやー、それはこだま(和文)さんに訊いてもらえれば(笑)。オレには分かんないよ。

-- 今夏のワイワイ祭りは?

土生"TICO" 剛:9月16日にレコ初と合わせてやっちゃおうと。“さよならTICO”ということで。

-- ……えっ?

土生"TICO" 剛:いや、そう銘打っておけば10枚ぐらいは多く売れるかなと思ってて(笑)。

-- なるほど(笑)。で、2009年には土生さんも参加するスティールパン・グループ、Sunshine Love Steel Orchestraのアルバム(『Sunrise』)も出たわけですが、あのグループをやったことで意識が変わったことはあります?

土生"TICO" 剛:うーん、そうだな。ないといえばウソになるし、あるといっても特別なにかあったわけでもないし……(スティール)パンだけのアンサンブルとなると響きの部分とか考えることは多かったけど、基本的にはリトテンと特別変えたところがあったわけでもないし、メンバーも昔から知ってる人たちだしね。

-- 今回のアルバム『太陽と花嫁』についてなんですが、レコーディングはいつごろやってたんですか。

土生"TICO" 剛:これはね、2月ぐらいから始めて4月に終わった感じ。週末チョコチョコやってたから、通しでずっとやってたわけじゃないんだけどね。

-- 今回は前作以上にメロウな曲も多いですよね。

土生"TICO" 剛:いつものことだけど、作ってるうちにこういうイメージが膨らんできただけで、最初からテーマを決めてたわけじゃないんだけどね。

-- 打ち込みのトラックも4曲ありますね。

土生"TICO" 剛:いや、オシャレかなと思ってさ(笑)。デモをみんなで聴いてる時、みんなで“これは生でいこう”とか“打ち込みでいこう”って話し合って。地元の兄弟分で“国立のファレル”ことレゲエ・キーボーディストの外池さんにご協力いただき、ハイプでオシャレなリズムにチャレンジした感じ。曲によって違う人が打ち込んでますが、ドラムの大ちゃん、パーカッションのケンタもやってます。

-- 曲名でいうと、今回も独特なタイトルが多いですよね。“ときめき☆リダイアル”とか(笑)。

土生"TICO" 剛:みんなでタイトルを持ち寄って、琴線に触れるものをピックアップする感じ。あと、マスタリングでイギリスに行ったとき、KENJI JAMMER(現地在住の日本人ギタリスト)にアイデアをもらったり。マスタリングが終わってから最終的イメージを踏まえてタイトルを付けるんだよ。歌詞がないぶん、曲のイメージもどんどん変わっていくし。

-- 今回は“南京豆売り”(数多くのアーティストにカバーされてきたラテンの古典的名曲)のカバーも入ってますね。

土生"TICO" 剛:カバーはどのアルバムにも1、2曲は入れるようにしてるんだけど、この曲はライブでもやっててね。それが調子良かったから、いつかアルバムに入れたいと思ってて。

-- ゲストとして大野由美子さん(スティールパン)、icchieさん(トロンボーン)が入ってますね。

土生"TICO" 剛:低い音域のパンが入ると膨らみが出るから、やっぱり大野さんは欠かせない。icchieは最近よく遊んでるし、ここに入ってる曲もイッチーと一緒にやったことがあってね。2人ともホント自然にやってもらうことになった。あと、テッちゃん(西内徹/フルート)と外池さん(外池満広/プログラミング)に協力してもらった。レコーディングの時間もタイトだったけど。

-- 今までのアルバム以上にタイト?

土生"TICO" 剛:いや、ま、余計なことをしなくなったってことだと思うんだけどね。無駄なテイクを録らないとか。やることは前から変わってないし、使ってるスタジオも同じだからね。そんなにレコーディングの時間も無駄使いできないし。

-- そういえば、レコーディングに関して震災の影響はなかったんですか?

土生"TICO" 剛:ちょうどリハもレコーディングもない週に震災がきたんだよね。オレにとってはかなり衝撃だったし、メンバーとも延期するかどうか話し合ったりもしたんだけど、こういう時だからこそやったほうがいいんじゃないかってことになって。そこからは早かったね。集中して短い時間に詰め込んだ感じ。俺たちメンバーは改めて契りを交わすことで完成まで導くことができたと思ってて。関係者一同、ファンの皆さんに“ありがとうございます”って言いたいね。

-- 震災で意識が変わった部分はあります?

土生"TICO" 剛:うん、個人的にはいろいろと考えが変わったところもあるけど、それが音に表れているかどうかは分からないな。

-- “こういう時だからこそやったほうがいいんじゃないか”っていうさっきの言葉が気になるんですけど。

土生"TICO" 剛:ま、別に延期したっていいことないし、それだったら頑張って作り上げちゃって、早く(聞き手に)届けたいなって。それだけのことだよ。


LITTLE TEMPO 第四回 ワイワイ祭りスペシャル! 『太陽の花嫁』披露宴

9月16日(金)
LIQUIDROOM
LITTLE TEMPO主催のビッグ・イベント『ワイワイ祭り』がこの夏も開催。今回はニュー・アルバム『太陽の花嫁』を引っさげての登場。大野由美子、 icchie、西内徹といった新作参加メンバーも招き、暑い夏に爽やかな涼風を吹き込んでくれることだろう。日本レゲエ界のオリジネイター、工藤 Big'H'晴康のDJにも注目だ。『FUJI ROCK FESTIVAL'11』などの夏フェスを経て、ライブ仕様に仕上がっていく楽曲、秋の入り口に夏を思い出す様なスティールパンの音色に身を預けてみてはいかがだろうか。

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Little tempo New Album "太陽の花嫁" Trailer

インタビュー 大石始
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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