ドキュメンタリー映画『ピュ~ぴる』

セクシュアリティだけでなく、家族やアートについての物語

ドキュメンタリー映画『ピュ~ぴる』

(C)Photo by Masayuki Yoshinaga

イタリアン『VOGUE』でも取り上げられた、国際的アーティストで性同一性障害でもあるピュ~ぴる。そんな彼女について8年に及ぶ、パーソナルな部分に迫ったドキュメンタリー映画『ピュ~ぴる』が3月26日(土)より公開となる。そこには自身や家族のインタビューも含め、彼女のこれまでの葛藤や、最も印象に残ると本人が語る去勢手術、そしてアーティストの座を不動にした横浜トリエンナーレ2005での展覧会とそのライブパフォーマンス等が凝縮されている。セクシュアリティについての映画でもあるが、「それはひとつのテーマであって、家族の物語だったり、世界的アーティストについての物語でもあります」と松永監督は語る。

その一方で、撮影をするにつれセクシュアル・マイノリティに関しての感じ方に変化が生じたか、監督に訊いてみた。「変わっていないですね。もともと男同士でも、恋愛は人間の人生で大切な部分を占めているのに、その想いを社会が批判する理由がわからなかった。それを少しでも変えたい、ピュ~ぴるを撮ることで何かできるのではないかとずっと思っていました」。日本におけるセクシュアリティやアート界について考えさせられる貴重な作品だ。是非劇場に足を運んでほしい。

(C)Photo by Teruyoshi Toyota


映画『ピュ~ぴる』
監督・撮影・編集:松永大司
出演:ピュ~ぴる
公式サイト:www.p2001.com/
2011年3月26日、渋谷ユーロスペースほか全国ロードショー

ピュ~ぴるプロフィール
2003年、代官山のGALLERY SPEAK FORにて個展「PLANETARIA」を開催。横浜トリエンナーレにて「LOVE REINCARNATION」(’05)、横浜美術館、国立台北芸術大学関渡美術館にて「SELF PORTRAIT」(’08)、横浜美術館にて「VIRGIN WHITE」(’08)を発表。2010年10月~2011年1月、オランダ・ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館にて作品が展示された。その他、ABSOLUTE VODKAのワールドキャンペーン(’05)やバンドQomolangma Tomatoの3rd CDアルバムジャケット(’09)のアートディレクション、読売新聞夕刊にてコラム連載(’06)など、多方面で活躍する唯一無二の日本出身のアーティスト。

テキスト カイザー雪
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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