2010年09月15日 (水) 掲載
トロントのゲイプライドはライブのセレクションも充実している。その多くが無料なのもありがたい。毎年大物歌手が招待されるているが、2010年の目玉は、レディー・ガガとのコラボレーションが話題を集めたばかりのポップスター、シンディ・ローパー。かねてから積極的にゲイプライドに駆けつけるなどしていた彼女は、ゲイアイコン的な存在だ。あまりの人気ぶりに会場は即満員に達し、少しでも聴こうとする大勢のファンで会場外も溢れかえっていた。シンディはラストに、“自分のありのまま”を尊重する歌詞の楽曲『True Colors』を熱唱。ステージと観客は一体化した。
そのほか、音楽業界で一目置かれているル・ティグラのJD SAMSON率いる新バンド、MENや、デンマーク・コペンハーゲン出身のMCデュオでラブラブなレズビアンカップル、Fagget Fairysなど、クィアシーンのオルタナティブ系スターもパフォーマンスを披露、メインストリームから尖った層まで、誰もが喜ぶバリエーション豊富なラインアップが魅力的だった。2011年も今から期待できそうだ。
プライドの期間、クイーン・ストリート・ウエストに位置するグラッドストーンホテルにて、毎年クィア関連の展覧会が開催される。このホテル周辺は、ゲイエリアの中心からは少し離れているが、多くのアーティストやクィアの住人がいるエリアとして知られている。
DIYカルチャーが強いトロントらしく、そんな文化を代表する作品が数多く展示された。2010年の展覧会タイトルは『That’s So Gay』。「トロント在住のクィアなアーティスト」という趣旨に添って20人ほどが作品を披露した。中でも、Will Munroの作品が一際目を引いていた。彼はアートのほか、カッティングエッジなゲイパーティのオーガナイザーとしても有名で、まさにトロントのクィアシーンの中心的人物だった。しかし、展覧会がスタートする直前の2010年5月、脳腫瘍により35歳の若さで亡くなってしまった。キュレーターのショレム・クリシュタルカは「コミュニティは大変ショックを受けています。彼の作品が展示されている部屋は、彼へのオマージュとメモリアルです」と語ってくれた。
グラッドストーンは、デザイナーズホテルでもあり、トロントのカルチュラルスペースのひとつでもある。アーティストがデザインした部屋はスタイリッシュだ。1階にビストロ風のヒップなカフェ・レストランを併設。このカフェの朝食は、エア・カナダの機内誌『enRoute』でベスト・ホテル・ブレックファストにも選ばれるほど、カナダ人の人気が高い。プライドの時期以外もトロントを訪れる際は是非立ち寄ってほしい。
The Gladstone Hotel
住所:1214 Queen Street West, Toronto ON M6J 1J6
ウェブ:www.gladstonehotel.com/
プライドトロントウェブ:www.pridetoronto.com/
取材協力:
トロント観光局(www.seetorontonow.com/ja.aspx)
カナダ・オンタリオ州観光局(www.ontariostyle.com )
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