カクカクシカシカ幾何学な動物たち

注目の若きアーティスト、タイムアウトカフェ&ダイナーで個展開催

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カクカクシカシカ幾何学な動物たち

東京を拠点に活動する建築家でアーティストの野口一将が、恵比寿・リキッドルーム2階にあるタイムアウトカフェ&ダイナー ギャラリースペースにて、個展『So Close, Yet Not So Far Tour』を開催する。2009年10月24日から2009年11月2日まで、中落合ギャラリーで開催されていた個展の拡張版だ。野口は東京藝術大学建築学科在学中に安宅賞と平山郁夫賞を受賞している。卒業後も中落合ギャラリーでの“small Impact”展や、東京湾で行われた漁船を伝統的な茶室に変化させ、インテリアデザインと視覚芸術を融合させたプロジェクトなど、様々なアート表現に挑戦している。青木淳建築計画事務所に4年間勤務し、病院やアートレジデンスのプロジェクトなどでも幅広く活躍してきた。今回の展示は大きなキリンや猫など、動物のスカルプチャーが多数展示され、ギャラリーはさながら動物園のようだ。

野口は今回の個展のコンセプトを、以下のように表現している。 

とらわれたくない。
とどまりたくない。
とじこもりたくない。
答えを教えてもらうより、不思議を探していたい。
ゲームに勝つより、新しい遊びを考えたい。
出来れば勉強したくないし、仕事もしたくない。
でも、やらなきゃ怒られる。
お約束から抜け出せる、魔法か呪文を探しにいく。
ずっとずーっと進んでいたら何かがきっと待っている。

野口はさらに詳しく、自身の作品へのアプローチについて語ってくれた。

TOT:作品のアイデアはどうやって浮かんだのか、教えてください。

野口:動物とか植物の有機的な線と、幾何学を融合させたくて、その事をずっと考えていたら動物が単純化されて幾何学になっていく夢をみました。ぼーっとしてるとみないけど、その事をいっつも考えてると、何だか夢に出て来てくれます。

TOT:「角張ったファンタジーの世界」とおっしゃっていましたが、角張ったファンタジーの世界とは?

野口:ファンタジーは、幻想的でフワフワしたおぼろげな状態で、現実にならずに消えて無くなってしまうけど、それがはっきり見える時だけは、実現するものだと思っています。強力なアウトラインに乗ると、未来まで連れてってくれると思います。

TOT:作るのに1番苦労した動物はどれですか?

野口:サメ。全部図面描いて模型つくってから作ってるのですが、サメの設計に一番時間をかけました。それから、今回、追加動物のカニ1号を作ったんですけど、気に入らない為、トナカイに改造しています。

TOT:“動物たち”の素材は何ですか?

野口:素材はダンボールです。ファンタジーは遠くから見てると、綺麗で堂々としているけど、近づいてみると意外と安っぽくて簡単に壊れてしまう要素の集合でしかない、という世界観のもとに選びました。

TOT:野口さんは東京で活動されていますが、1番居心地の良い場所はどこですか?よく遊びに出かける場所は?

野口:居心地のいい場所は、離宮です。芝離宮とか浜離宮とか。行けば、心は錦です。真夜中の西新宿は、人が全然居ないのに巨大な建物とか道路とか街灯が広がってて、不思議な気持ちになるから、たまに行って写真撮ります。

TOT:今後チャレンジしてみたいことは?

野口:いつか分からないけど、人をテーマに何かつくってみたいです。人って存在が強くて、一目でそれとすぐ分かってしまうから、他の要素が脇役になって、上手く共存させる事が難しいと思います。人間とその他の要素の力関係が1:1になるような関係性を表現してみたいです。

野口一将個展『So Close, Yet Not So Far Tour』
場所:タイムアウトカフェ&ダイナー ギャラリースペース
期間:2009年12月14日(月)から27日(日)まで、13時00分から22時00分まで

テキスト 東谷彰子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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