2PM
2010年09月28日 (火) 掲載
東方神起の分裂、元東方神起メンバーJUNSU/JEJUNG/YUCHUNの事務所問題に絡む活動休止の報以来、男性韓ドルグループの覇権争いは過熱化する一方だ。かつて東方神起が座っていた地位に、現在、最も近いグループといえば、BIGBANGで、頭一つ抜けている感がある。しかし、Super Junior、SS501、SHINee、FTIsland、超新星、CNBLUEとすでに日本デビューを果たした数多くの若手グループが虎視眈々とトップの座を狙っている。さらには、9人組、ZE:Aをはじめ、こちらも日本デビューが発表されたばかりの2PM、BEASTなど、そのまた次の世代の新しいグループも登場。挙げだしたらキリがないくらいに男性韓ドルグループの層は厚い。このような状況は、男性韓ドルファン以外には、正直、何が何やらという感じだろうが、それぞれのグループには独自の個性があり、知れば知るほど奥の深い世界が広がる。
ここ最近、少女時代、KARAらによって一気に加熱した韓ドルブームではあるが、彼女たちの上陸の下地を用意したのは、こうした連綿と続く男性韓ドルグループたちのこれまでの目覚ましい活躍であった。ガールズグループ好きに聞くと、以前からある程度男性韓ドルグループを追いかけてきたその末に、少女時代、KARAなどのガールズグループに辿り着いたという人が多い。突然、ガールズグループ・ブームが爆発したわけではなく、男性韓ドルグループの活動により、数年に渡ってじっくりと醸成されてきた韓ドル市場を背景に、女子中高生などの新しい層が一気に流入することで相まって形成された必然的な現象こそが、今の韓ドルブームの実態であろう。だからこそ、“目新しいから”とか“ブームだから”という理由だけで、少女時代やKARAを聴いている人たちには、現在の韓ドルブームを支える地盤を作ってきた男性韓ドルグループたちの素晴らしい作品にも目を向けて欲しい。
日本では、“日本デビュー”という惹句が加わった瞬間に、“お墨付き感”というか“鳴りもの入り感”がアーティストに付与され、これが、コアな韓ドルファン以外の、購買に保守的な一般層(保守層)やライトユーザー層を購買に向かわせるという状況がある。例えば、先述のZE:AやBEAST、2PMなどは、本国では数枚のシングルやミニアルバムをリリースしているのみで、本格的なフルアルバムはまだ発表していない。ゆえに、彼らの日本デビュー盤は、韓国での活動(既発の楽曲)をアルバムにまとめ直したものに、DVDやグッズ、もしくは来日イベントの参加券など日本独自コンテンツを加えたかたちとなっている。それにも関わらず、彼らのデビュー盤は爆発的な予約数を記録しているという。“日本デビュー”というキャッチフレーズによって与えられた“安心感”、“お墨付き感”が、輸入盤には手がでなかった保守層や韓ドルに興味を持ちながらも同様に輸入盤を購入するには至らなかったライトユーザー層の需要を喚起し、一気に購買行動へと動かした様子を窺うことができる。もちろん輸入盤から追いかけている熱心なファンも存在するのだが、商品の販売数をみれば保守層、ライトユーザー層の比ではない(少ない)ことがわかる(ある店舗では、輸入盤は売れても数十枚レベルに留まるが、日本デビュー盤では一気に3ケタ、場合によっては4ケタを超える予約枚数を記録する場合もあるという)。
昨今の韓ドル・グループの爆発振りは、大いに歓迎するところだが、個人的にはそうした“お墨付き”がなければ購買に自ら動けない、その保守性に若干の苛立ちを感じてしまうのも事実だ。それでは、未だ見ぬ新しくて素晴らしいアーティストに出会う確率は減ってしまう一方だからだ。真に韓ドルを楽しむためには、適度なリスクをも楽しむことが不可欠なのだ。そんな冒険を恐れない好奇心豊かな韓ドルファンには、InfiniteやSecret、Sistar、Nine Muses、Miss Aなど、まだ本国でシングルしかリリースしていないグループをチェックすることをおすすめする。どこまでも続く男性韓ドルグループの魅力にさらに虜にされること、間違いなしだ。
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