映画へ行こう 8/28公開作品

『東京島』『トイレット』『世にも怪奇な物語』ほか

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映画へ行こう 8/28公開作品

(C)2010「東京島」フィルムパートナーズ

2008年のベストセラー小説、桐野夏生の『東京島』が映画化された。この物語は、清子と隆の夫婦2人が旅の途中で嵐に遭い、太平洋に浮かぶ無人島に漂着するところから始まる。ある日、その無人島の暮らしに、若いフリーターの男たち16人が、続いて密航に失敗した6人の中国人が加わる。そして、男23人と女1人という奇妙な共同生活が始まる。このセンセーショナルな“逆ハーレム状態”により、女は夫に従っていた妻から“島の女王”になるのだ。この40代女性を演じるのは、『ぐるりのこと』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した木村多江。監督は、『おかえり』がベルリン国際映画祭で最優秀新人監督賞の受賞した実力派監督、篠崎誠だ。

作品では、いつまで待っても助けの船が来る気配がないため、彼らは島を“東京島”と呼ぶようになった。ただひとりの女性として、女王のように君臨し始めた清子。だがこの島に安住することを考え始めた男たちに苛立ち、脱出するための行動を開始する。東京島は、現代社会の縮図ともいえる。ただ、監督の篠崎は、極限状態の人間のダークな欲望を描いた桐野の原作に、生きることへの希望を融合させ、新しいサバイバル・エンターテインメントを作り上げた。

また、さらに映画を彩るのは、女性の憧れであるファッションアイテム『HERMES』のスカーフ“カレ”だ。平凡な主婦にとっては、決して普段遣いできない色鮮やかな高級スカーフが、無人島でサバイバル生活を身につけていく女の生活の糧となる。それが、木村の演じる主人公、清子のタフでエレガントな印象をさらに強くする。このカレ、映画『東京島』をイメージしたスペシャルカラーも発売されている。

うだるような残暑厳しいこの季節に、極限状態におちいった人間たちのスリリングな生活が、ひやりとした空気を運んでくるかもしれない。

東京島

公開:2010年8月28日(土)
監督:篠崎誠
キャスト:木村多江、窪塚洋介、福士誠治、柄本佑、木村了、染谷将太ほか
配給:ギャガ
ウェブ:tokyo-jima.gaga.ne.jp/

トイレット

『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督最新作。人生に楽しみを見い出せず、自分の世界に引きこもっている3人の兄妹。そこへ突然、日本から“ばーちゃん”がやってきて、兄妹の心の中に変化が起こり始める。

公開:2010年8月28日(土)
監督:荻上直子
キャスト:もたいまさこ、アレックス・ハウス、タチアナ・マズラニー、デヴィッド・レンドルほか
配給:ショウゲート / スールキートス
ウェブ:www.toilet-movie.com/

小さな村の小さなダンサー

中国の貧しい村で生まれ育った主人公の少年が11歳で両親と別れ、バレエダンサーとしての才能を開花させるヒューマンドラマ。オーストラリアでベストセラーとなったリー・ツンツンの自伝を映画化。

日本公開:2010年8月28日(土)
監督:ブルース・ペレスフォード
キャスト:チー・ツァオ、ジョアン・チェン、ブルース・グリーンウッド、アマンダ・シェル、カイル・マクラクランほか
配給:ヘキサゴン
ウェブ:chiisanadancer.com/

世にも怪奇な物語

エドガー・アラン・ポーの原作を、ヨーロッパを代表する3人の監督が撮ったオムニバス。『黒馬の哭く館』『影を殺した男』『悪魔の首飾り』の3作品。アラン・ドロンやブリジッド・バルドーなど、当時の人気スターが競演。1967年フランス/イタリアの作品だ。

日本公開:2010年8月28日(土)
監督:ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ
キャスト:ジェーン・フォンダ、ブリジッド・バルドー、アラン・ドロン、ピーター・フォンダ、テレンス・スタンプほか
配給:IMAGICA TV
ウェブ:www.bb-rebirth.com/

テキスト 粕谷みさを
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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