東京、アートのある部屋 第1

アンディ・ウォーホル×吉祥寺 2DK 105,000円の場合

東京、アートのある部屋 第1回

世界中からセレクトした現代アートを販売するWALLS TOKYOと、タイムアウト東京のコラボレーション企画がスタート。WALLS TOKYOのコレクションから被写体自らが選んだアート作品を、実際に彼らが生活する部屋に飾った様子を記録。東京に住む人々のリアルな日常にアート作品を介在させることで、作品や東京暮らしの新たな一面を発見し、アートをより身近なものにしていく。

吉祥寺2DKファクトリーガール

名前:江藤香凛
年齢:22歳
場所:吉祥寺徒歩10分2DK(ルームシェア)
家賃:105,000円
作品:アンディ・ウォーホル『Flowers(手彩色)』1974年 lithograph(470,000円)

吉祥寺の街を見晴らす、古いコンクリート造りのマンションの7階、2DKを友人とシェアして暮らす22歳・フリーターの部屋。美術館にはよく行くほうという彼女だが、世界で最も有名なポップアーティストであるアンディ・ウォーホルについては、「名前と、有名な人ってことは知ってる」程度。 「花が好きだから」それが、彼女が数ある作品の中からウォーホルの『Flowers』(1974年)を選んだ理由だ。


この作品は、ウォーホルが壁紙カタログと生け花の本からインスパイアされて描いたもの。彼にとって、「花」と「壁紙」は重要なモチーフだ。1964年、「陰惨な絵は充分描いたから花の絵を描くべきだ」という友人のアドバイスに従い、誰もが欲しがる花のイメージを大量に制作。後に絵画も壁紙も同じと言ってのけた彼の大衆社会に対するシニカルなメッセージは、「花が好きだから」という理由と、飾りたてられた6畳たらずの部屋によって、より鮮明に浮き彫りになる。『Flowers』は彼女の部屋に置かれることで、その本質の一側面を明らかにする。

部屋の壁には自分が写った写真を何枚も飾り、「自分が一番好き」と言ってはばからない彼女。小顔にベリーショートの髪、尖った鼻、猫のような瞳を持つその容姿はまるで、ウォーホルのミューズであったイーディ・セジウィックのようにキュートだ。とはいえ、家が大金持ちで毎晩パーティーに明け暮れ、ドラッグ中毒だったイーディと違い、根はかなり真面目でしっかり者。 21歳という若さで飲食店の店長を勤めた経験も持つ。昼は美容室、夜は飲食店を3軒掛け持ちし、忙しく働き続ける毎日だが、そんな彼女の夢は、自分の店を開くこと。「将来は、自分の好きな絵や音楽、写真で溢れた店を出して、そこから一歩も外に出なくても幸せと言える空間を作りたい」という。

彼女は将来、どんなアートを店に飾るのだろうか。

アンディ・ウォーホル 『Flowers(手彩色)』の詳しい情報はこちら
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豊嶋希沙
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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